から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

第91回アカデミー賞授賞式を見届けた件。

2019-02-25 13:52:33 | 映画
第91回アカデミー賞が幕を閉じた。今回も生放送で視聴。
受賞結果を下記にまとめる。

作品賞:グリーン・ブック
監督賞:アルフォンソ・キュアロン(ROMA ローマ)
主演男優賞:ラミ・マレック(ボヘミアン・ラプソティ)
主演女優賞:オリヴィア・コールマン(!)(女王陛下のお気に入り)
助演男優賞:マハーシャラ・アリ(グリーンブック)
助演女優賞:レジーナ・キング(ビールストリートの恋人たち)
脚本賞:グリーンブック
脚色賞:ブラック・クランズマン
撮影賞:ROMA ローマ
編集賞:ボヘミアン・ラプソティ
美術賞:ブラック・パンサー
衣装デザイン賞:ブラック・パンサー
作曲賞:ブラック・パンサー
歌曲賞:アリー/スター誕生
メイクアップ賞:バイス
録音賞:ボヘミアン・ラプソティ
音響編集賞:ボヘミアン・ラプソティ
視覚効果賞:ファースト・マン(!)
外国語映画賞:ROMA ローマ
長編アニメ映画賞:スパイダーマン・スパイダーバース
長編ドキュメンタリー賞:Free Solo


サプライズは、主演女優賞のオリヴィア・コールマンの受賞と、視覚効果賞のファースト・マンの受賞。他は下馬評とおりでいまいち盛り上がらなかった。ブラック・パンサーの三冠は、作品がアメリカで愛されていることを再認識させた。今回、最も予想が難しいとされた作品賞は「グリーンブック」へ。アカデミーは、NETFLIX映画にはまだ作品賞は与えず。というより、俳優の仕事を評価する作品賞にあって、普通に順当だったともいえる。今週公開の「グリーンブック」が楽しみ。「ROMA ローマ」のアルフォンソ・キュアロンは、製作(外国語映画賞)、監督、撮影で、個人で3冠を達成。キュアロンへの評価は十分だろう。
今回は、MCなしでの進行だったが、あまり違和感はなかった。但し、時間短縮を考慮してか、アカデミー賞ならではのパフォーマンスは全くなく(歌曲賞絡みのみ)、本当に物足りなかった。1年間の映画の総決算としても役割があると思っていたので、この状況は非常に残念なことだ。来年も同じ方針で開催するのであれば、生放送で観なくても良いかなと思う。

他、授賞式で思った駄文。

・事前に行われたという、キュアロンと是枝監督が参加したパネルディスカッション、どっかで見られないかなぁ。
・プレゼンターで登場したシャーリーズ・セロンの口紅が鮮やかで目立つ。
・司会者なしだが、全く違和感なし。ただ、賞の発表だけで終わった。
・「スパイダーマン・スパイダーバース」の監督で、最大の功労者のボブ・ペルシケッティ、時間切れによりスピーチマイクが切られ可哀想っw
・「Shallow」のパフォーマンス、ブラッドリー・クーパーとガガの顔の距離、近っ!映画のワンシーンみたい。
・ブラッドリー・クーパーのパートナーを初めてみる、超美人。
・スパイク・リー、脚色賞で初受賞、プレゼンターのサミュエル・L・ジャクソンに抱きつき、喜びを爆発させる。やっぱ嬉しかったんだな。
・オリヴィア・コールマン、驚きのリアクションが素で可愛い!ユーモアもたっぷりで彼女の人柄が良く出てる。今回のベストスピーチ。監督のランティモスも涙。
・WOWOW、競合のはずなのにしっかりNETFLIXの情報も公平に伝えている。素晴らしい。

