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続)ムスリムの子ども教育-29-番外編

2020年11月03日 | 預言者の教育方法

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

続)ムスリムの子ども教育-29-番外編~Q&A

 

ハビーブ・アリー・ジェフリー師(アッラーのご加護あれ)TV番組「私たちの人生21」(12:16~23:20 https://www.youtube.com/watch?v=E1iGFAG8nKw)@エジプトhttp://ourlife-alhabib.blogspot.com/2010/12/21.html

 

基本:子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ(意思)、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。

 

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視聴者からの相談:「両親は、私が常にクラスで一番になることを期待して、どんな理由であれ、一番以外の成績を取ることは許されません。いつも誰々の息子はお前より頭がいい、と他の子と比べられて苦しいです。どうしたらいいですか?」

 

回答:この息子さんにまずお伝えしたいことは、ご両親があなたの成績に対して大きな期待を持っているのは、ご両親が、あなたにとって善いことを常に願っている、という証拠です。あなたの成績が良いことや、テストで一番を取ること、知識を学び蓄えることはいずれも、ご両親ではなく、あなた自身が得をすることです。また、ご両親が一番を望むのは、あなたにその才能があり、努力すれば実現できることを知っているからです。そして、ご両親の目から見て、あなたはその努力をもっとできるように見え、がんばれば一番になれるのに、と期待しているのでしょう。

 

また、このご両親に対して聞きたいことは、なぜ、息子さんの成績が一番であってほしいのか、根本的に、なぜ、息子さんに学んでほしいと思うのか、という理由です。

 

司会者「親なら、自分の子にしっかり勉強してほしい、と誰もが思うのではないでしょうか。」

先生「何のために?」

司会者「子どものためになるから。それに、いい大学に行けます。」

先生「なぜ良い大学に行くことが重要ですか?」

司会者「卒業後、良い仕事に就いて、自立するため、、、」

先生「目的が重要なのです。私たちの問題は、勉強の目的があいまいなことです。子ども達に、将来の糧を稼ぐために学校に行くのだ、と教えることは間違っています。よく勉強して、良い成績を取れば、良い大学に行けて、良い仕事に就けて、良い生活が送れて、自活することができる、この考え方は、間違っています。間違っている、というのは言い方が厳しいかもしれませんが、それは子どもにとって良い目標設定ではありません。

 

また、大きな間違いは、親が自分の自慢の種にするために、子どもの成績が良いことを望むことです。『私の息子は、トップで大学を出た。』『私の息子は、医者なんですよ!!』と自慢するために、子どもの成績が良いことを望む、これは間違った目的です。子どもの勉強の目的は、将来の糧を確保するためでも、親が自慢するためでもありません。

 

親は、子どもに対し、努力して成績を良くするように奨励します。一番になることを期待します。なぜならば、まず、アッラーがそれを望んでいるからです。

預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は言われました。

 

《アッラーは、誰でも何かを為す際には、完璧に行うことを好まれます。》アッタバラーニー伝承

 

子どもが学校に行く時に、しっかり勉強することで、アッラーが自分を好きになってくれる、と動機付けることが、何よりもとても重要です。反対に、子どもが勉強する目的を、あなたが将来困らないように、良い仕事に就くために、お金持ちになるために、近所の人に自慢するために、と親から聞かされて、学校に行く子ども達は、アッラーを目的にする子たちとは全く違っています。

 

子ども達が学校に行く目的、ニーヤ(意思)を、自分をアッラーに近づけてくれる、役に立つ知識を身に着けるため、勉強することにおいてアッラーがお好きな完璧さを実現するため、国やウンマ(イスラーム共同体)を建立するために必要な知識を得るため、アッラーが代理人として置いてくださったこの地球をアッラーがご満足するように管理するため、こういった高尚なニーヤ(意思)を持って学校に行くよう、子ども達に教えることが、とても大切です。そういった高尚なニーヤ(意思)で学校に行く子と、ただ、良い成績を取ったら父親がプレゼントを買ってくれるから、というような目先の目的のために勉強したり、良い大学に行くために勉強する子、良い仕事に就くために勉強する子は、全く違います。プレゼントは現世だけのもので、大学も現世だけのもの、仕事も現世だけのもの、その目的は、アッラーとのつながりが断ち切られています。

 

一方、大学に行き、役に立つ知識を求め、それによって自分の国やウンマの役に立とうと知識を完璧に習得しようとする子、自分にとっても、家族にとっても、国にとっても、ウンマにとっても、世界中にとっても役立つように勉強する子は、目的意識がはっきりしていて遠い将来のことまでしっかり見据えた明確な動機を持つことができます。

 

その違いは、もし、学校や大学で友人たちを通して、勉強に支障が出るような誘惑が来た時、その子に悪影響がある誘惑にさらされた時に現れます。アッラーを目的にして勉強する子は、様々な誘惑を前にしても、元々の学校に行く目的を思い出して、自分が今何をすべきか、正しい判断をすることができますが、ただ良い成績を取ったら父親がプレゼントを買ってくれるから、良い大学に行きたいから、良い仕事に就きたいから勉強する、現世の目的だけを果たす動機で勉強する子は、そういった若者たち特有の様々な誘惑の前にとても弱く負けてしまいがちです。自分が勉強する目的が、ウンマの発展のためにというニーヤ(意思)があれば、農業を学んでも、工業を学んでも、商業を学んでも、医学を学んでも、すべてそれを自分だけでなく、人々の役に立つために、ウンマのために役立てられるよう最大限の努力することができます。

 

親として重要なことは、勉強のふたつの目的を子どもの心に植えてあげることです。

  • アッラーが好きになってくれるように、完璧に勉強すること
  • ウンマのために役に立つために勉強すること

この二つの目的が心にある子どもは、自分の才能や興味のあることに応じて、どんな分野に進んだとしても、そこでがんばることができ、目的を間違えることなく、誘惑に負けることなく、知識の習得を達成することができるでしょう。

 

どうか子ども達の学びの目的を、糧を得るため、お金のためだけに限定しないでください。糧はアッラーが与えてくださいます。正しい目的で勉強することができれば、まず子どもの勉強に、アッラーからのタウフィーク(成功)がやって来ます。そして2つ目に、自我や周囲からの悪い誘惑に負けることなく目的を達成するために努力することができます。3つ目に、この目的を子どもに思い出させることにより、努力することを子どもに教えることができます。「ウンマはあなたを必要としているから頑張りなさい。」、「あなたの才能をたくさんの人が必要としていますよ。」、「ムスリム達にはあなたのことが必要です。」こういった声かけをして、子ども達を励ますことができます。

 

こうした正しい動機付けによって、現代のムスリムの若者達の持っている、自分たちの置かれた不公平な環境に対する怒りや憎しみ、またパレスチナやシリアに対する憤りを、権力に反抗することやテロに走ることで解消しようとするのではなく、国の発展やウンマの発展に自ら貢献することでプラスの方向に解消する道を示すこともできます。それは、子ども達を、ただ自分の糧を稼ぐためだけに勉強することを目的とさせることよりも、ずっとすばらしく、イスラーム社会にとっても大きな利益があります。

 

私たちがムスリムの子ども達に、学びにおける正しい目的を伝えることができますように。



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