から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

アベンジャーズ/エンドゲーム 【感想】(ネタバレなし)

2019-04-28 10:00:00 | 映画


ありがとう、アベンジャーズ。
ありがとう、マーベル。
ありがとう、アイアンマン。
ありがとう、キャップ。

”3000回”の感謝を伝えたい。

これ以上の幕切れがあるだろうか。
夢のような3時間だった。驚きと興奮と感動と別れに泣きはらす。
本作は、MCUファンへの最高の贈り物だ。
同じ時代を生きて、リアルタイムでMCUを見届けられた自分は幸せ者。

人類のために命を懸けたアベンジャーズの最後の戦い。それは本作で伝説になった。

前作「インフィニティ・ウォー」の衝撃的な幕切れから1年。あの状況からどんな逆襲が始まるのかと、様々な予想を立てていたが、まさかまさかの展開だった。というか、本作の心意気はそんな次元ではない。サノス攻略と、半減された人類の復活、その2点は当然、本作の最重要課題として描かれる。しかし同時に、2008年「アイアンマン」から始まったMCUの最終回であり、ファンに別れを告げるイベントでもあった。

ファンによって愛され、拡大を続けてきたMCU。本作に懸ける製作陣の想いは、これまで愛してくれたファンへ感謝の想いを伝えることだったに違いない。その方法は、期待を裏切らない作品にすることは勿論のこと、MCUの功労者であるヒーローたちに最大限の愛情を注ぐことによる。これまでの歴史を振り返りながら、多くの苦難と後悔が積み重ねられてきたヒーローたちに思わぬ機会を与えるのだ。彼らの喜びは、ファンの喜びでもある。あの日に見た、あのシーンがよみがえり、熱いものがこみ上げてくる。その過程を、アベンジャーズ逆襲への必要なプロセスの中で描き、偶発的な事件が重なり、1つの時間に導かれていく。とにかく脚本が神がかっている。

中には強引ともいえ、よく考えれば矛盾と感じる場面も少なくない。但し、それよりも優先すべきことがある。それはファンが見たい画を描くことだ。そして、本作はことごとくファンのハートを射抜く。もはや見たい画しかない(笑)。また、いくつか説明不足により、一瞬とまどう場面もあるが、ファンが脳内で瞬時に補完解釈できるギリギリのラインを保っており、余計な説明による減速を防いでいる。「ムジョルニア」に選ばれし男の出現や、ストーンの本当の力、といったあたりはまさに典型的なシーンで、観客の予想を超えたところから降ってくるものだから余計に興奮や感動を伴う。3時間という長い劇中、本作が選んだ全ての選択が最善最良だったと思える。

意外な展開により、途中から、アベンジャーズらしいアクションは見られないのではないかと危惧したものの、いやはや、とんでもなかった。前作の「インフィニティ・ウォー」ですら圧倒されていたのに、それが前菜に過ぎなかったと思えるほど、空前絶後のスペクタクルが待ち受けていた。未曾有の迫力。。。。そして、自分の映画生活史上最大のカタルシスを感じたシーンでもあった。”1400万分の1”。アベンジャーズの賢者となったドクターストレンジが発した前作での伏線が、こんな形で回収されるとは。

「アベンジャーズ」で、異種異空間のヒーローを1つの世界に共存させる奇跡を実現、そこから「インフィニティ・ウォー」では数倍の増員で実現させる離れ業をやってのけたばかり。そして、本作ではいよいよ”究極”の高みへと達する。ファンの想像を遥かに超えた夢の競演だ。全員がもれなくキーマンとして描かれ、シリーズの垣根を超えたヒーローたちによる”ラグビー”プレーが熱い。誰が欠けても成立できない構成になっていて「凄い!」を脳内で連発する。

そんな中でも、やはり、シリーズを初期から牽引してきた、アイアンマン、キャップ、ソーの3人は特別な存在として扱われる。そこに全く異論はなく、むしろ3人にしっかりフォーカスしてくれたことに感激する。戦いのクライマックスしかり、戦いの後の、彼らの生き様についてもだ。

長い時間を犠牲にして戦いに身を投じてきたキャップは、間違いなくアベンジャーズのリーダーであり、最大の功労者だ。その男の70年分の”人生”に、涙が止まらなかった。こんなにも切なく美しいラストが待ち受けているなんて思わなかった。スタンディングオベーションをしたくて仕方なかった。

エンドロールで本当に「最後」を確信する。「アベンジャーズ」ロスは、しばらく続きそうである。冷静に振り返ると、セルフオマージュをふんだんに盛り込んだり、これまでのMCU映画を欠かさず見ているファンでないと、思い入れを抱けない作りになっているのも確かで、一見さんは相手にしていないようだ。どこまでもファンに向けたファンのための映画。ここまで想像絶する映像を前にすると「媚びる」なんて言葉も吹き飛び、製作スタッフ、キャストたちの情熱に頭が下がるだけだ。

感動とか、傑作とか、いくらでも本作を讃える言葉は思いつくけど、とにかく今は「感謝」という言葉しかない。
ありがとう。「アベンジャーズ」を一生忘れることはありません。

【200点】














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ドルビーシネマを体験した件。

2019-04-28 09:12:07 | 日記
「アベンジャーズ/エンドゲーム」にて、関東発上陸の「ドルビーシネマ」を体験してきた。

普段、行き慣れているMOVIXさいたま。

まず、劇場の内装が一新されていてカッコいい。そして、座席が高反発なシートに変わっていて、長時間の鑑賞も全く気にならない。

スクリーンの大きさはあまり変わらないが、前のスクリーンよりもRがかっている。センターから後方よりも、センターより前席のほうが、目の前にスクリーンが広がるので自分は好みだ。自分が予約できた席は、真ん中ブロックの前方の右端だったが、全く見づらくなかった。