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女王陛下のお気に入り 【感想】

2019-02-24 12:39:34 | 映画


女王と女官と侍女、全員が主役のような映画だ。それぞれの視点で物語が見えてくるから面白い。描かれるのは豪華絢爛な宮廷で繰り広げられる3人の愛憎劇。私欲、権力、嫉妬、忠誠、プライド、正義が絡み合い、あれよあれよと立場が入れ替わるマウントの取り合いが繰り広げられる。余談を許さず、物語の終着点が気になって堪らなくなる。空間を飲み込むような超広角撮影がどこか歪で、監督ランティモスの意地悪な毒気は健在だ。

過食により通風と糖尿病を患い不自由となった女王は、過去の悲しみから国政よりも愛されることに執着する。女王の幼なじみで心身に渡り仕え、国政の実質的権力を握る女官は、自らが招き入れた女によって思わぬ脅威にさらされる。上流階級から没落し苦労を重ね宮殿に飛び込んだ従順な侍女は、危険なヒットマンに変貌し復活を企む。

変質監督ランティモスの味付けはかなりマイルドだ。過去作と比べて監督の個性が前面に押し出されることなく、スパイスとして作用。誰もが租借しやすく、純粋に楽しめる映画になっていて、個人的には本作くらいがちょうどいい。カツラをかぶり顔を真っ白に化粧した男たちは女たちに振り回され、ヘンテコダンスを踊る。逆襲宣言の”返り血”描写や、3人の愛憎が国政を動かしてしまう皮肉など、シュールでブラックなユーモアが独特なリズムを刻む。

何よりも最大の引力は、3者を演じた、オリヴィア・コールマン、レイチェル・ワイズ、エマ・ストーンの火花散る演技合戦だ。3者それぞれに演じ手としての見せ場が用意され、その期待に鮮やかに応える名演ぶりを見せる。時に滑稽で、時に不気味で、時にエモーショナル。賞レースでは、コールマンが主演、ワイズとストーンが助演と位置付けられるが、誰が主演扱いでもおかしくないほどの存在感。超一流の女優たちによる、互いが互いの演技を高め合うアンサンブル劇に最後まで釘付けになる。

女王の行き場のなくなった愛の行方を表現したラストカットが鮮烈だ。コメディではなく、間違いなくドラマ映画だ。

【75点】

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第91回(2019年)アカデミー賞 直前予想

2019-02-23 01:00:00 | 映画
ついに3日後に迫った、第91回(2019年)アカデミー賞授賞式。
仕事は期末の繁忙期に入り大忙しのなか、今年も何とか仕事を片付け、有休を取得し生放送に臨む。

勝手に最終の受賞予想をしてみる。

【作品賞予想】
 グリーンブック

獲るべきは「ROMA ローマ」と思うが、アカデミー会員が動画配信映画の初ノミネートでいきなり受賞させるとは思えない。ちなみに、先に開かれたイギリスのアカデミー賞では堂々作品賞を受賞(快挙)。

【監督賞予想】
 アルフォンソ・キュアロン「ROMA ローマ」

「ROMA ローマ」のキュアロンで硬い。あそこまでパーソナルな話を、普遍的なアート作品に昇華させた手腕は讃えられて然るべき。あんな映画、他の誰にも撮れないだろう。先週、WOWOWで「WHY MEXICO?」という、近年のメキシコ監督の活躍の背景に迫ったドキュメンタリーが放送されていて、めちゃくちゃ面白かった。キュアロン、イニャリトゥ、デルトロ、そしてカメラマンのルベツキといった、稀代の天才映画人が出会った経緯にシビれた。「アモーレス・ペロス」で3人の監督が編集に携わっていたなんて驚き。

【主演男優賞予想】
 ラミ・マレック「ボヘミアン・ラプソティ」

今年は他を圧倒するような主演男優候補がいないとされ、不作、混戦などといった声をチラホラ聞くが、受賞はSAGをとったラミ・マレックで決まりだろう。個人的にはやはりイーサン・ホークが候補から外れたのが残念。

