ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ゴッホ美術館、を、ちょっとそれて

2018年03月10日 |  ∟ベネルクスの美術館

 ※ オランダ ‐ アムステルダム/ゴッホ美術館編(6)‐ ベネルクス美術館絵画名作選(27)

 ロンドン大学構成カレッジのひとつコートールド美術研究所。
 小さいギャラリーながらも秀作を収蔵、炎の画家と呼ばれたフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890/オランダ/後期印象派)の「耳を切った自画像」(1889年/60×49cm)もそのひとつ。

 ゴッホは、アルルでの制作活動を複数の画家に呼びかけたものの、応じてくれたのはゴーギャン(1848-1903/フランス/後期印象派・象徴主義)ただひとり。

 アトリエ兼生活場所である<黄色い家>で始まった制作活動は、あっけなくも二月で破綻する。
 ゴッホは対象を見ながら描いたのに対し、ゴーギャンは写実的表現を否定していたためだという。

 89年の12月、降誕祭を前にした夜だったという。
 芸術論で激論を交わすものの相容れず、家を出たゴーギャンを追う彼の手には剃刀があった。

 追いつくなり激情に駆られたゴッホ、剃刀で我が耳を切り落とし、娼婦ラシェルのもとへ届けるという悲劇を起してしまう。

 本作に話を戻そう、包帯が巻かれた顔は痛々しく見えるもののその表情や視線は、ゴーギャンとのあの激しい確執から解放された所為か、冷静で落ち着きを取り戻したかのようにも見える。

 しかし、懊悩は癒されることなく、本作を描いた翌年、自ら拳銃を撃ち37年の短すぎる生涯を閉じたゴッホ、耳切り事件はその序章であった。
 ちなみに、背後の壁に浮世絵が描かれてい、彼の日本の芸術に対する深い関心が窺える。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1530

 ※ 小編は、2014-11 に投稿した記事をリライト、再投稿したものです。


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