これは したり ~笹木 砂希~

面白いこと、妙なこと、不思議なことは、み~んな私に近寄ってきます。

山の日、岩殿山に行く

2018年08月12日 22時39分34秒 | エッセイ
「岩殿山に行きませんか?」
 同僚の栗本さんは山男である。山の日に、山の会のメンバーで登山をするから、一緒にどうかと誘われた。
「特に予定はないから行きたいけど、一人じゃね~」
 姉に声を掛けると、意外なことに乗り気だった。かくして、山の日、岩殿山登山ツアーに参加することになったのである。
 8月11日午前9時。ツアー参加者は大月駅に集合だ。
「砂希、はい、これ」
 姉から、袋詰めした行動食セットが手渡される。登山は非常にエネルギーを使うので、羊かんや塩タブレット、チョコレート、せんべいなどをつまみながら歩くといいらしい。物々交換ではないが、私は姉のお弁当も作ったので、持ちつ持たれつといったところか。
 大月駅から少々歩き、登山道へ。



 標高は634メートル。さほど高くない山だから、山頂がここから見える。



 だが、私はこの階段を上る途中で、具合が悪くなってきた。胸がムカムカして足が重い。手先もビリビリしてきた。一体どうしたのだろう。リーダーの栗本さんが、ときおり後ろを振り返り、安否を気づかってくれるから助かった。
「みなさん、大丈夫ですか」
「ちょっと具合が悪いです。指先が痺れてきました」
「それはいけない。きっと熱中症でしょう」
 たしかにこの日も暑かった。でも、経口補水液を飲んでいたし、塩タブレットも食べたはず。それより、無性に甘いものが欲しかったから、低血糖だったのかもしれない。朝食にパンを2個用意したのに、時間がなくて1個しか食べられなかったことが脳裏に浮かんできた。しっかり糖質をとらないと、こういう結果になるらしい。
「食欲はありますか?」
「はい」
 どんなときでも、私は物を食べられるのだ。もはや特技か?
「じゃあ、おにぎりを1個食べてみましょう」
 ちょうど、手前に梅干しのおにぎりがあった。うーん、美味しい~!
 栗本さんからは「1粒100円」の塩粒をいただき、口に入れた。げげっ、しょっぱい!
 ご飯のおかげか、塩粒のおかげかわからないが、10分後には復活し、登山を再開することができた。みなさん、ご迷惑をおかけしました……。
 山頂まで、ゆっくり上って15分くらいだろうか。



 レンズが曇っていたのか、クリアーでなくて申し訳ない。
 下界が小さく見える。





「まだ早いんですが、この先、お弁当を広げる場所もないので、ここで食べちゃいましょう」
 栗本さんの指示で昼食休憩をとる。ミックスベリージュースが体中に染み渡った。デザートのハウスみかんもデリシャスだ。甘いものが欲しくて、羊かんも食べてしまった。
 食後は岩殿山を縦走し、天神山に向かう。下ったり上ったりするわけだが、ロープを頼りに急斜面を下りるところが難しかった。



 これに比べたら、鎖を持って岩場を登るところは簡単だ。木登りは得意だったからだろうか。
「暑ぅ~」
 岩場を抜け、木の間を歩く。どこまで傾斜が続くのだろうか。汗で風呂上がりのような髪になり、熱気で眼鏡が曇る。目に汗が流れ込み痛い。背中もお腹もじっとり濡れてしまった。それでも、登れ登れ登れ、登るんだ!
 天神山に着いたらしい。



 しかし、ハイライトはこれからだ。
「みなさん、これから稚児落しに向かいます。雨も降ってきました。雨具の準備をお願いします」
 名前の通り、稚児落しは物騒な場所なのだ。戦国時代、岩殿山城を居城とした小山田氏が、織田勢に攻め入られ、西側に逃げ落ちようとした。しかし、側室である千鳥姫の稚児が泣き出したため、敵に見つからぬようにと、護衛がこれを投げ落とした場所といわれている。
 そんな言い伝えとは裏腹に、何と美しい景色だろうか。



 写真を撮ったけれど、雨は激しいし、断崖絶壁に足はすくむしで、迫力不足……。
 この100倍くらい感動的だったことをつけ加えておきたい。
 汗ダラダラ、心臓バクバク、足ガクガクのキツい登りも、すべてこの絶景に救われる。ああ、頑張ってよかった。山男も山ガールも、単純でわかりやすいのだ。
 感動はさておき、雨に濡れた断崖を踏み外し、「ババ落し」にならぬよう慎重に移動した。
 先に進むと、稚児落しを臨む場所に出る。いかにも「登山」した雰囲気があるではないか。



 雨もすっかり上がり、下山を開始した。
 ところどころで休憩したこともあり、出発から6時間後に大月駅に戻ってきた。



 行きに見た風景とは違った印象を受ける。
「じゃあ、一杯やって帰ろうかな。明日もあるし」
 何と、山の会の方は、翌日も別の山を登るらしい。連続登山だ。さすがにそれは真似できない。
「ああ、楽しかったわぁ」
 姉は3年ぶりの山だったらしい。満足してもらえて、私もうれしい。
 いかにも、山の日らしい一日に感謝!