【主演女優賞予想】
 グレン・クローズ「天才作家の妻 40年目の真実」

これまでの功労賞や、作品での存在感を踏まえ、グレン・クローズで異議なし。先週「女王陛下のお気に入り」を観た。対抗馬のオリヴィア・コールマンも素晴らしいものの、エマ・ストーンやレイチェル・ワイズの存在感が際立っていた印象あり。

【助演男優賞予想】
 マハーシャラ・アリ「グリーンブック」

前哨戦の結果からマハーシャラ・アリ以外なさそう。これで2つ目のオスカー獲得、すごい。

【助演女優賞予想】
レジーナ・キング「ビール・ストリートの恋人たち」

ここも、前哨戦の結果からレジーナ・キング以外なさそう。「ビール・ストリートの恋人たち」は土日で観にいく予定。

他、注目している部門の予想は以下のとおり。

【脚本賞予想】:「女王陛下のお気に入り」
【脚色賞予想】:「ブラック・クランズマン」
【撮影賞予想】:「ROMA ローマ」
【編集賞予想】:「ボヘミアン・ラプソディ」
【視覚効果賞予想】:「レディ・プレイヤー1」
【アニメーション映画賞予想】:「スパイダーマン:スパイダーバース」
【外国語映画賞予想】:「ROMA ローマ」


注目は、「ROMA ローマ」で製作、撮影も兼任しているアルフォンソ・キュアロンが、監督賞含めて、個人として3冠受賞なるか。万一、作品賞まで獲ったら、個人で4冠を受賞するという快挙になる。
あと、昨日、試写会で「スパイダーマン:スパイダーバース」を観た。はっきりいって事件。「凄い」を超えた形容詞を必死で探してしまう。百歩譲って脚本が弱かったとしても(それもないが)、このアニメ映画を超える映像体験を提供してくれるアニメ映画は、この先、出てくるのだろうかと思えた。あれほど興奮した「インクレディブル・ファミリー」のアクションも、「スパイダーマン~」と比べると大人と小学生のレベルの違い(あくまで視覚的要素のみで)。

今年の授賞式は司会者不在とのこと。アカデミー賞を見始めてから、初めてのことなので楽しみだ。

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ファースト・マン 【感想】

2019-02-20 08:00:00 | 映画


「地球は青かった」はガガーリンで、宇宙飛行に初めて成功した人。本作の主人公、ニール・アームストロングは世界で初めて月面に降り立った人だ。ガガーリンが宇宙にようやく出た、わずか8年後に遥か彼方の月面に到着してしまう。「技術の進化は目覚しい」と思いきや、とんでもない。不完全とも思えるギリギリの技術力で、宇宙空間を横断する。それは文字通りに命がけの挑戦だ。

アームストロングのテストパイロット時代が冒頭で描かれる。薄い鉄板で作られた飛行機で大気圏を突破、体を押し潰さんとする重力に耐え、すぐに制御不能になる機体性能を人力でカバーし、「ガタガタ」と今にも外圧で吹き飛ばされそうな機体の振動に耐える。安全に飛行させるためのテスト飛行であるが、それでも人間を乗せるレベルには達していない。あれで宇宙に行こうなんて、当時の飛行技術は明らかに未熟だ。

飛行シーンにおける撮影ショットは、空飛ぶ機体を俯瞰で捉えない。アームストロングを初めとする飛行士たちの顔面に接近し、彼らの視点から見える小窓から宇宙を望む。観客に迫るのは体感だ。それもスリルを超えた恐怖である。狭い操縦室に押し込まれ、外部から厳重にナットで密閉され、乗ったら最後、待ち受けるのは生か死か。さながら鉄の棺桶だ。実際、これほど多くの命の犠牲があったとは全く知らなかった。偉業への賞賛よりも、恐ろしくて言葉を失う。