肝心の映像の見え方はというと、IMAX同様、ドルビーシネマがいかに優れているかの、紹介VTRが冒頭に流れる。

「みなさんが映画館で普段見ている”黒”はこれですが、本当の”黒”はコレです(ドーン)」で驚く。漆黒の闇。暗くなった空間との境界が全くなくなる。マジで「ゼログラビティ」をドルビーシネマで再上映してほしい。明暗のコントラストがはっきりしていることもそうだが、色彩のコントラスト、高精細なディテールの素晴らしさは、本編がはじまると実感できる。

自宅で鑑賞している4K映画を、スクリーンの大きさで見たらこんな感じになるだろうという見え方。逆に普段の映画の見え方と違うので、違和感を感じ、映画の冒頭シーンはあまり頭の中に入ってこなかった。

3Dについては、IMAXが最強と思っていたけど、クリアな映像の効果もあって、ドルビーシネマのほうが自然で見やすく、没入感も大きい。ただ、今のIMAXの3Dメガネは小さく軽量化されている一方、ドルビーシネマの3Dメガネは重いので、少し気になってしまう。「アベンジャーズ/エンドゲーム」という映画に恵まれて、途中から気にならなくなってしまったけど。

音響はというと、紹介のデモ映像では「凄い!」と思えたものの、本編が始まると、他のスクリーンと比較して聞いているわけではないので、それほど優劣の違いは感じられなかった。もちろん文句なしに素晴らしい。

結論は、これまでIMAXが最強と思えたが、2D、3Dの両方で「ドルビーシネマ」に軍配。シートの座り心地も高得点だ。
料金も会員価格でみると、MOVIXさいたまの「ドルビーシネマ」のほうが300円安いので、ここぞという映画は「ドルビーシネマ」の一択になりそう。

今回のように、座席指定が困難になるので普段からこの劇場を利用しているユーザーとしては、他エリアから観客が集まってほしくないのだが、電車賃をかけても見る価値はあると思える。導入してくれたMOVIXさいたまには儲かってほしいし。


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キングダム 【感想】

2019-04-28 08:34:43 | 映画


再現度の高さと、漫画では表現しにくいアクションの実写化が見事。原作ファンという知人が大絶賛していたので見ることにしたが、”仕上がっている”という表現がしっくりくる。実写にCGを組み合わせる視覚効果も、とても自然に映り、日本映画らしからぬスケールだ。

原作は、以前に「アメトーク」で取り上げられてから、8巻まで読んだ程度。なので、本作のあらすじは把握していた。完全にすべての展開を記憶しているわけではないが、ほぼ、原作通りだったと思う。言い換えると、原作で描かれなかった以上の展開はなかった印象。それに気づき集中力が切れて、「山の神」の説得シーンで一旦寝落ちしてしまった。

原作ファンは満足できる映画と思うし、原作を知らない人には新鮮に映り大いに楽しめる映画だろう。
ただ、原作を知っているが、ファンではない自分にとっては、やや退屈だった。

8巻目で原作を離脱したのは、主人公の「信」に魅力が感じられなかったからだ。平たくいえば”根性”で、戦闘力が上がるシステムが理解できず、信の活躍についていけない。言動の熱量もそうだ。映画では「夢があるから~」としているが、それでも苦しい。実写でそのまま演じると空回りしてしまう役柄を、山崎賢人は巧く人間味を交えて演じている。大健闘だ。

人気が出る漫画の必須条件として上げられるのは、魅力ある脇役の存在だろう。キングダムの場合は、政や王騎あたり。本作では、良くも悪くも完全に主役を喰ってしまっている。山崎賢人にはかなり酷だ。政を演じる吉沢亮の仕上がりったらない。2役の使い分けもしかり、政のカリスマ性をどこまでも磨きぬいている。終盤の大詰め、激闘の最中、味方を鼓舞するシーンは原作を超えた迫力があった。そして、王騎を演じた大沢たかお。本作を見た動機として、彼の久々の映画出演も大きかった。おそらく最も演じるのが難しいキャラクターで、普通に人間がやるとコメディになるリスクのほうが大きい。それを大沢たかおが演じると、これ以上ない正解になる。彼のファンとしては、もっと他の映画に出演してほしいのだが。

配役がハマり、アクションも素晴らしい。映画も30~40億くらいの大ヒットになりそう。続編も必ず作られるだろう。

最後にエンドロールの「筋肉紳士集団」が気になったので、調べてみた。こんな組織があったのか。。。

【65点】
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「アベンジャーズ・エンドゲーム」、座席争奪に敗北した件。

2019-04-25 23:30:00 | 日記


いよいよ明日に迫った、「アベンジャーズ・エンドゲーム」の日本公開。2008年の「アイアンマン」から始まったMCUの1つの終着点であり、映画ファンとしては指折り数えて待っていた公開だ。この特別な映画をどこで見るのか?そこで舞い込んできたニュースが、最寄りの映画館「MOVIXさいたま」のドルビーシネマ導入である。

最初、都内でも導入されている音響設備「ドルビーアトモス」のことかと思っていたが、ドルビーシネマは映写方式自体が異なるプレミアムスクリーンとのことで、日本では、福岡の博多に続いて、2つ目のスクリーンとのこと。よって、極めて希少性が高い。埼玉県で最も稼働している映画館であるが、まさか、都内の大手映画館を差し置いて、先に導入するなんて。

と、その情報を知ったのは昨日の段階。公開翌日の土曜日に、ドルビーシネマの座席を予約しておこうと思って、オンラインチケットページを開いたところ、真ん中のブロックは全て満席。顔面蒼白となり、他の回も探したが既に埋まっていた。予約画面の「余裕あり」の表示は、前席と前方向寄りの外側は空いてますの意味。。。完全にナメていた。

チケット予約は3日前の17時から(会員のみ)可能だったらしく、自分が開いたのは22時ごろ。失意のなか、「いくらなんでも・・・」とドルビーシネマについて調べたところ、「関東初導入」のフレコミを発見。そりゃ、都内からも座席を狙う映画ファンが大挙するはずだ。

泣く泣く前寄りの右側の席を確保。日程を後ろにズラす選択肢もあったが、翌日以降予定があったため、妥協することにした。座席のポジションが悪いハンデはあるものの、ドルビーシネマの力でカバーしてほしい。
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神社の厄除けを初体験した件。

