から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

デッド・トゥ・ミー シーズン2 【感想】

2020-05-30 09:36:10 | 海外ドラマ


シーズン1を超える面白さ。
「死を軸に運命の悪戯に翻弄される人たちを描いたコメディ」、シーズン1から続く作風はブレない。半ば事故だったものの、しっかり加害者になってしまった主人公のジェン。図らずして、シーズン1におけるジュディーと立場が入れ替わってしまう。2人は協力するが、素人による死体の隠蔽劇はスリルよりも笑いに傾く。いかにバレずに普段の生活を取り戻すか、これがシーズン2の話だ。



そこでまさかの、被害者の双子の弟が登場www。シーズン1に続き、ジェームズ・マーデンが再登板する。演じる弟は、ジェンによって殺された兄とは、正反対のナイスガイだ。体に傷を負うコンプレックスがあって、ジェンとの共通点があるのがポイント。シーズン1と同様、加害者と被害者にありながら友情を育んだ流れと同じく、今度は、ラブロマンスへと舵を切る。思春期に入ったジェンの長男の動きも大きな役割を担っていて、非常に脚本が練られている。執拗な女刑事との関係性も見どころ。

本シーズンで唸らされたのは、単に悲喜劇に踊らされるだけでなく、殺人事件を通して加害者が背負ってしまうもの、残された遺族の喪失、悲しみの深さに向き合っていることだ。加害者と遺族が密着するこのドラマの特性により、それぞれのキャラクターの想いが強く響いてくる。ジェンとジュディーを演じる2人のエモーショナルな演技も素晴らしく、次のシーズン3も楽しみになった。

【75点】


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自宅で飲み比べした件。

2020-05-26 07:28:28 | 


日本酒だ好きだ。
学生のときに立ち寄った島根にある日本酒の蔵元で試飲してからというもの、その旨さに目覚めた。そして、その数年後、居酒屋で飲んだ「十四代」の味に衝撃を受け、日本酒に対する愛が確固たるものになった。その後、利き酒師の資格(?)をとるなどしたが、近所の日本酒居酒屋が閉店してからというもの、すっかり飲む頻度が減った。

酒屋で好きな日本酒を購入して、自宅飲みする、そんな幸せな生活を送りたいものだが、自分の好きな日本酒はなかなか手に入らない。十四代や飛露喜、ここ最近のお気に入り(といっても10年くらい前だが)は同じ埼玉県の「花陽谷」とか。花陽谷なんて、以前は地元の酒屋で普通に購入できていたが、今ではまったく売られていない。飲みたい、けど、手に入らない状況がずっと続いている。

そんななか、このコロナショックにて、飲食店が休業、日本酒の仕入れが減ったことで、人気ブランドも消費者に手が届きやすくなっているらしい。

前から行きたいと思っていた居酒屋「サケラボトーキョー」にて、お酒の量り売りを開始した。大好きな十四代も入っている。自宅で十四代が飲めるチャンスが到来したのだ。当初、「サケラボトーキョー」では十四代といった入手困難ブランドを含めた3ブランドセットで売っていたが、あまりにも人気が偏るため、即、とりやめになった。十四代はセット販売から外され、条件付きの単品販売となった。

で、この間、十条にある「サケラボトーキョー」に行ってきた。冷蔵庫に鎮座している十四代は「出羽燦々 純米吟醸」、まだ飲んだことのないスペックだ。十四代の購入条件は、3ブランドセットを購入し、さらに、1つ以上のブランドを購入することだ。十四代を購入するためには、他の4ブランドを購入しなければならない。値段は3セット、各180ml(一合)ずつで1700円、単品ブランドは180mlで500円~。十四代は少し値段を上げていて180mlで1000円(おそらく原価の4倍くらい)。この値段設定は、かなり良心的といえる。トータルのお会計は瓶代を入れて、4000円ちょっと。目当ては十四代ではあるものの、気になっていたブランドも3本セットの中に含まれていたので好都合だった。

5つのブランドを自宅で飲み比べする。なんと贅沢な。。。。
せっかくの機会なので、ブランド名を伏せて、飲み比べをしてみる。どれが個人的に美味しかったか、あとで答え合わせしてみた。



