雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

コロナ感染 米軍基地周辺の感染者

2022-01-11 06:30:00 | 昨日の風 今日の風

コロナ感染 米軍基地周辺の感染者
  各地の在日米軍基地で新型コロナウイルスの大規模な感染が相次ぎ、
  その地元への住民の感染が拡大している。(朝日新聞1月6日朝刊)

  米軍関係者は日米地位協定に基づき、日本側の権益の対象になっていない。
  極論を言えば、日本からの出国も日本への入国も
  日本側の水際対策を受けなくても、基地からの出入国は自由にできることになる。
  だから政府は在日米軍と、日本の水際対策に近い「整合的」な措置をとることを確認していたが、
  米側の対応はあまりにも杜撰であった。

米側の感染対策は、
  入国後5日目以降にPCR検査をするのみで、
  出国前や入国直後の検査は行っていなかった。

     入出国に、基地を出て、基地に帰って来る基地関係者に対して、
   なんと無防備な感染対策なのかと疑ってしまうほど、
   日本の感染防止対策とはかけ離れていることに、
   唖然とした。
    米軍側は、沖縄県の照会に対し、
   部隊の規模や人数や、詳しい感染状況などは
   「運用に関わる」として回答を避けている。
    
昨年12月中旬にキャンプ・ハンセンで、大規模クラスターが発生し、
   米軍関係者の感染は沖縄の9基地で、
   1月5日現在1001人に達しているが、その詳細は説明されていない。
   つまり、治外法権の基地内で発生したことは、
   「運用に関する」こととして、コロナウイルス感染に関することだけでなく
   基地関係者に起因するすべてのことが、秘匿されてしまう。
   
   日米地位協定9条第2項
    「合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管理に関する日本国の
    法令の適用から除外される」
   この「管理」に検疫も含まれると解釈され、我が国の空港での水際作戦に大きな「水漏れ」
   を起こす結果になってしまった。
    幕末に締結された諸外国との「通商条約」は「不平等条約」として、
   明治新政府がその改善に多大な苦労をせざるを得なかった歴史的事実が思い出される。
   苦い経験がありながら、第二次大戦の敗戦国日本は、勝者の論に屈服し、
   「日米地位協定」に合意せざるを得なかった。

    日米合同委員会の、「検疫の在り方」についての二つのとり決め。

      米軍人、軍属やその家族が、
      
①軍の飛行機や船で在日米軍基地に直接入国する場合は、米軍が責任を持つ。
         ②民間の飛行機や船で入国する場合は、日本側の検疫を受ける。 

         1996に合意した内容だが、①の合意により、日本は水際検疫ができなくなってしまった。
        「責任を持つ」という文言に日本は期待したのだが、今回この取り決めは、
        全くの絵に描いた餅になってしまった。
        基地内の感染者数は毎日伝えられるが、基地ごとの感染者は提供されても、
        感染者がどこに住んでいるのか、発症はいつなのかという情報が提供されないから、
        濃厚接触者が市中感染を広げているケースも予測されるのに、
        県は防疫対策をとれない現実がある。

    民間住宅を借りて基地の外に住んでいる米軍人の問題点。

        外国人が3カ月以上国内に滞在するときは、移住地などを登録する必要がある。
       更に住民基本台帳に記載されるのだが、地位協定9条に基ずく特権で、
       米軍人はこの対象から外さる。
       従って自治体では、
       自分の町にどれくらいの軍人軍属が住んでいるのかを把握できない。

       なんともお粗末な基地を抱える自治体に存在することが、
       コロナ禍の渦中で露呈された。
    
    (朝日新聞1月6日 在日米軍から国内に広がったとみられる構図)
   在日米軍の現在の感染対策。
    全国の基地で警戒レベルを一段階引き上げ、
    検査で陰性が確認されるまで、マスク着用を義務化する。
    (裏を返せば陰性が確認されれば、マスク着用の義務はないということか)
    軍用機で日本に来た場合の検査を実施する。
    基地外でのマスク着用の義務。
    (基地内では着用の義務はない)。
    コロナに対する姿勢の違いか、マスク文化の違いが感じられます。

    現在は、日本への出発前、到着直後、
    その後の行動制限中の計3回以上の検査を義務付けている。
                                                                         
(朝日新聞1月7日)
              こうした状況に中国外務省は、
    「米軍は駐在国の高みに立ち、現地のルールを守らず、
     再三、ウイルスのスーパースプレッダー(拡散者)になっている」
    と米国を批判している。
      
       余談ですが、
       かって、100年前にスペイン風邪を全世界に広めてしまったのは、
       世界に派遣された米軍兵士によるウイルスの拡散だと言われている。
       この時、日本でのスペイン風邪による死者は、
       40万とも45万にとも言われている。
       にもかかわらず、前トランプ大統領はコロナウイルスの拡散は、
       中国のせいだと非難した。そのアメリカは現在6000万人を超える
       感染者を出し、世界をリードするアメリカの威信は衰えている。
       中国はアメリカの「スペイン風邪」「コロナウイルス」「米軍基地内の感染拡散」
       を捉えて、「再三」としたのだろう。

       それにしても、日本には米軍基地が多すぎる。
       特に沖縄は9施設、山口県岩国基地、長崎県佐世保基地、東京都横田基地、
       神奈川県横須賀基地及び厚木基地、静岡県キャンプ富士、青森県三沢基地。
       沖縄を初め、横田、横須賀、三沢基地周辺での感染者が増えている。
       はからずも、基地に依存する日本の平和は、
       どこかいびつな平和であることを露呈してしまったコロナ禍である。

       (昨日の風 今日の風№132)      (2020.110記)

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