2019-04-25 23:00:00 | 日記
仕事の繁忙期である3月の年度末を終え、大型案件の納品がもろもろ完了した。ところが、大きな障害が2度も起こり、年度が過ぎてもその対応に追われている。久しぶりに仕事の失敗で精神的に凹んだ。今年は厄年ではないのだけれど、1つの区切りをつけるため、神事に頼る「厄除け」を体験することにした。

場所は大宮にある氷川神社。
地元の近辺では最も大きい神社だが、これまで訪れたことはなく本殿までの長い長い参道が新鮮だった。

「厄除け」にかかる費用をHPで事前に確認し、ルールや作法もネットで調べて準備していたが、普段来ることのない神社で、初めての経験ということで、境内に入って少しオロオロしてしまった。本殿の前にある受付で「祈祷」申し込みのテーブルが据えられていて、「厄除け」と書いてある申し込み用紙に自分の名前と奉納する金額を選ぶ。金額は5,000円~で、10,000円とか、もっと高い金額を選ぶこともできる。自分は最低レンジの5,000円に〇をつけ、受付の巫女さんに現金をそのまま渡す。氷川神社では16時まで30分単位で祈祷を実施しているらしく、自分は15時からの回になった模様(特に何も説明されない)。本殿横にある、祈祷室(?)に案内され、広い広い待合室で待つことに。自分以外誰もいない。建物は新しく、待合室にはしっかり防犯カメラも設置されている。15時までの15分間、ただただ時間を持て余すので、PSPで録画テレビでも見ようと思ったが、神事の前に不謹慎と思い、ひたすら何もせずボーっと過ごす。

結局、開始前になっても自分以外の人は現れなかった。15時きっかり若い巫女さんが控え室に入ってきて、奥の祈祷室の扉を開く。祈祷室もやはり広い。50~60人は入れるキャパだ。真ん中&一番前の席に誘導され、巫女さんの「始めます」で始まる。「ご起立ください」「頭をお下げください」「お直りください」とか、周りを見てもマネる人がいないので、指示に合わせて1人で動作する。宮司さんが2人出てきて、祭壇で祝詞を唱える。合間合間で祭壇横にいる巫女さんが和太鼓を叩いて合いの手を入れる。祝詞は何を言っているのかわからないが、途中、自分の名前が発せられてことに気づく。何だか特別な気分。「お祓い」シーンでよく見る、白い箒(?)で頭上を払われ、厄も一緒に払われることを祈る。そして終了。参加者が自分1人だったせいか、時間は10分足らずで終了し、帰り際に自分の名前が筆書きで書かれた護符と、なぜか飴玉が入った封筒を渡された。後で調べたら、飴玉は御供物らしいが、知らなかったので家の人間が食べた。榮太郎の飴で美味しかったらしい。今年は平穏にコトが進むことを祈る。
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シャザム! 【感想】

2019-04-25 07:00:00 | 映画


そしてヒーローになる。そして家族になる。まさかの胸アツ映画。
キャラクターのハートをしっかり捉え、”シャザム”の真の力に繋げた脚本が素晴らしい。そのクライマックスに驚きと笑いとカタルシスが襲い掛かる。陽性化が進むDCユニバースの決定打といえ、B級感の強い設定と無名キャスティングで収めた本作の成功はまさに痛快。どーりで北米で絶賛されたわけだ。観終わって「シャザム!」と何度も連呼したくなる。

ヒーロー映画の誕生譚は、然るべき背景やプロセスを踏むのがセオリーだ。偶発的な事故によって、図らずも強大な力を身に着け、正義に目覚めるパターンは少なくないが、本作の主人公ほどヒーローと縁遠いキャラクターも珍しい。主人公の「ビリー」は身寄りのいない孤独な少年、自分のために生きることしか眼中にない。他者に対して無関心かつ、周りに迷惑をかけることも抵抗なし。”純粋な者”という本作ヒーローの選定条件にはあてはめづらい。では、なぜ彼が選ばれたのか。

その謎をさらに深めるのはビリーのルームメイトとなるフレディの存在だ。足が不自由で、学校ではいじめに遭うが、いじめっ子に中指を立てる度胸あり。アメコミヒーローオタクで、正義や超人パワーに人一倍憧れている。ハンデを背負った人間がスーパーヒーローになるパターンが見え、ビリーよりも障がいを負ったビリーが選ばれるほうが収まりが良い。ビリーが有して、フレディにないもの、、いや、その答えは逆で、フレディが有して、ビリーにないものがあったからと思えた。

謎の魔術師に導かれ、強制的に超人的な力を与えられたビリー。理由もわからず、外見も筋骨隆々の大人になっている。ダサいコスチュームは固定(笑)。力の使い道を持て余して、手から出るビームも格好の遊び道具になる。”もしもスーパーマンになったら”みたいな悪ふざけ動画をフレディと一緒にSNS動画に次々とアップ、「don't stop me now」に乗せて矢継ぎ早に見せるシーンが可笑しい。普段は塞ぎ気味なビリーが、大人の姿を手に入れたことで子供らしい奔放さを発揮する。演じるザッカリー・リーヴァイは「マーベラス・ミセス・メイゼル」に出ていた人だ。とても芸達者。

すぐにその動画は拡散し、有名人になった主人公ら。そこでヴィランとなる科学者に目を付けられる。このヴィランの設定も良く練られている。家族に捨てられた境遇は同じだが、家族を探すビリーに対して、家族に復讐する科学者。善と悪、強大な力を持ちながら異なる道を辿る2人の構図が対照的。「家族」というテーマが本作の軸になっていることは間違いない。また、「7つの大罪」に支配されるヴィラン攻略のミステリーも面白かった。

ひたすら逃げまわっていたビリーが、ヴィランに立ち向かうきっかけとなるのは、彼を家族として慕う里子兄弟との絆だ。その絆の結実がビリーが選ばれた理由であり、同時に「シャザム!」の覚醒となる。巧いな~と感心。そして、まったく予想できなかった展開に、興奮してしまった。あの展開から、もう少し遊んでくれたら、なお良かった。