<結果>
1位 自然郷 BIO 特別純米(酸味がタイプ、ピリシュワがいい。爽やかな飲みごこち)
2位 十四代 出羽燦々 純米吟醸(綺麗な味わい、果実感ありながらスッと消える)
3位 光栄菊 無濾過生原酒(柑橘系でジューシー、今回の中で一番主張強いが個人的に好き)
4位 楽器正宗 本醸造(酸味穏やか、個性弱いが食中酒として活躍しそう)
5位 くどき上手 酒未来 純米吟醸(後味に甘さが残ってやや苦手)

日本酒は嗜好品。今回、個人的にハマらなかった「くどき上手 酒未来 純米吟醸」は、売れ筋の人気酒というし、わからないものだ。あと、十四代については、過去の経験からいうと、自分の口に一番合うのは、一番安い「本丸」だったりする。今回も例外ではなかった。「サケラボトーキョー」では、現在「本丸」を量り売り中とのこと。。。もう一回行かねば。
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ジ・エディ 【感想】

2020-05-21 08:30:15 | 海外ドラマ


あのデミアン・チャゼルがネトフリで、連続ドラマを撮る_
否が応でも期待していたが、ドラマを見終わって思うのは、チャゼルはやっぱり映画を撮りたい人なんだということ。

「ジ・エディ」というジャズクラブでの人間模様を描く。
計8話。

チャゼルが監督するということだし、ジャズを扱うので、アメリカの話かと思いきや、まさかのパリが舞台。しかし、「花の都」なんていう観光名所は一切出てこない。知られざる、治安が悪めで小汚い「裏パリ」の街並みが新鮮。また、アフリカ系、アラブ系の人たちも多く住んでいて、他民族国家の一面も垣間見れる。

物語は、クラブを経営する親友2人組のうち、グレーな組織に関わった1人が犯罪に巻き込まれる。それをきっかけに多額の借金が判明、クラブの存続危機を回避しながら、メジャーデビューを目指すクラブの専属バンドの奮闘ぶりが描かれる。

このドラマを見て改めて思うのは、海外の語学力。劇中、フランス語と英語が当たり前のように使い分けられ、同じ会話の中でも何度も入れ替わる。バイリンガルは当たり前で、移民してきた人たちは、その2つの言語の他に母国語も話す。まともに英語も話せない自分が恥ずかしい。

バンドのメンバーは国際色豊か。それぞれの国籍はしっかり明かされないが、主人公であるバンドのプロデューサー兼、クラブのオーナー「エリオット」はアフリカ系アメリカ人。悲劇に遭う、彼の相方「ファリド」はフランス人。バンドのボーカルで「エリオット」の元恋人でもある「マヤ」はポーランド人。エリオット役は「ムーンライト」に出ていたアンドレ・ホランド(名前は知らなかった)、ファリドはお馴染みのフランス人俳優タハール・ラヒム、そしてマヤ役は「コールド・ウォー」(オヨヨ~♪)のヨアンナ・クーリク。ヨアンナ・クーリクは、映画の雰囲気とかなり違って、恰幅の良いおばさんに変貌していた。但しその美声は健在だ。



本作を一言でいうと、音楽ドラマ。喜怒哀楽、様々な状況下にも常に音楽が寄り添う。音楽でいかに魅せるか、それが製作の前提にあるようで、女優&歌手のヨアンナ・クーリクをはじめ、バンドメンバーはガチの一流のミュージシャンである。本物の演奏から、本物の音楽を提供するというアプローチだ。バンドメンバーをはじめとする登場キャラごとに、エピソードが構成されており、演技未経験のミュージシャンながら、なかなかしっかり演技をしている。なかでも、女性ドラマーの「カタリナ」に注目。前髪を短く切りそろえ、長髪の後ろ髪はドレッドでまとめる、彼女のドラム演奏がめちゃくちゃカッコいい。Youtubeで彼女の普段の演奏シーンを探してしまった。



肝心のチャゼル監督はというと、1話と2話だけで、お役ご免。彼が操るのは映画と同様にフィルムカメラであり、3話目以降の監督交代と共にデジタルカメラに切り替わる。スマホで見直すと、違いはそんなにわからないけれど、テレビ画面でみると、フィルムならではの粗めの質感が、光の明暗でグッと艶やかさを増す。ジャズの演奏シーンが美しく、チャゼルの音楽に対する熱量を強く感じる。しかし、それも2話目まで。元々、脚本には干渉していないので、3話目以降で仕上がりが大きく変わることはないけれど、彼が全話撮っていたら、また印象が変わっていたかもしれない。ネトフリとしては、チャゼルに全話、監督してもらいたかったはずだが。