そんな「月」への挑戦に、アームストロングは取り憑かれる。描かれるのは、月面着陸に至ったプロセスよりも、アームストロングの知られざるドラマだ。命を賭けてまで彼が月に執着したのはなぜか。米ソの宇宙開発戦争、巨額の血税を投じる事業への世論の逆風など、当時の社会情勢がもたらす影響力と使命感もしっかり抑えられるが、アームストロングのパーソナルな家族のドラマにフォーカスされている。偉業の達成に世界が沸くなか、歓喜しないラストシーンが印象的だ。

長編3作目となる監督のデイミアン・チャゼル。今回初めて脚本から離れたせいか、やや人物描写に距離を感じるのは気のせいか。彼が月面でやりたかったこと、寡黙な人物であまりにも感情を表に出さないだけあって、回想シーンだけでは不十分に思えた。しかしながら、それでも映画は素晴らしい。音響、編集、撮影といった技術面を中心に、徹底したリアルを追及、CGをできるだけ排除した「実物」での再現に、映像の強度は圧倒的だ。これまではフレッシュで勢いあるチャゼル映画だったが、本作でもう1つ上のステージに上がったようだ。

人知を超えた挑戦の前提には、絶対的な宇宙への畏怖があり、「人類にとって大きな一歩」となったクライマックスのシーンに鳥肌が立った。音という概念が存在しない無音の宇宙空間。いつも地球から見上げていた月、今度は月から見上げた先に青い地球がある。凄いリアリティを感じた。

【75点】
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アクアマン 【感想】

2019-02-19 08:00:00 | 映画


DC映画の会心の一撃。「楽しませる」ことの鬼盛の大サービス。監督の力量がもたらす影響力の大きさを再認識する。
アクママンが初登場した「ジャスティス・リーグ」後の話だ。アクアマンが正義に覚醒している状態のため、ヒーローとして活躍するまでの助走は短く、その分、見せ場も多くなる。兄弟喧嘩のプロットは既視感はあるけれど、それ以上にフレッシュな魅力が際立つ。宇宙と並び、実は未知の世界である海の世界を舞台にして、かつてない冒険劇で仕立てた。様々な姿を見せる海中都市の描き込みが見事で、その美しさとスケールに目を奪われる。水圧と空気から解放された海中アクションはもはや無敵であり、無数の海中生物たちの協力も手伝って、想像の斜め上を行く情報量と迫力に、劇中何度も「マジか」と驚嘆する。気ぐるみ感の強い衣装がややチープだが、そこで浮かせた予算を視覚効果に投下しているようだ。
その一方、手薄になりがちな生身のアクションシーンも充実。ワイスピシリーズで鳴らしたジェームズ・ワンの手腕が地上シーンで遺憾なく発揮される。エンドクレジットのスタントメンバーがめちゃくちゃ多いことにも納得。勿論、ジェイソン・モモアの肉体も美しく活写される。彼と行動を共にする赤毛のヒロインを含め、水も滴るイイ男とイイ女が物語を盛り上げる。
アクアマンは、マーベルヒーローに近しい陽性型。「陸と海は一つ」というセリフが、現代の社会的メッセージにも聞こえ、陸と海のハーフであるアクアマンは架け橋としての役割を担い、調和をもたらすヒーローになることは運命的だ。
子どもと一緒だったので吹替版で鑑賞、全く違和感はなかったものの、字幕の地声のほうがジェイソン・モモアの魅力を感じられたと思われる。今度は字幕版で見返したいと思う。
【70点】
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天才作家の妻 40年目の真実 【感想】

