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続)ムスリムの子ども教育-26-番外編

2020年08月18日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-26-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生20」(20:50~35:21)@エジプト

https://www.youtube.com/watch?v=XLDazBp8QbA

 

前回の復習:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの電話相談:「父は、私の兄に対してとても厳しく抑圧的で、暴力をふるうこともたびたびでした。兄は30歳近くになりますが、未だに父に聞かないと何も決められないようになり、父は娘の私に対しても、同じように厳しく、また、母に対しても、暴力をふるったり、他人や近所の人の前でも構わず激しく怒鳴ったりします。ところが、弟が産まれた途端、父の態度が豹変しました。弟に対してだけは、愛情あふれ、優しく、弟のことをとても大切に可愛がっています。私たちへの接し方とは完全に違います。私はそのことを父に抗議したことがありますが、父の態度は全く変わりませんでした。」

 

回答:

アッラーが、お父様を改善してくださいますように。イスラームでは、親は、男の子と女の子を差別しないだけでなく、すべての子どもを公平に扱う義務があります。一部の子どもにだけ良くすることは許されません。

アン=ヌウマーン・ブヌ・バシール様(アッラーのご満悦あれ)は言いました。

父が、私に与えた物を見てもらうために、私を連れて、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところに行きました。すると、こう言われました。

≪あなたには、彼以外に、子どもがいますか?≫

「はい。」と言うと、手を組み、このように重ねました。

≪彼らの間を公平にしなさい。≫ナサーイーの伝承

 

同様の意味のハディースが多く残っています。イスラームにおいて、子どもの権利というのは、このように細かく決められています。

 

また一方、父親の権利というのも、イスラームではとても大きなものです。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のハディースにこうあります。

 

アッラーの御遣い様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のところにある男がやって来ました。彼は老人と一緒でした。すると、こうおっしゃいました。

≪誰某よ、あなた方の同伴者は誰ですか?≫

彼は言いました。「私の父です。」

彼はおっしゃいました。

≪彼の前を歩かないようにしなさい。彼より先に座らないようにしなさい。彼を名前で呼ばないようにしなさい。≫アッタバラーニー伝承

 

両親と歩くときには注意してください。親の前を歩くことがないように。一緒に歩くときには、常に、親の隣か少し後ろを歩くよう気を配るのが、イスラーム的な親に対する礼儀作法です。また、親が立っているのに、自分だけ先に座ることがないように。そして、親を名前で呼ばないことです。この点は、最近、親を名前で呼ぶことが流行っていて、親子関係を良くするために、と言っている人たちもいますが、イスラームではそうではありません。子どもの悩みを聞いたり、子どもと遊んだり、子どもと信頼関係を築くことは、子どもが、親に対する尊敬の気持ちを持ち、礼儀を保つことと矛盾するものではありません。そして、最低限の礼儀として、親を、「お母さん」「お父さん」と呼ぶことがあります。

 

ただ、親の権利が、何よりも大きく、親は子どもに何をしても許される、ということはありません。イスラームにおいて、親の権利が大きいということは、親の責任が大きい、ということでもあります。常に、権利と責任は一対です。子どもに対する親の責任とは、ただ、子どもの養育費を支払い、食べ物や服を買い、教育を与えることだけではありません。子どもの、内面的な人格を形成するという責任もあります。

 

 

質問「この質問者の方の問題は、親の愛情が不公平に下の弟だけに傾いてしまっていることですが、親が、自分の子ども達の中で、ある子どもに特に愛情を感じてしまうことは、イスラームでは許されないことですか?」

 

回答:

愛情というのは、心の問題なので、一人に対し多くの愛情を持つこと自体は禁じられません。ただ、その愛情が、行動に移ってしまった場合、ある子どもだけに何か特別に与え、別の子どもには与えなかったり、ある子どもだけに優しい言葉をかけて、別の子どもの権利を害していたり、といった行動になってしまうと、それは問題です。しかし、この質問者の方のお父様は、若い頃は子どもに対して厳しく、最後に産まれた弟に、これまで注げなかった愛情を表しているだけかもしれません。ただ、自分の妻に対する暴力は、イスラームでは、本当に禁じられています。もし預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)が、このお宅に行って、彼が妻に暴力をふるっていたら、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)がどんなにお怒りになられるでしょうか。イスラームにおける女性の権利、妻の権利はとても大きなもので、妻への暴力は、アッラーによって必ず問われます。

 

しかし、私はこの娘さんに伝えたいことがあります。

ひとつは、これが、あなたの父親だ、ということです。こういった欠点もすべて含めて、彼が、アッラーがあなたのためにお選びになってお与えくださった、あなたの父親だ、ということです。アッラーは、あなたに大きなご褒美を与えるために、このお父様をお与えくださって、お父様があなたを害することに対して、あなたが善行で返して行くことができるチャンスをお与えくださいました。まず、アッラーにドゥアーをすることです。アッラーよ、どうか私の父を善くしてください、どうか父に悔悟を御恵みください、こういったドゥアーを沢山します。なぜなら、あなたはお父様のことが好きだからです。どんなに批判しようとも、もし今、お父様が事故に遭ってICUに運ばれた、と聞いたら、どんな気持ちになるでしょうか。今は、なんとも思わない、と言うかもしれませんが、実際に起った時にわかります。

 

もし、来世で、あなたの家族が全員天国に入っている時に、お父様だけが、あなたや家族に対する不正のせいで、地獄の炎で焼かれているのを見たくはないでしょう。もし見たくないと思うのであれば、お父様を許すことです。もちろん、許すことは難しいでしょう。しかし、あなたがお父様を許せば、アッラーがあなたの罪を赦してくださいます。来世で、アッラーにあなたの犯した罪をひとつひとつ見せられる時、アッラーが自分を許してくれたらどんなにいいかと切望する時を思い出してください。もし、今、あなたの心が、お父様を許す、という気持ちを持つことができれば、それは、来世でアッラーの御前に立った時に、アッラーがあなたを許してくださる吉報です。

 

そして、お父様があなたの気持ちを害するたびに、お父様に善いことをしていってください。悪いことをされたら、善いことで返してください。アッラーが、あなたの忍耐と努力によって、お父様の心を愛情深くしてくださるでしょう、インシャーアッラー。

 

 



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