このドラマが難しいのは、音楽にシリアスなクライムサスペンスを掛け合わせたことだ。本作を見る限り、この2つは相性が良くない。音楽の高揚感に、犯罪のスリルが水を差してしまう。エリオットと警察のやりとりも、冗長で締まらない。もっと爆発的な音楽の盛り上がりが欲しかった。最終話まで、モヤモヤが残る。

一方、思わぬ収穫は、エリオットの娘「ジュリー」演じたアマンドラ・ステンバーグ。映画「ヘイト・ユー・ギブ」も素晴らしかったんだけど、本作では、己の感情をコントロールできない役柄を繊細に演じてみせた。笑顔が抜群に可愛いし、演技は巧いし、参ってしまう。今後の彼女の動向に目が離せない。

【65点】
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サイケな世界 ~スターが語る幻覚体験~ 【感想】

2020-05-16 19:57:03 | 映画


ネトフリらしいコンテンツ。日本の地上波、いや、日本の製作会社では扱うことができない「薬物」モノをポジティブに捉えたドキュメンタリー。
本作で扱うのは「LSD」。一言でいうと、「幻覚剤」であり、タイトルのとおり、体内に接種することで「サイケな世界」を体験することができる。日本では違法薬物にあたるが、アメリカでは州によって合法化されているところもあるらしく、本作では、俳優、コメディアン、ミュージシャンら、LSDを経験したことがある著名人(とはいえ「スター」は一部)から、初体験のきっかけ、体験の具体的な現象、LSDについての考え方、等々、インタビューと、再現アニメ、ドラマ(?)を交えて、その実像に迫っていく。
全体を通して、LSDを肯定する内容なので、そのリスクについてはあまり触れられていない点が気になる。でも、経験したことがない、そして、今後も経験することはないであろう自分のような人間には、未知の世界を垣間見る面白いコンテンツだった。
幻覚体験とは何か?視覚を中心に目の前に広がる世界が虚実に変わる現象であり、多くの人が言うのは「世界と自分がつながる」とのこと。草木、石、生き物といったあらゆる自然、あるいは、食べ物、食器、家具といった「モノ」に命が宿り、動き、ときには自分とコミュニケーションがとれることもあるらしい。「スピリチュアル」な体験ともいえ、これまでの自分を違う次元から見つめることもでき、うつ病やPTSDといった精神疾患にも効果があるという考え方もある。新しい世界を知る行為でもあり、ミュージシャンのスティング曰く、「目的をもって使えば、有効なもの」。愛らしいアニメを用いながら、幻覚世界をわかりやすく解説してくれる。他に、空を飛ぶ浮遊感、体の部位が解けて何かと一体化するなど、アメリカの映画を通して見知った世界が描かれる。そのすべてが楽しい「グッドトリップ」ではなく、不安や絶望感に襲われる「バッドトリップ」なるものがあるらしい。歩き方で見分けることができるようで、前のめりになって歩く人は「グッドトリップ」に入っていて、後ろぞりで足から先に歩く人は「バッドトリップ」に入っている人。。。なるほどである。
大真面目にLSDを捉える反面、想像力が足りないと「一回、やってみなよ」というメッセージにも捉えられなくもない。日本にいながらにして、あらゆる多様性に触れさせてくれるネトフリに改めて感謝。
【65点】
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オザークへようこそ シーズン3 【感想】

2020-05-13 07:59:46 | 海外ドラマ


シーズン2に続き、そのままシーズン3に突入。

なるほど、前半から一気に面白くなった。
が、後半で台無し。

本シーズンでは、主人公らの「ボス」であるナバロカルテルと、敵対するカルテルとの抗争が激化。メキシコ内での抗争だが、アメリカで資金洗浄をしているバード家にも大きな影響を及ぼす。シーズン2で資金洗浄のためのカジノ設立を成功させたが、ナバロカルテルへのさらなる「忠誠心」が試される。

