ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

だらだら ‐ 5月がゆく

2012年05月30日 | 季節/暦

 風薫り薔薇や菖蒲の花が咲き誇る。
 雑節のひとつ入梅を前に、一年で最も気持ちのいい月のひとつ皐月・5月。

 そんな季節とは裏腹に、“ 内閣の要である官房長官、自民のベテラン議員に「こんなに物を決めなくていいんでしょうか」とこぼし、そうこうするうちに小沢元代表が勿体顔でまた登場、堂々巡りにうんざり ”(朝日/天声人語)、決められない政治がだらだらと締まりなく続く。

1

 フクシマ以降1年以上もの時間がありながら、原発に替わる電力確保にだらだらと無為の時間を送ったことは棚に上げ、再稼動、再稼動と五月蝿いうえに、さもなくば計画停電と、恫喝紛いの業界。
 そんな中、“ 世界一の東京スカイツリー開業 ” と、新聞やTVが喧(かまびす)しく伝えた同じ日にこんな記事が。

 それは、先進国クラブとも呼ばれるOECD・経済協力開発機構が、各国の生活の豊かさを示す “ より良い暮らし指標 ” の最新版を公表したという。(読売)

 記事に拠れば、住居、仕事、教育など11項目の指標で豊かさを点数化したらしいのだが、“ OECD加盟国とロシア、ブラジルを対象とした36国中日本は21位。昨年の19位からやや順位を下げた ” という。

 さりとてペトロ、一向に豊かさの実感はないけれど、この記事を読んで、昨秋、ブータンの若き国王夫妻が新婚旅行を兼ねて来日、マスコミが大騒ぎしたことを思い出した。

2 26億という途方もない民が暮らすインドと中国。そのどでかい両国に挟まれた人口70万にも満たない小国ブータン。
 前国王が提唱したのが国民総生産に代る国民総幸福量、国勢調査で国民の約97%もが「幸せ」と感じているという。

 豊かさと幸福感、もとより同一視する訳ではないが、空の米櫃抱えて幸せもない、そこそこ豊かであってこそ、とひねくれモンは考えたりもする。
 ちなみに、農業国ブータン、最大の輸出商品はナンと電力。
 ヒマラヤの急峻を落ちる豊富な水を活かし発電、インドに売って外貨を得ているとか。幸せの素? を知って納得。

 話は戻って、評価をそれこそどのように評価するかは区々だろうけど、決められない政治も借金だけはだらだらと際限なく重ね、今やその額天文学的数値となったこの国、ほどほどに豊かですよと言われてもねえ。

 カタリナ が休みの日の昼下がり、「だらだらしていないで」と追い立てられ? カメラ片手に近くを散歩。
 で、懲りずに撮ったのがまたまた薔薇、「他に撮るものないの」とお嗤い召さるな!
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.474

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独りで行って迷子?

2012年05月28日 | 美術館 (国内)

 東京で「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想展」が開かれている。
 ルネッサンスの時代、画家は衣の襞を描く勉強をしたそうだが、その「衣紋の習作」や「ほつれ髪の女」(パルマ国立美術館蔵)が出展、特に、「ほつれ髪の女」は東京だけの展示だ。

 田ブルグ7で「レオナルド・ダ・ヴィンチ展 in シアター」を上映していると言う。
 ダ・ヴィンチが生涯に描いた絵画で現存する僅か15点のうち9点が集められた展覧会「Painter at the Court of Milan」、直訳すれば「ミラノの宮廷画家展」が、11年の秋から翌春までロンドンのナショナルギャラリーで開催、その模様が映画館のスクリーンで甦ると言うのである。

 A2_2A1_2京展では、「ミラノの宮廷画家展」のライブフイルムも上映されている。
 若い頃はとんぼ返りしてでも行ったものだが、近頃は無理が利かない。
 それで、ブルク7で上映されるのを機にペトロ を誘った。

