ありがとう、アベンジャーズ。
ありがとう、マーベル。
ありがとう、アイアンマン。
ありがとう、キャップ。
”3000回”の感謝を伝えたい。
これ以上の幕切れがあるだろうか。
夢のような3時間だった。驚きと興奮と感動と別れに泣きはらす。
本作は、MCUファンへの最高の贈り物だ。
同じ時代を生きて、リアルタイムでMCUを見届けられた自分は幸せ者。
人類のために命を懸けたアベンジャーズの最後の戦い。それは本作で伝説になった。
前作「インフィニティ・ウォー」の衝撃的な幕切れから1年。あの状況からどんな逆襲が始まるのかと、様々な予想を立てていたが、まさかまさかの展開だった。というか、本作の心意気はそんな次元ではない。サノス攻略と、半減された人類の復活、その2点は当然、本作の最重要課題として描かれる。しかし同時に、2008年「アイアンマン」から始まったMCUの最終回であり、ファンに別れを告げるイベントでもあった。
ファンによって愛され、拡大を続けてきたMCU。本作に懸ける製作陣の想いは、これまで愛してくれたファンへ感謝の想いを伝えることだったに違いない。その方法は、期待を裏切らない作品にすることは勿論のこと、MCUの功労者であるヒーローたちに最大限の愛情を注ぐことによる。これまでの歴史を振り返りながら、多くの苦難と後悔が積み重ねられてきたヒーローたちに思わぬ機会を与えるのだ。彼らの喜びは、ファンの喜びでもある。あの日に見た、あのシーンがよみがえり、熱いものがこみ上げてくる。その過程を、アベンジャーズ逆襲への必要なプロセスの中で描き、偶発的な事件が重なり、1つの時間に導かれていく。とにかく脚本が神がかっている。
中には強引ともいえ、よく考えれば矛盾と感じる場面も少なくない。但し、それよりも優先すべきことがある。それはファンが見たい画を描くことだ。そして、本作はことごとくファンのハートを射抜く。もはや見たい画しかない(笑)。また、いくつか説明不足により、一瞬とまどう場面もあるが、ファンが脳内で瞬時に補完解釈できるギリギリのラインを保っており、余計な説明による減速を防いでいる。「ムジョルニア」に選ばれし男の出現や、ストーンの本当の力、といったあたりはまさに典型的なシーンで、観客の予想を超えたところから降ってくるものだから余計に興奮や感動を伴う。3時間という長い劇中、本作が選んだ全ての選択が最善最良だったと思える。
意外な展開により、途中から、アベンジャーズらしいアクションは見られないのではないかと危惧したものの、いやはや、とんでもなかった。前作の「インフィニティ・ウォー」ですら圧倒されていたのに、それが前菜に過ぎなかったと思えるほど、空前絶後のスペクタクルが待ち受けていた。未曾有の迫力。。。。そして、自分の映画生活史上最大のカタルシスを感じたシーンでもあった。”1400万分の1”。アベンジャーズの賢者となったドクターストレンジが発した前作での伏線が、こんな形で回収されるとは。
「アベンジャーズ」で、異種異空間のヒーローを1つの世界に共存させる奇跡を実現、そこから「インフィニティ・ウォー」では数倍の増員で実現させる離れ業をやってのけたばかり。そして、本作ではいよいよ”究極”の高みへと達する。ファンの想像を遥かに超えた夢の競演だ。全員がもれなくキーマンとして描かれ、シリーズの垣根を超えたヒーローたちによる”ラグビー”プレーが熱い。誰が欠けても成立できない構成になっていて「凄い!」を脳内で連発する。
そんな中でも、やはり、シリーズを初期から牽引してきた、アイアンマン、キャップ、ソーの3人は特別な存在として扱われる。そこに全く異論はなく、むしろ3人にしっかりフォーカスしてくれたことに感激する。戦いのクライマックスしかり、戦いの後の、彼らの生き様についてもだ。
長い時間を犠牲にして戦いに身を投じてきたキャップは、間違いなくアベンジャーズのリーダーであり、最大の功労者だ。その男の70年分の”人生”に、涙が止まらなかった。こんなにも切なく美しいラストが待ち受けているなんて思わなかった。スタンディングオベーションをしたくて仕方なかった。
エンドロールで本当に「最後」を確信する。「アベンジャーズ」ロスは、しばらく続きそうである。冷静に振り返ると、セルフオマージュをふんだんに盛り込んだり、これまでのMCU映画を欠かさず見ているファンでないと、思い入れを抱けない作りになっているのも確かで、一見さんは相手にしていないようだ。どこまでもファンに向けたファンのための映画。ここまで想像絶する映像を前にすると「媚びる」なんて言葉も吹き飛び、製作スタッフ、キャストたちの情熱に頭が下がるだけだ。
感動とか、傑作とか、いくらでも本作を讃える言葉は思いつくけど、とにかく今は「感謝」という言葉しかない。
ありがとう。「アベンジャーズ」を一生忘れることはありません。
【200点】