他、印象に残ったのは、ビリーが親と生き別れて以来、大切にしていた方位磁石のシーンだ。それまでの能天気な雰囲気から一変、あまりにも悲しい現実を突きつける。大いなる失望のなか、彼の”道しるべ”を預けるシーンが切なくも感動的だった。

監督はホラー出身の人。別ジャンルの監督が新たなステージに挑み、ホームランを打つパターンは、ここ数年のアメリカ映画の潮流だ。才能ある新鋭に次々とチャンスを与える豊かな土壌が、傑作を生み出し続ける源泉なのだろう。

【75点】
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おっさんずラブ 【感想】

2019-04-23 07:00:00 | 日記

今更ながら「おっさんずラブ」を見た。

1年前の放送時、SNSの盛り上がりも聞いていたし、周りの知人も「面白い!」と絶賛していたのだが、「腐女子のためのBLドラマ」という偏見がぬぐえず、興味を持てなかった。今回、NETFLIXの「人気」で表示されていたので、「試しに1話だけ」と見てみたのだが、そのままハマってしまった。。。笑えるだけじゃなく、こんなに大真面目なラブストーリーだったのか。人を好きになることの輝きを愛でる。

男性同士の恋愛を描いているのだが、中身は気持ちいいほどにストレート。好きになった対象が、たまたま同じ男性だったという表現が適当。「ゲイ」とか「ノンケ」という言葉が一切出ないあたりも、普通の恋愛ドラマとして描こうとする意図が見える。

言い換えれば、同性間の恋愛も、異性間の恋愛と変わらないということ。”恋愛に性別は関係ない”というメッセージが、自然体で発せられる。

多方面からの風当たりが強いご時世、現在の民放ドラマ制作において、本作の企画は大きな挑戦だったと思う。結果、多くの視聴者の支持を得られたのは、LGBTを描くのではなく、純愛を描くことをゴールに据えたからだろう。

恋に落ちる瞬間、抑えられない衝動、自己満でもある告白、恋敗れた失望、好きだからこそ願う相手の幸せ、嫉妬で気づく本当の気持ち、すれ違い・・等々。同性であることの前提を取っ払えば、恋愛を知る誰もが経験した共感が散りばめられる。キャラクター同士が都合の良いところで鉢合わせるなど、恋愛ドラマとしてはよくある作りでもある。小学生だった頃、恋愛の切なさを初めて知った「東京ラブストーリー」にもよく似ていて、ここぞというクライマックスに、スキマスイッチの主題歌が挿入されるタイミングも気持ちよい。

また、コメディがとても巧く描かれている。
キャラクターが真面目過ぎるゆえに、変な方向に空回り、どうしてもコメディになってしまう。”天然系”の笑いに何度も声を上げて笑ってしまった。「モダンファミリー」みたいに、日本よりも海外ドラマに多く見るパターンだ。小手先のギャグで笑いを欲しがる福田雄一とは真反対のアプローチといえる(否定してません)。田中圭の顔芸が印象的だが、笑かせよりも、感情のリアクションをわかりやすく表現している効果が強く、「だよねー」とニンマリ共感する。3人の三角関係と思いきや、四角関係、五角関係へと拡大する展開も面白い。伏線の張り方に唸る場面もあり、第三話の「君の名は」のタイトル伏線の回収は見事だった。

優れた脚本を彩るのが、個性的なキャラクターたちだ。少数ながら濃ゆい個性たちがユーモアを生み出し、展開の歯車となって鮮やかに機能する。お人好しの「はるたん」、クールでまっすぐな「まき」、大人と乙女の両面を持つ「部長」、この3人が主軸になるが、演じる田中圭、林遣都、吉田鋼太郎が文字通りの好演を見せる。とりわけ田中圭と林遣都の絡みは、後半にかけて互いのキャラクターの思いやりが交錯し胸を締め付ける。ほか、泣き顔に萌える内田理央、マイペースでゆとりな金子大地、クセ強い伊藤修子、暴走型Sの眞島秀和、チャーミングな大塚寧々と、脇役ももれなく魅力的だ。

毎年、年末にNHKで放送されている「テレビ放談」。局の枠を超えて、その1年のテレビ番組を振り返る番組だが、昨年はこのドラマの女性プロデューサーが製作の裏側を解説していた。意外だったのは、視聴率は最後まで大きくハネなかったということ。その一方、回を追うごとにファンの反応は肥大していき、twitterの世界トレンドの1位にもなったとのこと。視聴率に現れない、関心の”深さ”が今後の番組作りの鍵になると総括していた。視聴率はとれなかったものの、パッケージや関連グッズは売れており、商業的成功を収めている。

となれば、やはり映画化される。現在、撮影中で8月に公開予定だ。この製作のスピード感はTVドラマ映画ならではといえる。あの終わり方以上に、何か出るとは思えず、失敗する心配が先立つが、ファンになってしまった以上、見ておかなければならない。TVと映画、両面で成功した「モテキ」の再来を願う。

【80点】

劇場版 おっさんずラブ 【感想】
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魂のゆくえ 【感想】

2019-04-17 07:00:00 | 映画


世界の創造主が神であるならば、その世界を破壊する人間を神は赦すのだろうか。
劇中の様々な局面で突きつけられる問いに思いを巡らす。本作の場合、環境問題に繋げているが、あらゆる人間の業にあてはまると思えた。人間の経済活動によって生かされる現代の教会組織。信仰の砦は、環境を破壊し利益を貪る者によって支えられる。タブーとも思えるテーマに切り込む脚本だが、敬虔なクリスチャンとして育てられた監督自身の手によるものだから驚きだ。映画は、神と人間の関係性を見つめ、苦悩する1人の神父の絶望と怒りと救済を描く。

