先ほど第90回アカデミー賞の授賞式が終わった。あっという間の4時間だった。
結果と感想をまとめてみる。
作品賞:シェイプ・オブ・ウォーター(!)
監督賞:ギレルモ・デル・トロ(シェイプ・オブ・ウォーター)
主演男優賞:ゲイリー・オールドマン(ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男)
主演女優賞:フランシス・マクドーマンド(スリー・ビルボード)
助演男優賞:サム・ロックウェル(スリー・ビルボード)
助演女優賞:アリソン・ジャニー(アイ,トーニャ/史上最大のスキャンダル)
脚本賞:ゲット・アウト(!)
脚色賞:君の名前で僕を呼んで
撮影賞:ブレードランナー 2049
編集賞:ダンケルク
美術賞:シェイプ・オブ・ウォーター
衣装デザイン賞:ファントム・スレッド
メイキャップ&ヘアスタイリング賞:ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
視覚効果賞:ブレードランナー2049
録音賞:ダンケルク
音響効果賞:ダンケルク
作曲賞:シェイプ・オブ・ウォーター
主題歌賞:「リメンバー・ミー」(リメンバー・ミー)
アニメーション映画賞:リメンバー・ミー
作品賞は「スリー・ビルボード」ではなく「シェイプ・オブ・ウォーター」!!!
予想は思いっきり外れたが、かなり嬉しいサプライズ。このような映画がちゃんと評価されて、また新しい映画時代の到来を想う。今年の主役と予想していた「スリー・ビルボード」は監督賞で候補入りせず、大本命と思われた脚本賞でも受賞ならず、アカデミー会員からは思いのほか支持を得られなかったのかもしれない。間違いなく傑作だけれど。
全体的な受賞結果は、昨年と同様、いろんな作品にバラけて良かったと思う。ジミー・キンメルはさすがの司会ぶりだったが、多くの問題が山積した映画界において、昨年のマット・デイモンをイジり倒すような、はっちゃけたパフォーマンスは見せなかった。プレゼンターのコメントに関してもみんな少し抑え気味のように見えた。授賞式の間に挟まれるパフォーマンスも、歌曲賞にノミネートされた歌唱パフォーマンスのみに限定された。やや地味な印象だが、この世相なので仕方なしか。懸念していた女性参加者の衣装は、黒ずくめのGG賞から一転、女性らしさを出した華やかな色彩のドレスで溢れていた。受賞スピーチに関しては一様に「多様性」に言及。これは性別にかかわらず、人種間に関しても同様。今回も何度もヤリ玉に上がったトランプ大統領。ここまでハリウッドに嫌われる大統領は過去にも先にもいないだろう。見方を変えれば、ネタを提供してくれる有り難いキャラともいえる。
他、授賞式を見ていて思った感想は以下。
■ジミー・キンメルのオープニングスピーチ、お見事。映画人へのリスペクト、セクハラや銃規制の問題をしっかり抑え、程良い毒っ気のユーモアを差し込む。
■スピーチ時間の短縮のため、時間を計測するという試み、その手があったかww。景品はジェットスキーだが、欲しいかどうかは微妙。ま、半分ジョークか。
■紹介シーンで流れる過去の受賞作品の総まくりに感動。今回も編集の美技を見せられる。過去の感動がよみがえって胸がアツくなる。
■メイキャップ賞、日本人の辻さんが受賞。誇らしい。レッドカーペット上のインタビューで日差しを気にしながら、浮かれることなく冷静に答える姿がカッコいい。彼の評価はおそらく今に始まったことではなく、参加する作品に恵まれることも重要だと再認識する。
■長編ドキュメンタリー、ネットフリックスの「イカロス」が受賞。納得。面白かったもんね。
■ガエル・ガルシア・ベルナルの「リメンバー・ミー」、歌唱力は微妙だったかも。
■外国語映画賞は「ナチュラル・ウーマン」が受賞、近くでやっていないのでレンタル待ちしていたが、見に行こうかな。
■短編アニメ映画賞、まさかアカデミーの壇上でコービー・ブライアントが見れるとは。
■視覚効果賞、強豪揃いのなか無事「ブレードランナー」が受賞。ただ、今思うと最後となる「猿の惑星」に上げても良かったと思った。
■最注目だった編集賞は「ダンケルク」が勝利。まー納得。「ベイビー・ドライバー」を応援していたが作品賞に入らないとさすがに難しいか。
■中盤のサプライズショーが楽しかった。その企画の面白さもそうだが、観客あっての映画という視点が何気に素晴らしい。ちゃんと予告編の間に割り込んでいるみたいだし。
■脚本賞は「ゲット・アウト」!!!会場が驚きと歓喜で湧く。いかにこの映画がアメリカで愛されているかがわかった。
■撮影賞、ロジャー・ディーキンスが無事受賞。ホッとする。
■プレゼンターで登場した「ビック・シック」のクメイル・ナンジアニのコメントが一番印象的。説得力とユーモアがあって引き付けられる。
■歌唱パフォーマンスのキアラ・セトル。腕に大きなタトゥー。おそらく自分のルーツに関連する模様。映画の時よりも好印象。
■歌曲賞は「This is me」(グレイテスト・ショーマン)ではなく「リメンバ・ミー」というサプライズ。アカデミー会員は冷静だった。
■追悼シーンで、ゴジラのスーツアクターだった中島春雄が紹介される。さすがはハリウッド。解説の町山さんがナイスフォロー。
■監督賞はギレルモ・デル・トロが無事受賞。これでキュアロン、イニャリトゥを含めたメキシコ人監督3傑が監督賞受賞の快挙。凄い。
■ブランシス・マクドーマンドの受賞スピーチ。アカデミー史に残る名スピーチでシビれた。
■作品賞のプレゼンターは昨年に続き、あの2人。昨年の失敗に対して、寛容とチャンスを与えるアカデミー賞らしい配慮。
第90回アカデミー賞受賞予想
シェイプ・オブ・ウォーター 【感想】
スリー・ビルボード 【感想】
ゲット・アウト 【感想】
ダンケルク 【感想】