ようやく「守り」から「攻め」にギアチェンジ。



新たなFBI捜査官のもと、運営カジノの監査と称して大掛かりな捜査のメスが入る。指揮をとるのは身重の女性捜査官「マヤ」。映画「ファーゴ」同様にかなりのキレ者で、カジノに常駐する形でマーティらの動きを常に監視している。確実な証拠がないため、逮捕できないものの、彼女はマーティらがカルテルの資金洗浄に関わっていることを確信している。そうしたFBIの動きは、マーティたちに仕事を依頼しているカルテルらにとっても大きな障害になる。



安全、安心をモットーに引き続き「守り」に入るマーティに対して、カジノ設立を通じて自身の能力を再確認し、かつての自信を取り戻したウェンディは「攻め」に打って出る。双方、理解し得ないままに、ウェンディは無断でナバロと直接接触し、新たな提案を持ち掛け、承認される。

夫婦間には深い亀裂が入り、互いへの信頼感は失われる。これまでのシーズンであれば、家族内でのトラブルとして片付けられたが、本シーズンからは、カルテルの動きがもれなく後ろにくっついてくる。ウェンディの動きを家族の脅威とみなした(あるいは自分が支配できないことの感情から)、マーティがとった行動により、カルテルの不信感を買うことになる。抗争が激化し、少しのほつれも致命傷になることを恐れたナバロは、マーティに試練を与える。



このドラマでも、カルテルは絶対的な恐怖として位置付けられ、キャラクターたちの命を支配する存在として君臨する。カルテルには全てお見通しで、欺くことは命とりになる。マーティの危機に乗じて、抜け目ないマヤは、司法取引をウェンディに持ち掛ける。「カルテル」と「FBI」を天秤にかけながら、葛藤するウェンディの姿が、このシーズンで最もスリリングだった。

思わぬマヤからのアシストにより、自身の能力をナバロに証明し危機を脱したマーティは、「攻撃こそが最大の防御」と”覚醒”に至る。展開の主導権を握っていく様子に「待ってたのはコレだ!」と奮い立つも、後半から雲ゆきが怪しくなり、ついには土砂降りになって手がつけれらない有様になった。一言でいうと、みんな馬鹿になってしまったのか。

ウェンディの弟「ベン」を巡る展開だ。
愚かしいキャラクターを愚かしく描くこと。命がかかった、この手のスリラーもので、このアプローチは不適当。しかも本作の場合、「病気だから」という理由一つで、ロジックを無視するから、理解ができないし、それでエモーションを醸成しようとするから呆れる。急に謎の行動を連発するベンもそうだし、そのベンをギリギリまで甘やかす周りの人間たちもそうだし。もっというと、その発端となった弁護士「ヘレン」もそうだ。娘に自分の正体をバラされてしまったことに対して、個人的な感情(恨み)を、カルテルの脅威にすり替えているような描き方だ。見ていて本当にイタかった。

全体を通して、何かが起きてから収束するまでの流れ、早い段階から、結末が予想できてしまうのは、これまで通り。その完成度は別として、ウェンディ、ヘレン、ダーリーンら、女性キャラたちが物語をかき回す構成は新鮮だった。ダーリーンの熟練の”技”によって、ルース弟が骨抜きになるとか、グロテスクで好印象。マーティ、ウェンディとナバロとの駆け引きも見ごたえがあった。

衝撃的な結末を迎えた本シーズン(これも想定内だったが)。「傑作」と喜べないことにモヤモヤしつつも、来年以降の次のシーズンも、結局、気になるから見てしまうのだろう。

【60点】
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オザークへようこそ シーズン2 【感想】

2020-05-12 07:01:06 | 海外ドラマ


在宅勤務が5月末まで延長されることになった。定時の18時半までの業務を終えたのち、0分で帰宅できる、この状況にすっかり慣れてしまっている。夜の空いた時間は、ネトフリ三昧。Rottenで評価の高いコンテンツをピックアップしてみているが、「オザークへようこそ」のシーズン3のスコアが高かったため、見ることにした。このドラマ、シーズン1が期待外れだったので、シーズン2を見ていなかったのだが、シーズン3をみるために再度追いかけることにした。