今や”土産物屋”と揶揄される教会を代々受け継ぐ1人の神父。彼の元に現れた環境活動家の若い夫婦は、環境破壊による将来を憂い、身ごもった命を堕胎したいという。そんな夫婦に救いの手を伸ばしたことをきっかけに、神父の運命が大きく変わっていく。失望する教会の真実、神父が抱える過去の悲劇、体を蝕む病魔、迫る教会250周年の式典、いくつものタイミングが重なり、1つの計画へと突き進む。

ナレーションは神父の日記の独白だ。デジタルの時代、神父が手書きの日記に拘ったのは、訂正の筆跡も全て残すことにある。そして1年が経過したら、その日記を燃やす。事実と向き合い、全てを孤独のなかで完結させる覚悟だ。聖職者として自身を律し、迷える人々を救うことに努める神父の姿に、信仰が人間にもたらす力を垣間見る。

「希望と絶望を抱えて生きることが人生」。夫婦を救済するはずが、自身の無力さを知り、耐え難いジレンマに苛まれる。神父が信じていたものは何だったのか。淡々と、しかし確かに、神父の信念の移ろいが見て取れ、終始引き込まれる。静かに燃え滾る魂を体現したイーサン・ホークの名演は、今年のオスカー受賞に最もふさわしいと思えた(候補入りさえされてないけど)。

結末は、唖然とさせるものだった。現実から引き離したそのシーンは、神父への救済と感じられた。多くの結末が考えられるなか、最も観客の共感を得にくい選択に、監督の本作に賭ける思いが滲んだ。

【75点】
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ゲーム・オブ・スローンズ 最終章 第1話 【感想】

2019-04-17 00:20:22 | 海外ドラマ


2019年における映画の世界最大のイベントが「アベンジャーズ・エンドゲーム」なら、海外ドラマにおける最大のイベントは間違いなく「ゲーム・オブ・スローンズ」だ。この2つのイベントが同じ月に重なるなんて奇跡だわ。

ついにこの日が来た。
約1年半ぶりの「ゲーム・オブ・スローンズ」(GOT)、その最終章となる第八章の放送が開始された。

世界同時放送のスターチャンネルに再び感謝。スカパー経由でみると、月額3,000円近くとなり、2か月で6,000円と安くない視聴料金だが、計6話、1話あたり1,000円、GOTの場合、1話の密度が一般の映画並みなので、まったく惜しくない。月額1,000円でストリーミングのみの「スターチャンネルEX」というチョイスもあったが、永久保存版として残しておきたいので、再びスカパー経由で見ることにした。

いつもは、録画してイッキ見をするところだが、どうしても待ちきれず1話目のみ先に見ることにした。簡単に感想を残す。

既に今年の海外ドラマのベストは「ゲーム・オブ・スローンズ」の一択で決まっているのだが、そんなファンの期待に応える堂々の滑り出しだ。

やっぱり、規格外(笑)。ワクワクと震えが止まらず。。。。
「待たせたぜ!」と言わんばかりに、オープニングも最終章仕様に一新されている。

前シーズンで、デナーリスと手を組んだスノウ。同盟軍を引き連れ、故郷のウィンターフェルに帰還する。前回、入れ違いになったアリアとブランに再会。すっかり大人に成長した2人に驚くスノウ。わかるわー。それぞれの苦難の旅路を思い出しながら、アリアとの熱い抱擁にウルウルするが、ブランは相変わらず淡泊。ブランの幼少期、守ってくれたお兄ちゃんなのにな。。。と、思い出に浸る間もなく、展開はホワイト・ウォーカーを迎え撃つ準備のため、閉鎖的なウィンターフェル連合とデナーリス軍との融和を目指す。



スノウの留守中、ウィンターフェルを統治していた妹のサンサだが、デナーリスを歓迎しない。賢明でプライドが高いという点で、実は似た者同士の2人。サンサは冷静に同盟軍が合流したキャパを問題視し、スノウとデナーリスの間に特別な感情が芽生えていることを見抜く。スノウによる説得も、サンサはデナーリスと手を組むことに懐疑的。「よっしゃ、みんなでホワイト・ウォーカーと戦うぞ!」と、容易に一致団結にはならない。



デナーリスが引き連れる2体のドラゴンも同行。初めてドラゴンを目の当たりにするウィンターフェルの人たちの反応も新鮮。前シーズンで感じたようにドラゴンもスノウを王と認めているようで、デナーリスとスノウの、空中ライドが実現。スペクタクルな視覚効果と迫力の滑空アクションにくぎ付けになる。「もう馬には乗れないな」のスノウの感想に納得。これぞGOTと興奮をかみしめる。



印象深い再会劇がもう1つ。スノウとぽっちゃりサムの再会だ。ナイツウォッチで固い友情を育み、その後、異なる道を辿り、再会を約束した2人。変わらぬ友情に感動するも、デナーリスの過去が引き金となって、スノウの出生の秘密を早々にバラしてしまう。観ているこちら側も、前シーズンで不確実に理解した、ブランが幻視した光景の意味が明らかになった。スノウがGOTの真の主人公だったことが確定する。

ほか、かつて夫婦だったサンサとティリオンの再会(懐かしい!)、前シーズンでスノウに叱咤されたシオンの覚醒(応援!)、血みどろの修羅場で別れたアリアとハウンドの再会、命の恩人となったサムとジョラーの再会など、前シーズンでは描き切れなった再会劇が目白押しで、シーズンを追いかけてきたファンには堪らない。壁の崩壊をチャンスとみる、ラニスターのサーセイの動向も気になるところ。サーセイ演じるレナ・ヘディ、やっぱ綺麗ね。

壁を越えてしまったホワイト・ウォーカーの脅威についても、ホラー映画ばりに触れられており、その決戦は、海外ドラマ、いや、映画界をしのぐ大変なスペクタクルになると予想。以降は、見たい衝動を抑えて、最終話まで貯めてイッキ見をしたいと思う。
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地元のTSUTAYAが閉店していた件。

2019-04-15 22:55:31 | 日記
現在公開中の映画「ハロウィン」を映画館で見るべく、40年前の前作を見ておこうと久しぶりにTSUTAYAに出向いた。

