ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ゴッホ ‐ ナショナル・ギャラリー(27)

2014年07月16日 |  ∟イギリスの美術館

 後期印象派を代表する画家は? と問われれば、まずこの画家を思い浮かべるのではないだろうか。
 オランダ出身で炎の人とも称されたフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)を。

 彼は、同じモチーフや構図で何枚も描いたことは知られており、「積みわら」「ルーアン大聖堂」「睡蓮」などの連作的作品を多く描いたモネ(1840-1926/フランス/印象派)と双璧と言ってもいいだろう。

 A_2また、日本の版画に魅せられ蒐集を始めていた彼は、池のある庭園を自宅に造ったモネと同じように、日本を牧歌的な理想の国と考え、日本的なるものを見つけたいと願っていたらしい。

 今回の「ひまわり ‐ 14本」も、何枚か描かれたうちの一枚。

 南仏プロヴァンスのアルルに工房を構えてすぐ、向日葵が萎れてしまうまでに全部で4点のカンヴァスを仕上げ、そのうち2点のみにサインをしたというゴッホ。

 それらは、遅れてアルルに来るゴーギャン(1848-1903/フランス/後期印象派・象徴主義)の寝室の壁に架けるに足りる作品だと判断したためとされていて、本作とミュンヘンのノイエ・ピナコテークが所蔵している。

 画家の人生の中で、特に重要な時代とされるアルル滞在時、その時期に手がけられた多くの作品の中でも、本作は最も傑出したもののひとつと評価されている。

 Bちなみに、ゴッホは1889年の1月に3点の全く等しい同一の複製、つまりレプリカを描いている。

 それらの絵は、フィラデルフィア美術館、アムステルダムのゴッホ美術館、そして日本の損保ジャパンが所蔵している。

 余談だが、3点の中で損保ジャパンの作品にはサインがなく、高額の落札とともに真贋が当時話題になった。

 ところで彼はなぜ斯くも多くの「ひまわり」を描いたのだろうか?

 向日葵は明るい南仏の太陽、ひいては、ユートピアの象徴であったとされているが、友人であったアルルの郵便配達夫の妻オーギュスティーヌ夫人の肖像画を同一構図で何点か描き、それらの両脇に配する翼画として「ひまわり」のオリジナルとレプリカを展示しようとする意図だったともされている。

 その友人の郵便配達夫も、「郵便配達夫ジョゼフ・ルーランの肖像」(オランダ・クレラー・ミュラー国立美術館蔵)など、4点描いている。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.835

 ※ ロンドン・ナショナル・ギャラリーの旅(26)へは(コチラ)から入れます。

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1 コメント

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ナショナル・ギャラリーの旅も、印象派に入り、こ... (旅人)
2014-07-16 07:50:12
ナショナル・ギャラリーの旅も、印象派に入り、これから、教科書に出てきたなじみのある絵が登場しそう。
ところで、「ひまわり」ですが、手が早くたくさん描いたことは知っていましたが、しおれるまでに4枚も描いていたとは、驚きです。
油が乾く間もなかったでしょうね、きっと。[E:foot]
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