慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において
続）ムスリムの子ども教育-31-番外編～Q&A
ハビーブ・アリー・ジェフリー師（アッラーのご加護あれ）TV番組「私たちの人生21」（36:05~43:53 https://bit.ly/2yK1KFI ）
@エジプトhttp://ourlife-alhabib.blogspot.com/2010/12/21.html
基本：子どもを持つことの「目的」を明確にすること、このことによって、今後お話する多くの子育てに関する事柄が変わって来ます。すでにお子さんが大きくなっている方も、今からでも、子育ての正しいニーヤ（意思）、「アッラーのご満足を求めて、子どもを育てます。」というニーヤ(意思)をしておきましょう。
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視聴者からの相談：「私は、２才と５才の女の子を持つ母親です。私は子ども達のしつけがとても心配です。特に父親が長期間家を空ける時には、父親の代わりをしなければ、と、子どもが私のことを怖がるほどきつく当たり、子どもを叩いてしまいます。そのことに後悔の念を抱きますが、自分でもどうしたらいいかわかりません。」
先生のご回答：
アルハムドゥリッラー、あなたが後悔の念を抱いていることに、感謝します。まだ分別のつかない２才と５才の子を、どうして叩くのでしょうか。その年齢は、軽くおしりをたたくなどのごく軽い体罰でも、まったく与えるべきではありません。
預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、子どもを叩いたことは一度もありませんでした。
アーイシャ様(アッラーのご満悦あれ)はおっしゃいました。
《アッラーの使徒は決して自らの手で誰も殴ったことはなかった。女性も召し使いも殴ったことはなかった。
ただ彼はアッラーの道のために戦った。》ムスリム伝承
また、父親の不在時に、父親の代わりに、と 特に子どもに対して厳しくなってしまう、とのことですが、父親の不在を埋めるためには、子どもに対し、より厳しくなるのではなく、より一層愛情深くなるべきです。特に、二人とも娘さんです。この年齢の子どもは、母親の大きな愛情をとても必要とします。しつけは、この大きな愛情の上になされるものです。そして、愛情を持ったしつけは、厳しいしつけよりもずっと効果的です。母親からの愛情・愛着をたっぷり浴びた子どもは、もし何か悪いことをしたら、自分への母親の愛情が減ってしまうかもしれない、母親をがっかりさせたり、悲しませたりするかもしれない、ということが、体罰よりも何よりも大きな罰に感じられるからです。それは、悪いことをしたら叩かれる、という体罰ベースのしつけよりも、ずっと効果的です。この年齢の子どもは、子どもの愛情欲求を受け止めて、教える、というしつけが必要です。
また、この年齢の子どもには、お話を沢山聞かせてあげましょう。子どもが憧れる対象、お手本にする人が必要です。預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のお話や、娘さんのファーティマ様(アッラーのご満悦あれ)、お孫さんのハサン様とフサイン様(お二人にアッラーのご満悦あれ)など、多くのサハーバ達のお話を通して、子どもの心の中に、すばらしいお手本を示しましょう。父親が不在であれば、その代わりを、すべてのムスリムの父親である預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)にしていただき、「これをしたら、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、あなたのことをとても好きになるわよ。」、「こんなことをすると、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)は、あなたにがっかりするんじゃないかしら。」等、イスラーム的に正しいことと間違っていることを、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を通して教えて行きましょう。それによって、父親が不在の時でも、預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)を子どもにとってのお手本として、父性を伝えて行くことで、娘さん達の中にある父親の不在の埋め合わせができるでしょう、インシャーアッラー。娘さん達とご両親に、アッラーのご加護がありますように。
