湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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アイヴズ:答えのない質問

2006年08月07日 | アイヴズ
△カラヤン指揮ロス・フィル(KAPELLMEISTER:CD-R)1959/7/2ハリウッドLIVE

素朴な演奏ぶり。もちろんほとんどの悪印象は録音やオケのせいというところだが、正直カラヤン自身もこれをどう演じたらいいのか皆目見当がつかなかったのではないか。のちの犬猿バンスタがオハコとした因縁もさることながらこれは表現者が積極的に解釈して、自分の作品として表現することを求めるアイヴズ作品のたしかに特異な一面を体言した曲でもある。バンスタは「作曲家」として入り込み易かったということもあるだろう。文学的内容をきちんと理解して、最後まで問い掛けを続けるペットと、不毛な議論を繰り返し仕舞いにほうり出して消えてしまう木管たち、それら卑俗のものの背後の自然界を超越的に彩る弦のコラール、この三者を独立した三部の音群として並列させないと、下手に論理的にリズムから交通整理しようものならぶかっこうな珍曲と化してしまう。それでもわかりやすい構造だからバンスタのような単純化も可能であるのに、カラヤンは何かぶっきらぼうに即物的に音を出させているだけでやる気もなく、聞く人々の反応も悪い。ここまで理解されないまま演奏されたアイヴズは珍しい。

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