ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ターナー(2) ‐ ナショナル・ギャラリー(43)

2014年10月07日 |  ∟イギリスの美術館

 ナショナル・ギャラリーの旅も最終章。
 英国が誇るウィリアム・ターナー(1775-1851/ロマン主義)で、長かった旅の鞄を置くことにする。

 その掉尾を飾るのは、「雨、蒸気、速度 ‐ グレート・ウェスタン鉄道」。
 ロンドンに向かうグレート・ウェスタン鉄道の蒸気機関車が、降りしきる雨のなか蒸気を上げ、へッドライトを光らせ、テムズ川に架かるメイドンヘッド橋を疾駆する情景を描いている。

 Photo_2前方には不釣り合いに大きく野兎が描かれている。
 当時の諺で、野兎は動物の中で一番速く走るとされていたらしく、それを比喩として描き込むことによってスピード感を表現している。

 その野兎、このレースで勝利を収め、逃げ延びられるのか疑わしいものの飛び跳ねてい、はるか下方の川の上には雨中にも関わらずボートがあり、遠方では農夫が黙々と鋤を動かしている。

 彼は、「<解体のため錨泊地に向かう戦艦テメレール号>」で何ものにも終りがあり、それに代わる新しいものが来ることを示唆した。

 昔ながらの長閑な田園風景に登場したこれらの人物、擬人化された野兎は、轟音を響かせて進んでくる鉄の馬、産業革命という大波に抗う術(すべ)なく傍らに飛びのいて道を空けるのである。

 2_21_2トラファルガー広場は小春日和の陽光が燦々と降り注いでい、名画との出会い、その余韻を楽しみながら、ロンドン一番の繁華街ピカデリサーカスへと向かった。
 エロスの塔辺りは、この街には珍しい明るい陽射しに誘われて、歩くのもままならぬほどの人の波だった。

 翌日、霧の都ならぬ晴れっぱなしだったロンドンを離れユーロスターでドーバー海峡を渡り、花の都パリへと向かった。
 近く、ルーブル美術館で会える日を、カタリナ ともども楽しみにしている。

 連載を始めて9月余り、<ターナー展>(14/1/15)から44回にわたって投稿したナショナル・ギャラリーの旅、今回をもってひとまず終える。
 いつかまたロンドンの街角で、ひょっこり会える日があるやも知れない。多謝!

 このシリーズ、「ナショナル・ギャラリー・ガイド」(同館刊/エリカ・ラングミュア著/高橋裕子訳)を参考にした。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.876

 ※ ロンドン・ナショナル・ギャラリーの旅(42)へは(コチラ)から入れます。

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