が、店頭で驚愕。
改装中の気配だが、「今年の1月で閉店しました」との張り紙が。。。。

路面から見えない奥まった2階に店を構えていたので、まったく気づかなかった。TSUTAYAが実店舗を次々と閉店させているというニュースは聞いていたものの、地元の商圏はそこそこ大きいので、まさか閉店するとは思わなかった。

かなりのショックだ。めちゃくちゃ困る。
今後の自身の映画生活に大きく影響を及ぼすことになりそうだ。

自分がレンタルビデオ店を使う用途は以下の3つ。

(1)映画館でスルーした映画をレンタルでフォローするとき
(2)日本で公開されず、人知れずパッケージ化された映画を見つけるとき
(3)新作を見るために、関連する旧作を見たいとき

特に(1)と(2)の機会が奪われるのはかなり痛い。実際の店舗で確認しないと、「あ、レンタルされている」と気づかない。映画レビューアプリ「Filmarks」では、自身がチェックした映画のレンタル開始を知らせてくれる機能があるが、劇場で公開された映画しか網羅されないので、未公開映画についてはわからない。

レンタル開始が他の情報源でわかったとしても、新作のストリーミングは500円前後で割高だし(人件費かかってないのに高いよ。。。)、宅配レンタルは手間で、2枚ずつレンタル等、利用制限があって使いづらい。

これを機会に映画館での鑑賞本数を増やそうとは思わないので、間違いなく映画を見る頻度は減るだろう。NETFLIXをよく視聴するものの、オリジナル映画についてはアタリよりハズレが多いので、ドラマ鑑賞がメインだ。

動画配信市場の伸びはまだ限定的なので、TSUTAYAの閉店ラッシュは、音楽配信の影響のほうが大きいと想像する。いずれにせよ、時代の流れに対して、TSUTAYAを運営するCCCが新たな事業転換を図るタイミングなのだろう。利用者としては甚だ残念。
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バイス 【感想】

2019-04-13 07:00:00 | 映画


権力に慄き、権力に笑う。高度で鋭利なブラックコメディ。
”無能”と言われた男に備わった権力の掌握術。心臓に爆弾を抱えながら、しぶとく生き永らえた男に生来の強運をみるが、同時に、権力を手中に収めるための周到な準備に必然をみる。

国際的な表舞台に出てこない「副大統領」という存在。クリスチャン・ベール演じる、チェイニーを見てもピンと来ず、鑑賞後、本人の顔写真を検索しても「こんな人いたっけ?」だ。ブッシュもラムズフェルドもパウエルもライスも、見た瞬間「そっくり!」と手を叩いたのだが。

本作で明らかになるのが、当時その誰よりも、権力を振るっていたという事実。政治家→大企業社長のゴールデンコースを辿り、巨万の財を成した男だ。政界に復帰した理由を平たくいえば「やりがい」だろう。お飾りの「副」なら意味なし。世界一の国家運営の実指揮をとるためには権力が必要。彼には独裁の選択しかなかったとも言えるが、そのタイミングが”9.11”だったことが、アメリカにとっての不幸だ。アメリカの危機的状況は彼にとってのチャンス。ここぞとばかりにチェイニーの腕が鳴る。

「イラク戦争は誤りだった」。アメリカの黒歴史は、1人の男の暴走によってもたらされた点で嘘のような喜劇にも映る。これはまさに監督アダム・マッケイの好物だ。SNLや過去作で磨き上げられたセンスで、この史実をブラックなコメディに仕立てる。まさかまさかのナレーターの正体にびっくり(ジェシー・プレモンス、やっぱ最高)。

影の独裁者が形成された道のりを丹念に追い、徹頭徹尾、イジり倒す。そして、知られざる男の正体を皮肉とユーモアを交えて、わかりやすく解説してくれる。権力の掌握を、釣りに見立てるシーンも面白い。一方、チェイニーのジャッジによってもたらされた悲劇をかき集めたシーンには胸が痛む。関係性がわからない映像も出てくるので、日本の報道で知るよりも広範囲に影響があったのだろう。

自身の存在を完全に消し去り、チェイニーに変貌したクリスチャン・ベールの演技に圧倒される。片方の口角を上げて話す癖が印象的。権力者となった凡人の核をとらえ、ある種のホラーを放出する。当時の表の顔であったブッシュを演じるサム・ロックウェルも実に巧い。動きのコピーもさることながら、マッケイの悪意が透ける無能加減を絶妙に表現する。

本作で描かれたものが100%事実とは思えないが、独裁によって悲劇が繰り返された歴史がある。現アメリカ大統領トランプの政権運営にも重なって見えてしまう。本作もまた現代アメリカに直結する映画だった。

【70点】
コメント (2)
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ラブ、デス&ロボット 【感想】

2019-04-12 07:00:00 | 映画


Netflixの連続アニメ「ラブ、デス&ロボット」を見終わったので感想を残す。

計18話だが、すべて独立した物語で、監督、キャストもすべて異なる。
1話あたり10分~20分のボリュームなので、エピソードをカウントしていないで見ると、「もう終わったの?」という具合になる。Youtube全盛の現代にあって、この短い時間も今のトレンドを汲んだ企画と思える。個性に富んだエピソードばかりなので、見た人たちの間でベストやワーストを議論したら盛り上がりそうだ。

”愛と死とロボット”
18個のエピソードに共通するテーマであり、いずれかのテーマに引っかかっていればOKのようだ。そのテーマの解釈も作品単位に委ねられ、愛→性的欲求、死→生きる、ロボット→未来、というように置き換えられたりする。過剰なほどにエロくてグロいエピソードが多く、刺激を求める大人のための寓話集だ。男性の陰茎もそのままアニメで描かれる。スポンサーにも、放送コードにも縛られないNetflixの強みが発揮されたコンテンツともいえる。

