散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

雪兎

2018-03-09 16:41:49 | 思考錯誤





この冬はちょくちょく雪が降った。多くは無いが度々降った。
そして数日前にも雪が積もった。
友人から小さな雪だるまの写真がとどいたので、早速私も作って見たくなって、素手で雪に手を差し込むとあっという間にかじかんで、白い雪の中に赤く染まった私の手は赤裸になった兎のようだ。
手早く小さな玉を二つ作って重ねて見たがなんだか雪だるまのプロポーションでは無い。
脇にあった葉っぱを二枚を耳に見立てて差し込むと雪兎となった。
午後、雪雲を押しのけた太陽の光が空気を温め始めると雪兎は耳を落とし、首は傾き、両手は落ちた。
気がつくと地面にグニャリと倒れていたスノードロップが、すっくりと葉が茎が花が立ち上がっている。
陽だまりはもう暖かい。

追記)
今日は昨日とは違う栗鼠がクルミを探しにやって来た。昨日の美しい赤みがかった栗毛ではなく、少し黒っぽい茶色で小柄な栗鼠だった。近所に棲む栗鼠の間で我が家のテラスに置かれるクルミが話題になっている。。。としたら楽しい。






黒いビーズ

2018-03-08 18:12:22 | 自然観察


(写真:先日始まった展覧会)


春の種蒔きをしたと、受話器の向こうの友人の声を聞いていた時の事だった。
窓枠で切り取られた私の視界の中に二つの小さな真っ黒いガラスビーズが浮かんでいた。
それはテラコッタの鉢の上に佇む一匹の栗鼠で、真っ黒な表情のない目でこちらを窺っていた。
たびたび走り回っているのを見かけていたので、胡桃をテラスのあちこちに仕掛けておいた。
極寒の数日間は胡桃は手付かずだったから、心配していたのだけれど元気だったようだ。
早速頬袋に胡桃を詰めたリスは美しいつややかな栗毛の衣をひるがえして走り去った。

そろそろ鳥のさえずりも春めいてきている。