 気になっていたのだが、当日朝になって体調が思わしくない。
 90分の上映時間に自信がなく、独りで行っといで言うと、「それじゃ」とさっさと行っちまった。

 時もペトロの後ろをくっついて歩いているだけなので、教わっていたのにブルク7の場所が分からない。
 何故か、阪急の裏側の道を隔てた建物と思い込み、大阪駅から阪急側に出てしまった。

 B2_2B1_2画館らしい建物が見当たらないので、振り返ると東宝シネマが見えた。
 エスカレーターで上階に昇り、多くの人でごった返しているロビーの案内板を見たが、ダ・ヴィンチなんてポスター、何処をどう探してもない。
 此処に来てようやく、ここはブルク7じゃないと気づいた。

 かけに「ブルク7って何処にあるの」と訊かれた、阪神の裏、新阪急ビルの隣と、えながら、少し早めに出た方がいいと送り出した
 その後、新阪急ビルと付け加えたのは拙かったかなとも思ったのだが・・・。

 宝シネマで、地図とともに「E‐MAビルの中」と詳しく教えて貰ったが、そこでペトロが「阪神百貨店」と言っていたことを思い出す迂闊さ。
 時計の針は11時10分、上映まで10分しかない。

 C2C1前の陸橋を走り抜け、E-MAビルのエスカレーターで7階まで駆け上がると上映の案内を始めている。
 慌てて自販機で券を購入、受付嬢に渡すと「10階へ」と言う。
 またまたエスカレーターを駆け上がって滑り込みセーフ。
 座席に腰を下ろし、もう独りでは映画になど行くものかと固く誓った?

 論、んなドタバタ劇は露も知らず、殆ど実物を観たくせに映画で観たって仕方あるまいに! 普通独りで行くかよ? と八つ当たり気味、彼女が出かけた後にだけど。

 画は、「岩窟の聖母」の修復記念として、5年の歳月をかけて準備したという美術展の記録だけにあって頷ける内容だった。
 れにしても疲れたなあ。

 末を疲れた顔で話すカタリナ に、大変だったなあと慰めながら、緩む顔を隠すのに苦労した。

 写真は、「Painter at the Court of Milan」に展示された絵画の一部、上段左から右へ順に、 「岩窟の聖母」(ナショナルギャラリー蔵)、「救世主キリスト」(個人蔵)、「若い音楽家の肖像」(ミラノ・アンブロジアーナ絵画館蔵)、「白貂を抱く貴婦人」(クラクフ・チャルトリスキ美術館蔵)、「聖ヒエロニムス」(ヴァチカン絵画館蔵)、「ダ・ヴィンチカルトン」(ナショナルギャラリー蔵)。何れも同展の公式HPから。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.473

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ピザと藁灰

2012年05月25日 | 宗幸雑記

 楽しかったピザ・パーテイーを今年も計画。
 昨年は薫風爽やかな一日だったのに、予定した日の天気予報は最悪。

 嬉しそうに「荒れるんだってね」とペトロ、反論のしようもないほどに予報は悉く雨、それも相当激しい?
 でも、晴れ女を自称して憚らぬ私、「パーテイーの間は晴れるもん」と強気です。

 そうなんです、お肌の大敵、初夏の厳しい日差しも雲に隠れる好天?楽しい一日が終わって片付け終了と同時に雨。
 われら “ 茶チーム・和の輪 ” そのパワーたるや恐るべし!と言うことで、前書きが長くなりましたが、美味しい香りとともにその模様をお届けします。

 相も変わらず下手な写真ですが、拡大(左クリック)しながらお楽しみ下さい。

 A1_2 A2_2 A3_2 A4 
  ルンルン、童心に返ってみんなでピザの生地作り

 今年は、ピザを焼きながら、隣の窯で部屋の消臭材になる炭作りに挑戦。
 空き缶に籾殻を敷き詰め、間に竹を割ったもの、柚子、橙、松ぼっくり、小判草などを並べ蓋に釘で穴を開けて焼く。
 釘穴から煙が出だすと焼き上がりで、その後、土に埋めて冷ますと出来上がり、と皆さんに教わり手伝う。

 B1_2 B2_2 B3_4 B4
  ♪ さあ、上手く焼けるかな? あっ、焦がしちゃ駄目よ!

