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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 【感想】

2023-05-16 00:58:12 | 映画


感無量。ありがとう、ガーディアンズ。
ジャームズ・ガン、あなたに一生ついていきますよ。。。

9年前のセンセーショナルを忘れない。2014年の私的ベストワンとなった本作のパート1は、ヒーロー映画やSF劇に新たな可能性を示した(当時、サントラを聞きまくったな・・・)。続く、家族というテーマを描いたパート2も傑作。監督の過去のスキャンダルに製作が危ぶまれた本作パート3も、膨れ上がった期待値を超える大傑作だった。
ワクワクとスリルと笑いと、エモーショナル。シリーズを通して貫かれた”愛”。
上映中、頬がずっとビショビショ。。。。

感じるのはジャームズ・ガンの覚悟。自身をスターダムに押し上げたシリーズの完結編であり、自身がマーベルと決別する卒業作でもある。自身が生み出したシリーズを愛してくれたファンにどのような作品を届けるか、その大いなる情熱が本作の完成度へと結実している。その実現のためにMCUとの重なりを一切排除したのは大英断。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはMCUの映画である前に、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーなのだ。

本作はこのシリーズのチャームの1つである「ロケット」の物語だ。いつもなら、陽気に盛り上がるシリーズのオープニングから一転、本作ではロケットの想像を絶する過去の悲劇を振り返るところから始まる。ガーディアンズのメンバーのなかでも誰よりも仲間を想い、失うことの怖さをよく口にしていた、その理由が本作で明らかになる。

その描写は、これまでのポップなタッチとは異なり、その残酷性をリアルなタッチで描き出していく。それはこれまで人類が動物たちに行ってきた虐待の歴史にも重なり、痛ましく胸が締め付けられる。ガンはもともと動物が好きな人なのだろう(そういうところもホント好き)。虐げられてきた動物たちの声を、ロケットをはじめとする実験台として改造されてきた動物たちを通して現す。もちろん、悲劇だけを描くのではない。「ロケット」という名前に込められた希望、そして培われた愛情の深さを同時に描いてみせる。

ガーディアンズのモチベーションはいつも、大それた「正義」から始まらない。それがいい。本作ではロケットを救うことが目的となる。パート1、2、そして、アベンジャーズの2作を経て、彼らは本当の家族になった。ロケットの命の危機を目前にして何の躊躇いもなく、リスクに飛び込んでいくガーディアンズの姿に早くも涙腺が緩む。

その過程でいつもの宇宙大冒険が展開する。相変わらずの楽しさ。乗り込む宇宙施設が”有機体”という斬新さ。カラフルでポップで、ときにグロテスク。このユニークな世界観もシリーズの色だ。しょーもないところで引っかかるユーモアも健在。スペクタクルの中にある、シュールなB級感。監督の真骨頂であり、シリーズの醍醐味。ニヤニヤが止まらず、愛さずには得られない。

ロケットと繋がる今回のヴィランは、MCUを通じても稀にみる醜悪なキャラクターだ(演じるチュク・イウジ、ガン監督と「ピースメーカー」繋がりなのねw)。不完全なものを否定し、慈悲なく徹底的に抹消する。どこにも共感の余地のないヴィランを据えたことで、シリーズを通してガンが描きたかったテーマがより鮮明に浮上する。不完全であることを肯定し、ありのままの自己を受け入れ前進することの美しさよ。

もちろん、描くのはロケットだけではない。シリーズの完結編として各キャラクターにもれなくドラマと魅せ場が用意される。彼らの成長と変化が展開を打開する原動力になる脚本が素晴らしい。特に本作ではネビュラの存在が印象的。彼女がガーディアンズのメンバーとして家族として愛に目覚めていく様も感涙ポイントだったりする。

それぞれのキャラクター単体が超人的な戦闘力をもっていないのもガーディアンズの特徴といえる。ヒーロー映画にはないその弱みこそが、チームの連携プレーのダイナミズムの素地となる。今回のバトルアクションも型破りでキレッキレッ。音楽の使い方も最高。終盤の一方通路の特攻シーンには陶酔。まだアクションの描き方にこんな伸びしろがあったとは。どんな風に撮影したのか謎。痛快すぎてシビレた。

描くべきことが多く、その分、パート1で感じたような疾走感はないのは正直なところ。しかしながら、これほどの情報を物語に落とし込み、かつ、エモーショナルなドラマに仕上げた脚本には脱帽。エンドクレジットで見慣れない老夫婦の写真をみて、本作の裏テーマは、ガンのパーソナルな人生譚であったことに気づかされる。パーソナルな映画こそ、人を感情を揺さぶることができる。

ガーディアンズに会えるのはこれが最後。喪失感よりも満足感が上回る。また、このシリーズを見返せばガーディアンズに再会できるし。

【90点】
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2 コメント

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Unknown (くろ)
2023-05-24 16:19:35
ガーディアンズ良かったですね。
泣きました…感想を読ませていただきまた
見たくなり2回目行ってきました。 
ロス半端ないですが
ジェームズ・ガンでない続編なら
いらないですかね…結構泣いたので
今夜はピースメーカーを見て笑います。
Unknown (ブログ主)
2023-06-24 15:02:50
くろさんへ
久しくブログを放置しており、コメント返信が遅くなりました。失礼いたしました。
私も2回、見に行きました。最高でした。
ジェームズ・ガンという作家がアメコミ映画にもたらした功績はあまりにも大きいですね。
彼がリーダーとなるDCUの快進撃が始まる予感がしています。

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