雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

春を詠う② 別れと出会い

2018-05-11 17:30:00 | 人生を謳う


                          
春を詠う②  別れと出会い 
  夏日が幾日か来たかと思ったら、急に寒くなって今日は気温18℃。
 雨が降って、風も出ているようです。
 行く春にしてはとても寒く感じる一日です。

 春は気持ちが穏やかになり、うきうきした気分になります。
 それでいて、どこかに寂しさを感じる季節です

 〇 春きみと駅の階段下りるときふうわり揺れるスカートを買う
              
 
…… (横浜市) 岡田紀子 朝日歌壇2018.03.05
    青春っていいなぁー。風が駅の階段を駆け登ってくる。スカートがふうわりと揺れる。一瞬二人の体                  が寄り添う…… 春は恋の生まれる季節です。

 〇 春が来て街の時計屋ひっそりと閉店セールの幟(のぼり)しまひぬ
          …… (東久留米市) 関沢由起子 朝日歌壇2018.03.12
      街でたった一軒の時計屋。入学祝の腕時計が子どもたちの腕で光っている。人生のスタートを飾り退
 
      職後の第二の人生を静かに見つめてきた町の時計屋が幟をしまう。また一つ街のにぎわいが消えた過 疎 の町。

   春は出会いの季節であり、同時に別れの季節でもあります。
     別れは出会いの始まりでもある。

 〇 惜別の花のこゑ聞く風の中                         
       …… (浜田市) 田中由紀子 朝日俳壇2018.04.22
      惜別の風が吹き、花吹雪の中からさようならの声が聞こえる。
 〇 満開の桜残して町を去る
      …… (柏市) 福川敏機 朝日俳壇2018.04.22
      
別れと出会いが交差する春。季節も人も走馬灯のように回っていく。
    〇    辛夷咲く傷み激しき空家かな
      
……  (尼崎市) 田中節夫 朝日俳壇2018.04.29
  〇  春浅し街路樹根元から切られ 
                           
               …… (堺市) 吉田敦子 朝日俳壇2018.03.19

                限界集落が静かに進行する。辛夷の花が白くたおやかに青い空に広がっている。
         何事もなかったように当時のままの姿を保ち続けている。
         開発のためとはいえ、なんと我儘で、傲慢な人間なのでしょうか。
         道路拡張や落ち葉の始末に邪魔なものは排除する。
         排除されるのは何時の時代にも弱者なのです。

     
      逝ってしまった人を思いだしながら、時の流れを感じるのも春なのでしょうか。
      春には出会いと別れの感情が潜んでいるのでしょうか。

  〇  お父さんを買ってと地団太踏んでいた子が高校生の母親になる (逝きし人)
                         …… (青森市) 前橋一二子 朝日歌壇2018.03.19
      母の手一つで育てた娘も今は懐かしい思い出になった。「お父さんを買って…」とせがまれた辛い思い出も
      今は懐かしい思い出としてよみがえってくる。 
  〇  忘れたら君は二度死ぬ七年を供養のために拾う桜花 (逝きし人)
                         …… (さくら市) 大場公史 朝日歌壇2018.03.19
      
君は逝ってしまったけれど、最愛の妻は今でもわたしの心に生きている。絶対忘れないよ。
      桜吹雪の花びらを一枚一枚拾いながら、逝きし人を思う情景が浮かんでくる。
                              (2018.5.11) (人生を謳う)
















 

 

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