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12 コメント

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山登りはキツいけど登頂した時の感動は抜群ですよね~! (鹿島田の純)
2018-08-12 23:53:03
私も兵庫県にいた頃は南に海、北には山でしたから中学時代にはよく登りましたよ。(本格的な山登りはではないけど)ただ、登山靴やらリュックや飯合や非常食やテントや寝袋は持って山で泊まったりしてました。山頂からの景色にハマるとまた行きたくなりますもんね(笑)ぜひまたチャレンジしてくださいね。
良いなぁ~ (ZUYA)
2018-08-13 03:02:51
今年は上半期は腰がダメダメでしたから、1度も山に入っていない...

こちらの写真を見ているだけでムズムズしてきます

熱中症はとにかく早期に対策すべしですよね~

大月の駅前には地元のワイン飲み放題の居酒屋があったような...夫婦で“ヘベレケ”になった覚えがあります
お泊り (砂希)
2018-08-13 15:51:53
>鹿島田の純さん

山で泊ったんですか。
本格的ですね。
お風呂に入れないのはちょっと……。
たぶん、日帰り以外は行かないと思います。
登りがキツイとぼやいたら、「毎週登っていれば慣れますよ」と言われました。
たしかにそうかもしれない(笑)
階段より斜面の方が好きです。
下半期 (砂希)
2018-08-13 15:56:03
>ZUYAさん

下半期に期待するしかないですね。
熱中症なのか低血糖なのかわかりませんでしたが、登山に必要な体力が不足していたようです。
気をつけようっと。
具合が悪いことを言いやすい雰囲気も大事ですね。
なるべく親しい人と出かけるのが無難なのかも。
解散後は甲府方面に下り、勝沼ぶどう郷駅に出ました。
ぶどうの丘という施設で日帰り温泉とワインディナーを堪能しましたよ。
山梨バンザイ!
シャリばて (Hikari)
2018-08-14 08:29:24
我が家の山男にその症状について尋ねたら、食べて10分で回復したならシャリばてだね、と言いますけどシャリ=米、つまり、米が足りなくてバテる低血糖だろうというのです。しっかり回復されてよかったです。
山頂からの眺めは疲れを飛ばしてくれますね。
まさに (砂希)
2018-08-14 20:08:16
>Hikariさん

くまさんがおっしゃるならそれが正解なのでしょう。
日頃からの糖質制限があだになったのだと思います。
最近、エネルギー不足を感じることもあるし、朝食にパンを加えようと決めました。
菓子パンばかりを買ってきました♪
山の神の言う通りにしましょうかね。
登りのキツさも、山頂からの景色で忘れてしまうところが怖い。
登山認知症?
因みに低血糖は命に関わりますから気を付けて (鹿島田の純)
2018-08-15 02:05:21
人は血糖値が60切ると冷や汗や震えが出始めそのまま放置すると死に至り高血糖より危ないから気を付けて~!一番良いのはブドウ糖のタブレットを食べると一発で治ります。私も入院食だけでリハビリを激しめにしたら1度血糖値が66になりフラッとした事がありました。なので登山時には必ずバナナとかキャラメルとかチョコレートを持参してくださいね。非常食にもなりますから。
山ガール?! (片割れ月)
2018-08-15 20:18:37
最近頻繁にお出かけされてますね(*^^*)ポッ
栗本さんは既に察してますね、お腹が空くと具合が悪くなる性格?わかりやすいです。
縦走は憧れますが、くれぐれも捜索願を出されないようにご準備ください。
低血糖対策 (砂希)
2018-08-15 20:40:50
>鹿島田の純さん

山で必要なエネルギーをナメていました。
食べ損ねたパンはリュックに入れて、待ち合わせ前に食べればよかったです。
これ以来、何となく朝の立ち上がりが悪くて。
朝のパンを復活させています。
低血糖はこりごりです。
空腹 (砂希)
2018-08-15 20:45:31
>片割れ月さん

ひとまず、具合の悪いときにはおにぎりが効くようです。
一番心配していたのは、暑さでおにぎりが腐ることでした。
保冷袋に入れて、保冷材もつけておいたおかげで無事です。
このとき「冷たい」と思ったのですが、期待通りの味わいだったことが嬉しかったです。
コンビニおにぎりだとこうはいかないかな~。
遭難の危険はどこにでもあります。
方向音痴の私には人よりあるあるかも。
必ず複数で行かないとね。

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