ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

マネ ‐ コートールド美術研究所

2014年10月29日 |  ∟イギリスの美術館

 09年にナショナル・ギャラリーを再訪、名画を楽しんだ後、小春日和のロンドンの街を散策。
 ロンドン大学、正しくは同大学の構成カレッジのひとつコートールド美術研究所へ向かった。

 エントランスの写真(上)からでもお判り頂けると思うが、このコートールド美術研究所、大英博物館やナショナル・ギャラリーなど、メジャーなミュージアムと違って名前も余り知られてなく、展示室も僅か10室ほどの小さなギャラリーである。

 だA_3が、初期イタリアやバロック期以降印象派までの秀作を収蔵している。

 中でも知られているのが、印象派の先駆的画家エドゥアール・マネ(1832-1883 /フランス)が、死の前年に完成したとされる 「フォリー=ベルジェール劇場のバー」、最後のサロン出典作ともされている。

 本作に描かれるのは、当時、流行に敏感な人々がこぞって集った、パリで最も華やかな社交場のひとつフォリー=ベルジェール劇場のバーとシュゾンという若い女性をモデルにした給仕。

 Aシュゾンの背後には、鏡に映った劇場で繰り広げられる様々な情景が細かく描かれている。
 画面右部分で、口髭を蓄えた紳士と会話する女性は、シュゾン自身の鏡に映る後姿である。

 気付かれたと思うが、中央ではシュゾンを真正面から捉え描き、鏡に映る後姿は紳士と共に角度をつけて描かれている。
 実際にはあり得ないこの構図、発表当時は随分と辛辣な評価を受けたとされている。

 ものの、奥行きと広がりを感じさせる構図、精緻に描かれたカウンターの酒瓶、小さな花入れやオレンジが盛られたクリスタルグラス、そして、魅惑的乍らも物憂げな給仕シュゾン、それらが私たちを劇場のバーへと誘うのである。

 とまれ、この絵を観るために態々(わざわざ)しくもここを訪ねたふたりにとって、その価値は十分にあった。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.887

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