2019-02-18 23:00:00 | 映画


原題「THE WIFE」が秀逸。「妻」は主婦のままでは終わらない。
作家である夫の成功と、それを長年に渡り献身的に支えた妻。。。。という一見、絵に描いたような美しき夫婦像の裏にあった残酷な真実。そもそも妻がなぜ夫を支えなければならないのか。才能をもった多くの女性たちの可能性を摘んできた時代の罪。作家人生最大の栄誉に歓喜するシーンから一転、物語は崩壊へと進んでいく。犠牲、嫉妬、自尊心といった妻の奥底に眠っていた遺物が、静かに確かに湧き上がり、ついに爆発する。揺さぶりをかけるジャーナリストの存在が効果的。
グレン・クローズの超繊細な演技がスクリーンに映える。あらゆるコミュニケーションの場面で、物言わぬ目の動きに注目する。そのとき彼女は何を思ったか、観る者の想像力を掻き立て、一見不可解とも思える感情に移ろいに説得力を与える。
2人が出会い、恋に落ちた回想シーンがしっかり描かれているのも大きい。略奪から始まった2人の夫婦生活、外ヅラは知的に見えるが、いつまでも女癖が悪い夫、それでも愛し続けてきた妻。2人の子どもが生まれ、家族を育んできた時間、そして受け継がれる新たな命の誕生。2人の秘密を繋ぎとめる背景にあったのは、純粋な夫婦愛であったと感じる。あと、普段知ることのない「もしもノーベル賞を獲ったら~」の体験映画としても興味深かった。
【70点】
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キネマ旬報と映画秘宝の2018年ベストが出揃った件。

2019-02-06 23:00:00 | 映画


先月末の映画秘宝に続き、キネマ旬報でも2018年映画のベスト10が発表された。どちらも購入。メディア露出も多い「映画野郎」たちによって選ばれる映画秘宝のベストに対して、老齢な映画批評家・ライターの投票によって選出されるキネマ旬報のベスト。今回も期待を裏切らず、よく特徴が出たラインナップとなった。以下にまとめる。

【キネマ旬報ベストテン】

<邦画>
1位 万引き家族
2位 菊とギロチン
3位 きみの鳥はうたえる
4位 寝ても覚めても
5位 孤狼の血
6位 鈴木家の嘘
7位 斬、
8位 有罪
9位 日日是好日
10位 教誨師

とても興味深い結果。というか、10作品のうち2作品しか見ていない。自分がいかに昨年日本映画を見ていなかったということを痛感。多くはチェックしていてレンタルを待っていたのだが、2位の「菊とギロチン」は完全にスルーしていた。「菊とギロチン」については、他に監督賞(瀬々敬久)、脚本賞、新人女優賞(木竜麻生)新人俳優賞(寛一郎)も獲得しており、見逃したことを激しく後悔。4月のレンタル開始が待ち遠しい。「万引き家族」の1位は予想通り。「カメラを止めるな」を排したのは、キネ旬らしい。

<洋画>
1位 スリー・ビルボード
2位 ペンタゴン・ペーパーズ
3位 シェイプ・オブ・ウォーター
4位 ファントム・スレッド
5位 ボヘミアン・ラプソティ
6位 15時17分、パリ行き(w笑w)
7位 顔たちところどころ
8位 1987 ある闘いの真実
9位 ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ
10位 判決、ふたつの希望

馴染みの映画が目立つ。自分が観ているのは10作品中8作品。いつもならもっと知らない映画が入ってくるのだが、今回はあまり新しい映画の発見はなかった。1位の「スリー・ビルボード」、やっぱ好きだよね~。3位の「シェイプ・オブ・ウォーター」は「アカデミー賞」という権威に弱い選考委員の特徴がよく出た(作品自体は評価されて然るべきだが、デルトロ作品というラベルでキネ旬は拒否するはずと思ってた)。「ボヘミアン・ラプソティ」は、酷評しているのはアメリカの映画批評家だけ、という事実を再認識。そしてそして、待ってました「15時17分、パリ行き」(笑)!。あまりの作品の酷さに「連続記録もついに途絶えるか・・」と懸念していたが、どこ吹く風だった。日本の映画批評家たちにとってイーストウッド監督は「神」であり続ける。どんな駄作さえも「傑作」として讃えなければならないのだ。イーストウッドが亡くなったら、みんな心中するのではないかと心配になる。アホくさ。