シーズン2では、主人公らが新たな資金洗浄の手段として、オザークに新しいカジノを作るまでの道のりが描かれる。

前シーズンでカルテルとのつながりが家族の周知となったバード家。一家の長である、マーティと奥さんのウェンディは相変わらず、地元のギャングとカルテルとの板挟み状態が続く。「合法的に資金洗浄ができる」というロジックがよく理解できなかったものの、とにかく、カジノを使った資金洗浄はその理想形なのだという。但し、その実現は難易度が高く、土地の問題、法案の問題、諸団体の利害の問題等々、クリアすべき課題が山積し、思わぬ事態に見舞われながらも、マーティとウェンディがカジノ開発に奔走する。

面白いストーリーを描くなーと、関心するものの、同じ「カルテル」関連のドラマとして「ベター・コール・ソウル」(S6)を見たばかりに自分にとっては、大いに物足りない。シーズン2も凡作だ。

キャラクターに成長や変化がみられない。バード家は家族を巻き込む危機に陥っても、防御する一方で、戦いのスタイルを変えない。強いていえば、ウェンディが変わったか。もう普通の家族ではないのだから、もっと大胆に描いてもよいと思う。切り抜けて切り抜けて、何とかゴールする。結果、達成感が得られない。



会計士としての能力をもっと見せるべきなのに、新キャラとして登場する女性弁護士には「なんとかしろ」とやりこまれ、交渉人として動き回るばかり。せっかくの設定をなんでもっと活かさないのだろう。

誰かが消されるシステムや、「なんでやねん」とキャラクターの愚かな選択にイラつく場面など、かつてみた「ウォーキング・デッド」に似てきた感じがする。ルースの父親が出所するが、ワルをワルとして描くことしかできず、その脅威で無理やりスリルを醸成する。強引さが目に余る。

「ブレイキング・バッド」や「ベター・コール・ソウル」と比較すべきではないが、あのシーンのワンカットワンカット、セリフの1つ1つを注視するほどの脚本や演出の凄みは到底なくて、人物描写やカメラワークから、次の展開があっさり読めてしまう。「でしょうね。。。」っと何度ツッコんだことか。映像が物語を語るだけに機能しているので、音声だけでも楽しめるドラマと言い換えられるかもしれない。



そんななか、シーズン1ではまったく受け付けなかった、「ルース」演じるジュリア・ガーナーの繊細な演技にようやく気づかされた。あの童顔と甲高い声はハンデになり得ると思うが、顔の細かい筋肉の震え、目の動きから、腹の奥底にある、悲しみ、怒り、恐れ、愛情みたいなものが滲んで、ルースというキャラクターに説得力を与えて、ドラマを感じさせる。あとで調べたら、このシーズンでエミー賞をとっていたらしい、納得。それにしても、彼女はこの作品のなかで何度「ファ〇ク」と言っただろう。。。。

カジノ開発の過程で、すっかり地元の有力者となったバード家。まさかのドンデン返しに、当然、シーズン3が気になる。話は面白いので、そのまま見続けてしまうが、シーズン3での「攻め」に期待。

【65点】
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ハーフ・オブ・イット 【感想!】

2020-05-07 07:56:45 | 映画


青春映画の新たな傑作を見つける。知的で清々しくて勇気を与えてくれる1本。
一見地味だけど、こういう素晴らしい作品に光を当てる、これぞネトフリ映画の真骨頂だ。この監督の映画をもっと見たい。

元々、人間の体は2つで1つだった。神は人間を不完全なものにするべく、半分に分けた。その片割れとなった半身は、元の片割れを探す、そして1つに戻った状態を「愛」と定義する ” らしい ” _
そんな出だしから始まる。

アメリカ映画でよくみる田舎の風景。17歳になる女子高生エリーは、自身の文才を活かして、クラスメイトの論文を代筆し、小銭を稼ぎ、貧しい家計を助ける日々。幼少期に、中国から渡った移民であり、母親を早くに亡くした父子家庭、一部の心無いクラスメイトからは馬鹿にされ孤独な高校生活を送る。そんな彼女に、単細胞系フットボール男子のポールから「ラブレターを書いてほしい」という新たな依頼が入る。諸事情により、止むなく引き受けたエリーだったが、その相手というのが、自分も密かに想いを寄せる同級生美女のアスターだったという話。