 K さんが藁灰も作りたいと提案、F さんが納屋から藁束を出してくる。
 茶道では少し寒さを感じ始める10月、風炉釜を畳の中心に据えて、客に暖を感じて貰える中置点前をする。
 この時は、道具類も炉に移る前の名残となり、繕いのある茶碗を使ったり、古く欠けている鉄風炉(欠風炉=やつれぶろ)を使ったりする。

 

 C1_3 C2_2 C3_2 C4
  ♪ 炭作り、素材は竹、柚子、松ぼっくりでしょ、それを缶に入れて焼いて土に埋めて冷ますと出来上がり

 その折には、二文字押切の灰型の上に藁灰を敷き詰めるのだが、それは、鋏で寸法を揃えながら1本1本ピンセットで並べてゆく根気の要る作業だ。
 それ以外にも、冬場に使う手あぶりや火鉢の灰の上にも藁灰を敷く。
 黒い藁灰の真ん中に真っ赤に燃える炭火。これもまた絵になる風情なのだ。

 海水より辛い塩水に1時間ほど付けて乾かし焙烙に並べ、煙だしの隙間を作って蓋をし、1時間ほど掛けてゆっくり焼くのだが、今は缶の中に藁を入れて焼き、黒くなると水をかけている。

 D1_2 D2_2 D3_2
  ♪ 焼きあがった炭、上手く焼けたでしょ! ついで?に卵も美味しく焼き上がった

 K さんがネットで検索、“ 塩水につけて蒸し焼き ” で、出来るらしいと教えてくれた。
 稲藁の芯のしっかりした部分を缶の幅に切り、1缶は籾殻の中に埋め、1缶は塩水に付けた茎をアルミホイルに包み焼いた。
 この塩水に付けて焼いた缶の藁灰は、われながら惚れ惚れとする出来栄え。

 

 E1_2 E2_2 E3
  ♪ 欠風炉(やつれぶろ)と藁炭、出来上がった松ぼっくり、消臭効果は抜群?

 ピザ釜の炭は消臭材、焼けた籾殻は肥料になると皆さん分けて持ち帰り。
 身の周りにあるものを工夫して活かし、すべてを使い切る暮らし。
 先人の知恵も学んだピザパーテイー、ゴミを出さずに、勿論、雨も降らずに楽しく終えた。(
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.472

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序(つい)でに

2012年05月23日 | 人/仲間

 携帯メールの<絵文字>のことを書いた。
 その前後、Oさんに近況を伝えるメールを送ったところ、日をおかずその絵文字付きの返信が届いた。

 その中に、“ 最近、西国三十三箇所の巡礼に回っている ” とあり、“ 特に信仰心はないんやけど、何やかやと反省することも・・・” とも。
 どんな風の吹き回し?と思って読み進めると、“ 健康管理も含めてね ” とあり、ペトロ のことも “ ついでに祈っておく ” とあって苦笑い。

 笑い話Photoに紛らわしてはいるが、子供さんが就学中に部位は違うが罹ったと言うOさん、“ 成人するまではと生きることに必死だった ” と続けていた。
 勿論、その本心を窺い知ることはできないけれど、<再発>という言葉にナーバスになっているペトロ、この病がもたらすものの一端を改めて知らされた思い。

 そのOさん、“ 役目を終えて張り詰めていたものが切れたみたい。余分の人生、肩の力を抜いて自分の事も考えなと思ったら凄く楽になれたように思う ” と括っていた。

 そんな心境の変化が、三十三箇所巡りでもと思い立たせたのかな、と勝手読み。運動がてらの気分転換とさらっと受け止めればいい話なのだろけど・・・。

 話は変わっPhoto_2て、今回のことでいろんな方から励ましを頂いた。
 霊場巡りの折に、ついで、拘るなあ。に、祈って下さる方もあれば、伊勢神宮でお守りをという方もあって、何れの方にも感謝の他ない。
 R君とI君兄弟は、母方の実家近く、万葉集にも詠われ由緒あるという神社でお祓いを受けお札を授かって来てくれた。