視聴者からの相談：「息子が悪いことばかりします。お金を与えれば無駄なものを買い、与えなければ許可なくお金を持ち出します。友達と外出すれば、悪い仲間と悪いことばかりしています。家にいれば、兄弟に暴力を振るい、小さな子どものようなに手に負えません。コンピューターを与えると最悪で、ゲームをずっとしています。もちろん、子どもにはイスラームに従うことやアッラーの命令に従い禁止事項を避けることを教えていますが、まだ途中です。息子は本当に良いところがなく、泥棒で、嘘つきでどうしようもありません。どうすればこんな子を信頼できますか？またどうすれば、信頼できる子どもになりますか？今は、子どもをまったく信用していません。」
先生のご回答：
まずはお子さんが、お母さんがこういった自分の欠点ばかりを挙げ連ねるのをいつも聞かされていないことを願います。これが最も重要なことです。もし、子どもに対して、「お前は本当にダメな子だ。」、「お前には何も善いところがない。」、「泥棒！」、「嘘つき！」、「お前は失敗作だ。」、こういった否定的な言葉を浴びせかけていれば、実際、子どもはその言葉通りになります。「ダメな子だ」と言われれば、ダメな子になって行き、「泥棒！」と言われれば、泥棒になる性質を必ず持ちます。どんな性質であっても、子どもに対してそれを言うことで、子どもはその言葉から多くのことを吸収してしまいます。
もう一点、あなたが子どもに教えている、「イスラームに従うこと」の意味です。少し考えてみてください。小さい時から子どもの心に、正直でいること、信頼できる人になること、善行を好むこと、慈悲深くあること、などを教えていますか？こういった内面を育てることが、イスラーム教育の基礎です。私たちは、「イスラームに従う」と言うと、表面的なことだけに固執してしまう傾向があります。子どもがイスラームに従うという意味が、クルアーンを何ジュズ暗記したか、など表面的なことだけにならないよう注意すべきです。もちろん、クルアーンは偉大で、クルアーン暗記はアッラーの祝福がたくさんあります。アッラーが、私たちにクルアーンの暗記をお恵みくださいますように。しかし、それだけでは十分ではありません。
昔、サハーバ達(アッラーのご満悦あれ)は、クルアーンの暗記を10アーヤ（節）完了すると、それ以上は進まず一旦止まり、その10アーヤ（節）の意味をしっかり理解することに勤めていました。そして、それを理解すると、次に、その学んだことを必ず実行していました。これを繰り返していたのです。つまり、心を、クルアーンの光でいっぱいにすることが重要です。ただ文字を暗記するだけではなく。
子どものために、母親ができること
しかし、今、息子さんに起きてしまったことは、既に起きてしまったことです。その治療のために、できることをお伝えします、インシャーアッラー。
１．ドゥアー：まず最初にしていただきたいことは、ドゥアーです。母親が子どものためにするドゥアーは叶います。
２．自責の念を持つこと：息子さんがこうなってしまったことに対して、自己弁護せずに、素直に自分の非を認め、アッラーに対し、自責の念を持ってください。
３．アッラーへの信頼を持つこと： 心の中に、アッラーが必ず助けてくださる、という確信の光を持つことです。
４．子どもとの信頼関係を築くこと：息子さんともっと親しくなってください。今よりも、もっと息子さんを好きになり、今よりも、もっと信頼関係を深めてください。息子さんの中にある母親への愛情を思い起こさせるように、働きかけてください。息子さんがあなたのことを好きになれば、あなたを傷つけるような行動をしないよう努力するようになるからです。今のような状態になってしまったのは、息子さんが小さい時に、お母さんともっと一緒にいたかったのかもしれないし、お母さんの愛情を欲していたのかもしれません。今、そのことを責めるつもりはありませんが、ただ同じ間違いが、今から将来にかけても繰り返されてしまう可能性を認識してください。
まずは、息子さんの犯す間違いに対する怒りの感情を手放し、冷静になることです。そして、その間に、自分を責めることを始めて、そこから息子さんと話をしてみてください。息子さんの間違いに対し、怒りをぶつけることは、その間違いを治す手段にはなりません。もちろん時には、叱ることも必要でしょう。しかし、叱る時には必ず、自分がしつけのために叱っていることを認識していなければなりません。ただ怒りに任せてネガティブな言葉を言い散らすだけでは、何のしつけにもなりません。
概して、自分が怒っている時に、息子さんを正そうとすることには無理があります。息子さんに対して、感情的に怒っている時に、しつけをすることは不可能です。そんなことは絶対にできません。怒っている息子さんに対し、こちらも怒りをぶつけてしまうことは、問題解決の方法では全くありません。しつけをする時は、自分が怒っていないかどうか確認します。そして、息子さんがこうなってしまった原因は少なからず自分にもあることを認めて、アッラーにご援助を願いましょう。
私たちの子どもにアッラーのご加護がありますように。