アスターとの文通を通して、ポールの恋を成就させようと言葉を操るエリー、少しお馬鹿だが一生懸命エリーのペースに食らいつくポール、次第にポール(エリー)の言葉に惹かれていくアスター。この3人の三角関係で起きる恋愛と友情の物語を、軽妙なユーモアを交えて描いていく。



今どき、手紙??という第一印象だが、肉筆の文字には言葉の力が宿ると感じた。そして現物として残るから、書く人の覚悟が伴う。読書家で絵を描くことも好きだったアスターに合わせ、過去の本や映画の引用を取り込み、エリーは言葉を紡いでいく。真意を掴めない言葉も多いものの、見る人の三者三様の解釈を引き出す余白として感じ取り、とても心地いいものとして機能するから不思議。それはこの映画に込められたテーマにも言えることで、実際、「この映画で言いたいことって何?」って問いを出されたら、見る人によって答えは割れるだろう。大きくは探すべき片割れは他者にあるのか、それとも自身の中にあるのか。

エリーをはじめとする3人のキャスティングが見事だ。3人のキャラクターにしっかり愛情が注がれていることもあって、観終わる頃には3人のことをもれなく好きになっている。エリー役のリア・ルイスの知性と強さが滲むハスキー低音ボイスが素敵(惚れてまうやろ)。彼女による冒頭のナレーションで早々に傑作の気配を感じとる。大人の立場として唯一、3人の間に絡んでいく、エリーの父親役のコリン・チョウも非常に良い味。

3人の間だけで起きる話を、2時間弱、ずっと夢中になって見ていられるのは、この3人が双方向に影響を与え変化を遂げていくプロセスが鮮やかに描かれているからだ。この変化は成長であり、彼らの未来、希望へと直結する姿がとても眩しく映る。恋愛もの、友情ものを超えて、人生賛歌へと飛翔するほどのインパクトを受けた。なお、女子が女子を好きになるLGBTモノというカテゴライズは完全に霞む。ナチュラルな恋愛ドラマとして感じられることも特筆すべき点だ。

ラスト、爽快かつエモーショナルで完全にヤラれた。
列車に追いつかないとわかってても、追いかける意味があるんだよね。
旅立ちの時、「面白いのはこれから」。

【85点】

あ、ソーセージタコスってどんな味だろ。
あと、ヤクルトにも注目ww





コメント (1)
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アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~ 【感想】

2020-05-06 09:49:18 | 海外ドラマ


アマプラで配信されていた海外ドラマ「アップロード」を見た。

全10話だが、各30分程度でサクサク見られる。
今の時代に合ったボリュームだが、なかなか練られた話で面白かった。
(けれど、いろいろと惜しいな・・・・)

2033年という近未来の設定。死ぬ間際に、2つの選択ができることになっている。そのまま天国に召されるか、それとも意識、記憶だけをデジタルで作られた仮想世界にアップロードするか。後者の世界を描くのが本作であり、仮想世界に行くと、そのまま永久的に生活することができて、VRを通じて現実世界とつながることもできる。現実世界では資源が枯渇し、食料は3Dプリンターで作られた疑似だったりする。一方の仮想世界は、快適なリゾート地。美しい自然に囲まれ、快適な居住空間が用意され、美味しい料理が食べられる(とプログラムされている)。ある意味、仮想世界のほうが幸福だったりする。この設定を思いついた時点でほぼ勝利。

今から少し進んだ時代というのがミソ。現代のデジタル社会における皮肉も風刺され笑いに転化される。何かとオプションで金をとるシステム、データ容量を超えると動かなくなる、評価は星の数で決まる等々。ややチープな視覚効果も、逆にコメディの追い風になっている。

デジタルの仮想世界は、現実世界に存在する企業によって運営されている。残された遺族がその運営会社に料金を支払うことで、主人公らは仮想世界で生きることができる。仮想世界で起きる出来事を描くだけでも1つのコメディショーになると思うが、本作では、仮想世界と現実世界を交わせ、主人公が事故にあった真相を探るミステリーや、主人公と現実世界から接触するカスタマサポートの女子とのロマンスを差し込む。コメディとミステリーとラブロマンスを共存させる脚本であるが、その点はあまり機能していないと思われる。軽い笑いを基調とした世界観で、シリアスなミステリー要素はアンバランス。

