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2444号Абрикос(杏)

2017-05-16 19:56:51 | 作品写真
室生犀星「杏っ子」を読んだのは大昔。可愛がられたお嬢さんのその父親視点。実は我が家にも独立した杏っ子がいます。未婚。母親ながら、父親にかしづくように溺愛された娘は一体どんな結婚をしてどんな子を産むのかとふと考えた。
小説を読んだのは学生の頃で、自分と父親の関係と比較するしかない。いや、かけ離れ過ぎて比較もしなかったと思う。
杏の奴、と同級生にからかわれた森杏奴と姉の森茉莉も対照的です。茉莉は幼い時に重病をしたせいか、甘やかされ甘えん坊のまま嫁ぐ。新婚初めての正月、母親は婚家の家事の担い手としてやっているか心配で様子を見にいきます。結果はサッパリ、うなだれてお母様帰った。
早世した姉と比べられて苦しんだのは幸田露伴の次女 文。性質が殊に美しかったと言われてもはや亡い姉、見習うも嫉むも叶わない。文自身の記憶にある姉もしっかりした優しい娘だが、更に不運な事に一人息子の弟も成人前に病で亡くなっている。その後文が、自分も父親の愛し子だったと思えるまでかなりの時間がかかります。
最近俺は既に両親が亡い方々に、いろいろあっても「まだいるうちよ」と言われ通し。そういわれちゃ仕方ない。もうこの歳だし、あんな人もいるんだなあと突き放して冷静に考えることもある。
生意気に他人様に「完璧な家庭はない」と言いきったこともある。それは、孤独死の不安を口にする独身貴族相手だとしても。産んで育てたって、赤ん坊の世話と老人の厄介は全く別物。あてにはならないんじゃないかな。
いろんな意見があります。夫はよく「娘さんが二人なんて羨ましい」と言われるそうな。‥その姉妹が二人とも俺みたいな不孝者かもとは皆さん思わないようです。貧乏や悪縁に姉妹が苦しみ余裕などないかも。そんなと誰が言い切れる?もちろんそうあっては欲しくないが。
‥俺が両親に冷めてるのは、27歳の時こちらが死にかけたからかも。あの時はかなくなっていたら、拙宅の杏っ子も産まず両親と互いに白髪を見せ合う日もなかった。夫は長女を連れて再婚したかも知れない。闘病中長女を育てたのは姑です。その後でさえ、同僚の女性がたくさんいる今の職場にたどり着くなど想像もできない。
だから幾ら老父が感情的になっても、結局互いに頭に来て言い合ってもそういう巡り合わせ星の下なんでしょう。
昔の父は、子をよせつけず父が帰宅すると家族皆が黙りました。機嫌によっては「何を気楽にしゃべってる!」とあたられた。
子を持つのは金がかかり意のままにならない、と人前でよく言いました。特に高度成長期以後、うかれたような消費文化を憎んだ。その中で当然のように中学や高校に行く我が子達を妬んだ。隠さなかった。そんな親もいるのです。
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