1話目「ソニーの切り札」からカウンターパンチ。高精細な3DCGアニメで、怪物たちを、映画「アバター」形式で戦わせる地下闘技場での一幕。迫力の格闘シーンに血肉が飛び散るスプラッター描写が想像以上で、どれも痛覚を刺激するほどだ。ゲームの「モータルコンバット」を彷彿とさせる。格闘後、女性同士のエロに向かい、再び、グロへ戻る。ひたすら過激。最後にはしっかりオチも用意されている。

2D、3DCG、手書き風、実写融合、実写との組み合わせ、など絵のタッチも表現手法もバラバラ。アクション、サバイバル、SF、ロマンス、コメディと、ジャンルもバラエティ豊か。エピソードの順番も緩急を意識しているため、連続で見ても飽きることがない。

ベストワンを決めるのが難しいため、個人的にお気に入りのエピソードを2つ挙げる。嗜好が中学から変わっていないため、わかりやすいやつをチョイス。



1つ目は「スーツ」。「スターシップ・トゥルーパーズ」と「パシフィックリム」をミックスしたようなアニメ。一見、アメリカのどこにでもある農場が舞台だが、宇宙につながる”穴”から肉食のエイリアンが出没する状況が日常になっている設定。家畜や人間を襲うので、農家がロボット(スーツ)を操縦してエイリアンたちを駆除している。まるでトラクターでも扱うようにロボットを操縦し、農場内には対エイリアンの装備もばっちり。意外な世界観と、3体のロボットが大量のエイリアンを駆逐する爽快感、ラスボスと攻防するクライマックスなど、男子ゴコロをアツくさせる。



2つ目は「グッド・ハンティング」。妖怪退治を生業とする親子(父親と男子)と、人間の男たちを惑わす妖怪狐の親子(母親と娘)。妖怪を害獣とみなし人間が妖怪を狩る関係から放たれたそれぞれの子供が、青年へと成長を遂げ、友情を形成、近代化する都市部で再会を果たす。機械工学で命を与えることに魅せられた人間の男子と、妖怪に化けることを忘れ娼婦として生きるようになった女子。序盤の日本昔話のテイストから、一気にギアチェンジして予想の斜め上を行くストーリーに転じていく。大胆に空間を使ったアクション、サイバーな近代都市の緻密な描写、2人の友情関係から生まれる、新たな「狩り」の形。長編で描かれるような物語を15分程度でギュッとまとめた短編アニメ。

ほかにも、哲学的要素も孕む(?)奇想天外コメディ「ヨーグルトの世界征服」、最もオチが読めなかったSFアニメ「ジーマ・ブルー」、アクションに魅せられる「ブラインド・スポット」も、非常に面白かった。

先月に見た「スパイダーマン・スパイダーバース」しかり、アメリカのアニメーションの勢いを感じた。

【70点】
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キングダム 【感想】

2019-04-11 08:00:00 | 海外ドラマ


Netflixのオリジナル海外ドラマ「キングダム」を見終わったので感想を残す。

計6話。

「キングダム」というと、今月実写映画が公開される、同名大人気漫画を思い浮かべるが、全くの別物。

韓流の時代劇にゾンビを掛け合わせた意欲作だ。予告編がリリースされた頃から楽しみにしていたが、まずまずの面白さ。及第点といったところ。

ベースは王族の権力争いを描いたサスペンス。韓国映画で見たことのある設定だが、”感染病”という形でゾンビが蔓延し、王族間の争いに影響を及ぼすストーリーが新鮮だ。

ドラマは終始シリアス。陰謀渦巻く宮廷ドラマに、ゾンビの存在が違和感なく融合している。完全なフィクションであるが、史実のように描こうとする意図がみえる。裏切りに合う主人公の王子は正義感の強いヒーローという立ち位置。罠にかけた王族勢力に追われながらも、襲いかかるゾンビたちから民衆を助けるべく奔走する。主人公のヒロイズムがしっかり抑えられている点が本作の要だ。

死んだ人間が蘇り人間を襲う”謎の奇病”に、初めて直面する人間たちのリアクションが生々しく、ゾンビへの耐性を知っていくプロセスに多くの時間が割かれる。「アイアムヒーロー」や「新感染~」で感じたとおり、韓国製作陣によるゾンビ描写が素晴らしい。ゾンビを演じるキャストたちの動きのつけ方(演出)、血肉をむさぼるゴア表現に遠慮はない。

本作のゾンビは猛スピードで走る。交通の利器が馬車くらいしかなかった時代、四方八方からダッシュで襲ってくるゾンビたちを振り払うのは至難の業。そこに大きなスリルが生まれる。俯瞰ショットを多用したダイナミックなスケールでアクションが展開する。日本ではまず撮れないゾンビドラマだ。

豊富な製作資金が投下されていることは想像に易く、映画並みのクオリティだ。当然、一般の公共電波には乗せられない内容であり、Netflixだからこそ実現できた連続ドラマといる。ただ、計6話という短さで予想したとおり、何の区切りもないまま、次のシーズン2にお楽しみが持ち越されたのは残念だった。

【65点】
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栃木のいちご狩り

2019-04-10 23:27:46 | グルメ


那須塩原温泉の帰り。「せっかり春の栃木に来たのだから・・・」ということで、いちご狩りを体験することにした。いちご狩りは過去に地元の農園で体験したことがある程度。小粒であまり美味しくなかったので、本場の苺はどんなものか試してみようと思った。

じゃらんの口コミ情報を参照。「スカイベリー」のいちご狩りができて、評判の良い「石川いちご園」というところに行くことにした。

完全予約制らしく、午前中に電話をかける。スカイベリーは人気なのか、品薄のため、現在は「とちおとめ」のみとのこと。そもそも「スカイベリー」と「とちおとめ」の違いをよく知らないので、ついでに電話口で聞いてみた。スカイベリーは大粒で、とちおとめは甘味が強いとのこと。料金も安くなるようなので、今回は「とちおとめ」のみのいちご狩りを申し込んだ。電話で対応してくれた女性が、とても丁寧で好印象だ。車のナビで住所を調べたら、「不明」と出る。わからなくなったら電話してくださいとのこと。