恋愛要素も然り。演じるキャスト陣はすべて知らない役者ばかりで「よくいるタイプの容姿」という印象からスタート。次第に魅力的に見えてくるというパターンが、本作にはあてはまらなず、恋にときめく2人の姿が輝かない。キャスティングはかなり重要な要素と、本作を反面教師な扱いにして改めて思う。

また、コメディドラマとしては1シーズンで終わらせたほうが良いサイズ感であり、次のシーズン2まで引っ張った最終話には正直冷めた。ただ、映画版としてリメイクし、もっと恋愛要素をブラッシュアップさせたら、「her」みたいな傑作になり得るような気がする。

【65点】
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タイラー・レイク 命の奪還 【感想】

2020-05-06 08:43:33 | 映画


先月末にネトフリで配信された「タイラー・レイク」。全世界同時配信だが、1週間で9000万の世帯で見られたらしい。自分も楽しみに配信を待っていたが、凄い時代に入ったものだ。劇場が閉まっている状況下で、劇場で公開されるレベルの大作映画を自宅で視聴するという事態に、新たな潮流を改めて感じた。
ワケありの傭兵が、誘拐されたインドの麻薬王の息子を救出するという話。一応、チームを組んで救出作戦に臨むのだが、ほとんどの局面で一匹で敵に立ち向かう。絶対絶命の危機をどう切り抜けるか、ほぼ全編に渡り、魅せ場が用意され、少々の胃もたれ感がありながらもアクションに徹した作りになっている。非常に漢くさくて、かつてゴールデンタイムのテレビで流れていた「ランボー」や「コマンド―」を彷彿とさせる。
ドラマは薄味。劇中で描かれているほど、主人公と少年の間に絆は感じられないし、そもそもあのラストで少年は大丈夫なのか、とツッコミを入れたくなるし。”死に場所”を探しているように見える主人公の設定までは良かった。
監督はスタントマン兼コーディネイターとして活躍していた人。銃撃アクションと肉弾アクションを交互に入れ混ぜ、その多彩さに目を奪われる。その点は「ジョン・ウィック」シリーズに近いけど、本作の特筆すべき点は、生々しい肉体描写にある。止めどない戦闘を終えた主人公にはちゃんと疲弊感も伴う。クリス・ヘムズワースが大暴れする。あの腕の太さよ。衣装の外側からも肉厚で固い筋骨が余裕で透ける。襲い掛かる相手をなぎ倒すシーンとか、普通に吹っ飛びそうで、相手もかなり痛そうだ。本作のアクションの成功には”受け手”となるスタントチームの功績も大きい。
【65点】


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キング・オブ・メディア シーズン1,2 【感想】

2020-05-02 09:51:29 | 海外ドラマ


海外ドラマ「キング・オブ・メディア」が面白かったので感想を残す。HBO作品はやっぱ優秀。

ドラマ「ウォッチメン」を目当てに1カ月だけ加入したスターチャンネル(その「ウォッチメン」は個人的にイマイチ)。自分がフォローしているアメリカの海外ドラマウォッチャーの人が昨年のベストワンに挙げていたことを思い出し、スターチャンネルでアップされていた最新のシーズン2から見ることにした。シーズン1で起きたことをギリギリ想像力で補完できるレベル。見終わった頃に、このドラマに夢中になっていたことに気づく。で、追っかけで、そのまま、アマプラにてシーズン1に突入。シーズン2の前日譚として位置付けていたが、この見方は失敗。シーズン1を見た後にシーズン2を見ていればもっと面白かったはず。

複合メディア企業として世界5位の規模を誇るという「ウェイスター・ロイコ」社。ロイ家という大富豪一家が経営している会社であり、その家族の愛憎劇を描く。まさに「愛」と「憎しみ」の物語という言葉がしっくりくる。

年齢は80歳、家長であり、巨大企業の創業者であり、会長兼CEOである「ローガン」。その次男で会社の後継者と目されていた「ケンドル」、三男で会社の重役についている「ローマン」、末っ子の女子であり政界で働く「シヴォーン」、長男だが会社経営から離れ農場を運営している「コナー」、この4人がメインキャラ。そこにローガンの現妻であり、ケンドルらにとって異母であたる「マーシャ」、シヴォーンの恋人であり、ローガンの会社に勤める「トム」、親戚というだけでテーマパークのバイトから正社員の登用された「グレッグ」。この3人がサブキャラとして絡んでくる。