【キネマ旬報 読者選出】

<邦画>
1位 万引き家族
2位 カメラを止めるな!
3位 孤狼の血
4位 寝ても覚めても
5位 日日是好日
6位 菊とギロチン
7位 きみの鳥はうたえる
8位 止められるか俺たちを
9位 空飛ぶタイヤ
10位 鈴木家の嘘

<洋画>
1位 スリー・ビルボード
2位 ボヘミアン・ラプソティ
3位 シェイプ・オブ・ウォーター
4位 ペンタゴン・ペーパーズ
5位 タクシー運転手~約束は海を越えて~
6位 15時17分、パリ行き
7位 判決、ふたつの希望
8位 デトロイト
9位 グレイテスト・ショーマン
10位 ウインド・リバー

例年以上に、選考委員によるベストテンとシンクロ。選考委員と同じく、読者層も高齢化が進んでいる。1位は「スリー・ビルボード」。昨年末、ツィッターのリツイートで回ってくる「私的ベスト」の数々、自分が見た限りは「スリー・ビルボード」が一番多かったと思う。年代を問わず、日常的に映画を見る人たちで投票しても「スリー・ビルボード」が間違いなく1位になると思われる。そして、古きよきアメリカ映画の神、イーストウッド御大への崇拝ぶりは読者層でも絶大だ(スピルバーグは進行形で本物ですが)。「カメラを止めるな!」や「グレイテスト・ショーマン」が入るあたり、ヒット作に引っ張られる傾向は例年どおり。

続いて、映画秘宝のベストテン。

【映画秘宝ベストテン】

1位 カメラを止めるな!
2位 ヘレディタリー/継承
3位 シェイプ・オブ・ウォーター
4位 ボヘミアン・ラプソディ
5位 ファントム・スレッド
6位 スリー・ビルボード
7位 タクシー運転手 ~約束は海を越えて~
8位 ブリグズビー・ベア
9位 バーフバリ 王の凱旋
10位 レディ・プレイヤー1

映画秘宝は、毎年、邦画と洋画の混在させている。1位の予想は「バーフバリ 王の凱旋」だったけど、ハズれた。映画秘宝らしいランキングであると共に、すべて視聴済みということもあり、個人的にも共感できるランキング。「カメラを止めるな!」の1位もさることながら、2位に「ヘレディタリー/継承」が入ったのが嬉しい。「シェイプ・オブ・ウォーター」がキネ旬同様、3位に食い込んだが、映画秘宝の人たちは元からデルトロ映画が好きですから。

2015年の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」によって実現した、両紙のベストが一致する奇跡は、もう起こらないのかな。


2018年ベスト映画トップ10 【洋画編】
2018年ガッカリ映画トップ10

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サスペリア 【感想】

2019-02-02 08:00:00 | 映画


理解ではなく感じる映画。ホラー映画というよりアート映画の装い。オリジナルは未見、予備知識もなく見たものの、どこまでも不可解であり、いつもの調子で物語の因果を受け止めようとすると肩透かしをくらい、恐怖の源泉を捉えようにも捉えられないもどかしさが最後まで付きまとう。自分は途中であきらめ、流れる映像を傍観するにとどまった。観客の考察力が試され、感性を刺激する映像と合わせて興じる映画と想像するが、自分には退屈だった。音楽はトム・ヨーク(レディオヘッド)。躍動する肉体によって表現される狂気と美貌、鮮烈な映像に圧倒され、監督の確かな映像センスを実感するが、これで2時間半はさすがに長く、お尻が痛くなってしまった。「博士」の造形に違和感をもったが、あとで納得(内容ではなく製作の話)。ティルダ・スウィントンが醸す浮世離れな空気と本作の世界観が見事にフィット。隣に座っていた中年夫婦があるシーンに驚いて、ポップコーンをちゃぶ台返し、笑ってしまった。
【60点】
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