那須塩原から、高速を使って1時間弱。本当にこの道で合っているか?と疑わしくなるくらい、だだっ広い畑道をひたすら進んでいく。住所の目安となる、烏山駅の近辺に到着するが、それらしい施設が全く見当たらない。googleマップで調べたところ、来た道を行き過ぎたらしい。さっそく戻ってみると、「石川いちご園」という小さな看板を発見。う~ん、わかりづらいww。「いちご狩り」って大々的に目立たせると予約していない客が入ってくるから、わざと地味にしているのかな。

料金は、大人1400円、子供が1000円。こじんまりとした農家さんのようだが、駐車場にはすでに2、3台の先客がいた。

対応してくれたお姉さんが、非常に親切。話す言葉に栃木訛りがあって、めちゃくちゃ可愛い。受付からすぐのビニールハウスに案内してくれ、ロープで区切ったところまで、食べ放題とのこと。結構広い。30分制をとっているが、厳密に測っているわけではないので、好きなだけ食べてください、と言ってくれる。糖度が高い苺の意外な見分け方などを教えてもらい、いざスタート。ビニールハウスには、自分たちしかおらず、貸し切り状態だ。目の前には、赤く艶やかに膨れた苺たちが、たわわに実って待ち構えている。夢のような光景。

子供が早速、大き目の苺を摘んで、ほおばる。「うまっ!!」っと驚く。次々と口に運び、「これも甘い」「これも甘い」を連呼する。その興奮する様子をカメラに収めたのち、いざ、自分も試食。

大げさでなく、びっくりするくらい美味しい。今までスーパーで買ってきた苺のパックとは大違いだ。歯ざわり、触感、口に含んだときに溢れる果汁、濃厚な苺の香りと酸味、そして、強い甘み。”完熟”という言葉が最もよくあてはまる。「スカイベリー」よりサイズ感は小さいと聞いていたが、一口では口が塞がってしまうほど、大ぶりな苺もたくさんある。

水耕ではなく土壌栽培のため、苺を摘むときに、毎回、腰をかがめる必要があるが、苺のあまりの美味さに無我夢中になる。どの苺も形が綺麗で、作りモノのようにピカピカ光っている。そして温い。生命を頂いていることに多少の罪悪感を感じながらも、合計20粒くらい食べてフィニッシュ。大満足だった。

販売用の苺が売り切れてしまったことを自分たちが残念がっていたのを見て、対応してくれたお姉さんが特別に農園から摘んできてくれて、2パック用意してくれた。しかも格安。お姉さんの善意に心も満たされた。

いちご狩りを他の県内の場所で体験していないので、栃木県のいちご狩りのレベルはわからないが、「石川いちご園」に行って正解だったと思う。高速からアクセスがやや悪いが、また必ずリピートしたいと思う。次は「スカイベリー」狙いで。

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那須塩原のスープ入り焼きそば

2019-04-09 08:00:00 | グルメ


10数年ぶりに栃木の温泉に行ってきた。場所は那須塩原温泉。
せっかくなので、美味しいご当地グルメがないか、ネットで探していたところ、以前に「ケンミンショー」でも紹介されていた「スープ入り焼きそば」なるものにヒット。放送視聴時、あまり美味しそうに見えなかったものの、食べログで調べたら、かなりの高評価。スープ入り焼きそばで有名なお店を調べたら「こばや食堂」がいいらしい。連日、行列ができているようで、できるだけ行列を回避すべく、平日金曜日の13時過ぎに到着した。

前列に4~5人の2グループが並んでいて、10分程度待って入店。もっと待つかと思っていたのでラッキーだった。子どもと2人で座敷席に通される。まず目に入るのは、テレビの取材で来店した芸能人の写真入り色紙の数々。「まいうー」の人のもある。メディアの露出も多い、かなりの有名店のようだ。スープ入り焼きそばは、並、大、特大とあり、並盛で650円とかなり良心的。スープ入り焼きそばの他にも、普通の中華屋と同様、チャーハンやチャーシューメンなどもあり、観光客ではない近所の常連らしき人たちは、焼きそば以外の料理を注文している。夕飯は宿泊先の食べ放題が待っているので、並盛を注文する。注文してから、15分近く待ち(結構長い)、スープ入り焼きそばが運ばれてきた。

結論、めちゃくちゃ美味い。

醤油ラーメンの動物系の旨味と塩気、ソース焼きそばの甘味と酸味が、絶妙にマッチ。麺は焼きそばでイメージするモチモチ麺ではなく、ストレートのラーメンの麺だ。しっかり炒めた麺と野菜の香ばしさが、食欲をそそり、箸がとまらない。醤油とソースの2つの味が次第に混ざり合い、また違った味わいに変わる。そして、中盤でさらなる味変のお楽しみが待ち受ける。卓上の唐辛子入りの酢を投入する。どうやら、その酢はニンニクを漬け込んでいるらしく、スープがさらに芳醇な味わいにパワーアップする。これが本当に美味い。ライスの注文がデカデカと壁に貼られているとおり、ライス投入が間違いなく合う味だ。その欲求を抑えながら完食。10歳の子どもは、あまりの美味しさにスープを飲み干してしまった。(その晩の宿の夕食(食べ放題)が酷くまずかったので、ライスを入れとけば良かったと後悔。。。)

翌日、子どもが「また食べたい!」とねだるため、再び、こばや食堂に向かうことにした。11時過ぎに行ったが、土曜日とあって、すでに長蛇の列が。。。。さすがに、あそこまで並べないため、Uターンしてあきらめることに。帰り、どうしても「スープ入り焼きそば」を食べたかったため、「こばや食堂」ではないが、もう1つの有名店「釜彦」の土産用のセットを購入した。

2日間で那須塩原を満喫したため、しばらく行くことはないと思うが、「こばや食堂」のスープ入り焼きそばの味が忘れらなくなってしまった。那須塩原でなくても、栃木に行く機会があれば、多少、遠出してでもリピートしたいと思う。
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