「家族」×「野心」、この2つが本作の燃料だ。

資本主義国家でありながら家族至上主義国家であるアメリカ。有り余る富は血の繋がった同族のなかで分配する。能力の有無に関わらず、会長の子どもというだけで巨大企業の重要ポストが与えられる。会社が掲げる「公平」「実力主義」という言葉は大嘘だ。

金持ちを超えた、大富豪な人たちの生態はとても新鮮。金を持っていることは当たり前で、金は物欲を満たすためのアイテムではなく、日常生活を円滑に過ごすための潤滑油に過ぎない。自家用ヘリと自家用ジェットは日常使いの足。少しでも何かにつまづけば、金でどうにかするし、金でどうにかなる。お金に対する感覚が異次元だが、こういう人たちが現実世界にも存在するのだろう。

浮世離れした金持ちの家庭に生まれた4人の子どもたちは、ノーマルな社会人になれない。まともな常識人がいない。金があることの不幸というべきか。ケンドルは”粉”が大好物だし、ローマンは変態で異常な性癖を隠せない、シヴォーンは自信過剰が痛いし、コナーは一番の年長者だが普通にアホ。30代から40代のイイ大人たちだが、厄介ゴトをすぐに引き起こす。その度に大金が湯水のように使われる。札束で恥部をぬぐう、まるでトイレットペーパーのような使い方。常人には無駄遣いにしか見えないが、ここまで来てしまうと金銭感覚は麻痺するもの、「カネ」というものに対する執着もなくなる。実際、このドラマの主要キャラが求めているのは「カネ」ではなく「権力」といえる。もっと大きく、そしてもっと上へ行きたいと欲する。

その中心にいるのが、会社を一代で築いたローガンである。一言でいえば、サディスト。周りの人間はみんな彼に雇用されている立場であり、その関係性は隷従といえる。パワハラは当たり前。激しい罵声を吐き散らかす。気に入らなければ即クビ。訴訟を起こされても金の力でねじ伏せる。帝国の独裁君主であり、それは家族のなかでも同じ。4人の子どもたちはローガンへの畏怖が常にある。そして認められたいという承認欲求がある。そんなローガンでも、唯一恐れているのは株主の存在だ。自分の権力は株主に掴まれているからだ。子どもたちへの遺産も株式であり、アメリカらしい資本主義経済の形がよく見えるのも特徴的だ。ローガンの個性がとにかく強烈だが、これだけ大きな組織のかじ取りをする人間には、冷酷さや非情さは不可欠な条件ともいえる。

家族という強い絆で結ばれながらも、巨大企業を運営するビジネスパートナーでもある家族。展開は、その巨大企業を買収せんとする外部からの攻撃から、いかに防御して反撃に出るか。ときに政治を巻き込み、企業間の戦いが繰り広げられるなかで、家族間での闘争にも発展するパターンである。明け透けな言葉の応酬が楽しく、どちらがいかに優位に立つか、駆け引きがスリルを醸成する。脚本が抜群に面白い。

お気に入りのキャラはグレッグ。「カネ」の味を知らない一般人で、とにかくマが悪く要領が悪く、社会人としても無知で未熟、だけど、利己的な面々のなかでまともな感覚を持っている。視聴者に一番近いキャラでもあり、ロイ家版「家政婦は見た」的な役割を担っているのが面白い。いつも目が泳いでいて、あの役者さん、かなり巧い。



どのキャラクターにも感情移入しないのだが、夢中になってしまう珍しいパターン。少し残念なのは、本作で描かれるのは巨大企業を運営する社会的立場にある人間たちの「裏(オフ)」の姿ばかりで、彼らの「表(オン)」の姿があまり描かれないこと。本音と愚かさばかりで、建て前で作っているビジネスマンとしての顔がもっと見えれば、その振り幅でもっと面白くなったはず。

波乱のラストで幕を閉じたシーズン2。シーズン3は今年にアメリカで放映予定。日本での放送は年末くらいなるのかな。

【75点】







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