散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

メモ書き

2014-09-17 20:56:34 | 思考錯誤
ライン川の岸辺でうつむいて石を物色していた時の事。気配を感じて顔を上げると鴨の家族がこちらに向かってやって来た。
何処まで近づくかとじっとして見ていると、私のすぐ足元までやって来た。その勢いは突かれるのではないかと思うほどでちょっと怖いくらいだったが、しばらくくわっくわっと鳴いてから、踵を返して川に向かって歩き始めた。
行ってしまったなあ、、と少し名残しい気でまた石を眺めていると、一回りした彼等がもう一度、やはり結構な勢いで近づいてくるのが見えた。
また私の目の前でくわっくわっと言う。
私のいる場所に何か問題があるのか? 邪魔なのか?(私は彼らが二度目に近づいて来たとき、数メートル移動していた)
ひょっとして、私は旅に誘われているのか?
「私は空を飛べないよ」と言ってみると、それを了解したのかどうだか彼らは私を置き去りにしてもう二度とは帰ってはこなかった。





シロツメクサが道の傍に沢山生えていたので四つ葉が見つからないものかと立ち止まった。
しばらく見つからずに視線を泳がせていた。
去年の夏、母と甥がドイツに遊びに来ていた時、母は散歩中にシロツメクサの群れを見るたびに四つ葉探しをはじめた。そして毎回沢山見つけるのだ。
それで私はいたずらに「お母さん出番です」と声に出して言って見ると、間も無く四つ葉と六つ葉を見つけたのには笑ってしまった。
力のある呪文らしい。
ちなみに昔、シロツメクサの花を乾燥させてガラス製品の緩衝材として使われたのだそうだ。「詰め草」と言う名はそこから来ている。





時々歩きながら日本語の朗読を聴いている。
語りのリズムに引っ張られて私の歩調も変わってゆく。
耳の中で『危ないから。。』と声が聞こえた時、『Achtung!』という声が被さった。
私がのんびり、ふらりふらりと道を歩いていたので、後ろから走ってきた自転車乗りを邪魔していたらしい。
驚いたものの、思いがけなく同じ意味の二つの言葉が私の耳の中でぶつかったのが面白くて、私がにんまり笑っていると、向かいから来る人もつられて笑った。









オオバコやナズナのことなど。。。

2014-09-16 12:47:43 | 野草を食べる




何処にでも丈夫に生えている植物のひとつにオオバコがある。
私はオオバコの姿を気に入っていて、たびたび写真を撮ったり、スケッチをしたりする。
子供の頃は、花穂の茎を絡ませ引き合う『オオバコ相撲』をして遊んだのを覚えている。強そうな茎を念入りに選び抜き、その中ほどを少しだけしごいて柔軟性を与えてからオオバコ相撲に挑むのだ。他愛無い遊びなのだが、始めると何度も何度もオオバコを手折ってしまう。
また、野道で虫に刺されり擦り傷を負った時にオオバコの葉をよく揉んで傷口に当てると良いと言われたものだ。
中世ではオオバコが踏み固められた道の端に並び生えていることから旅人の道しるべであり、旅のお供の救急箱でもあったという。
オオバコの葉の効能を調べてみるといろいろあって、高血圧・動脈硬化・狭心症・心筋梗塞・脳卒中・腎臓病 に効果があるのだそうだ。

オオバコや野生のタイム、薄紅葵や赤つめ草の花を摘んで家に帰り、夕飯に加えてみることにした。
オオバコはゴマ油で炒め白飯に乗せていただくとなかなか美味しい。
野生の西洋わさびの比較的やわらかそうな葉を甘辛く煮てみたが、これも悪くない。
白身魚を蒸した上に、野の花、摘んだ香草やしょうがとねぎを乗せ、砂糖と塩をぱらぱらとまき、煙が立つほどに熱したごま油をジュッとかけた。
これは目にも舌にも豪華だ。
オオバコの葉のシロップはのどの痛みに効くと言うので、一度試してみたいと思うが、たびたび歩き回るライン河岸の散歩道には大勢の犬たちが駆け回り、しるしをつけ、用を足しているのを知っているので躊躇するところでもある。

野の草といえば、先日電話で中国人の友人がナズナの葉をワンタンの具に入れて食べると美味しいので、庭にナズナを植えて育てようとしたがうまくいかずにかれてしまったとがっかりしていた。
不思議なことに野草は植えられるのを好まないように思う。彼らが自主的にやってきて勝手に増え始めることはあるが、鉢に植えようとすると嫌がる。人に関わらぬ野の草の意地なのかもしれない。
ナズナを何度も枯らした友人に、私はナズナなど何処にでも生えていると言ったものの、そういえば最近あまり見かけた記憶が無い。

あの面白い形の三角の実を茎からそっとちぎれぬほどに引き裂いてゆくと、沢山の三角が茎から下がった様になって、振るとシャラシャラとかすかだが良い音がする。

来春はナズナ探しをしよう。