 敬虔なとまで言うには聊か面映いがキリスト者のペトロ。
 だからと言って、他宗教だからとそのことを迷惑に思ったり、お札やお守りを断ったりすることはない。
 祈願とは、自分のため、また、誰かのために信じる神や仏に祈ること、その心を嬉しく頂く。

 そんなこんなで、ついでにしろ、西国三十三箇所の霊場で掌を合わせて貰える幸せを感謝している。
 尤も、その折のOさん、ペトロのことを失念していないことを、それこそ祈る思い?

 高槻のNaさんからの「紫蘭」と夙川公園の「黄菖蒲」、どちらも初夏の爽やかな薫りがする。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.471

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聖地遠望 ‐ オルセーの合間に(2)

2012年05月21日 | フランス

 朝食を終えて再びバスに。
 この頃になって小雨が落ちてくる生憎の空模様、それに、10月の下旬にしては寒い。

 並木が僅かに色づく小さな村を過ぎたかと思えば、見晴るかす緑の丘陵に放牧された牛や羊が長閑に草を食む姿が遠くに望め、農業国フランスの面目を躍如する景色が続く道をバスは走る。

 A1 A2_2

 昼も過ぎた頃、ようやく遠く車窓に蜃気楼のように浮かぶ姿が(上段左)。
 幸いなことに雲も流れ、青空から薄日が差すまでに天気も回復、パリから300km、「遠いところまで来たもんだ」と改めて思う。
 草原の向こう、旅行案内などでお馴染みのその姿(上段右)は、聖堂、僧院、はたまた要塞と、どの表現が当てはまるのか判らない。

 陸と島を結ぶ堤防の傍らの駐車場にバスは停車。
 そこから直ぐ、石組みの壁がそそり立ち、島全体が城砦(中段左)、このように表現するのが一番相応しく思えたの。が、まさにそこに聳えて在った。

 B1 B2

 ここはヨーロッパ最大の干満の差があったという。
 かつて満潮になると島への道が消えてしまい、人が近づくことを拒むかのように波にのまれた巡礼者も数多くあったとか。
 そんな厳しい自然であればこそ、修道の地に相応しいとしたのだろうか。
 今は大型バスも通行可能な堤防によって結ばれ、潮の満ち引きに関係なく訪れることができるようになり、巡礼者や観光客で溢れる。

 しかし、皮肉なことに近年は、その堤防のせいで砂が堆積、島の周りを海水で囲まれる(中段右)ことは稀となってしまったとも聞く。
 馬が駆けてくるような速さで海が島に押し寄せる激しい光景は、残念ながら滅多に見られなくなってしまったとか。

 駐車場から石造りの階段を登り最初に潜るのが、この城砦化されてしまった島唯一の前哨門、ラヴァンセ門。

 C1_2 C3 C2_2 

 この先トイレがないらしくここで暫く休憩。
 待つ間にカメラをカタリナ に向けていると、あのひとり旅の可愛い女の子、「シャッターを押しましょうか?」と声をかけてくれた(下段左)。

 さらに、ラヴァンセ門を抜けると、道の両側に土産物店や名物のオムレツを食させるレストラン、それにホテルなどが軒を連ね(下段中)、その先に王の門(下段右)がある。

 そこを過ぎると修道院までの大通り、グランド・リュー。
 大通りといってもこの参道?小路ほどの道幅しかなく、しかも曲がりくねり、そしてかなりの坂になっている。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.470

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聖地巡礼 ‐ オルセーの合間に(1)

2012年05月18日 | フランス

 キリスト教にとっての三大聖地とは?
 一般的には、<ローマ>(上段左)、<サンチャゴ・ディ・コンポステーラ>(上段中)、そして<エルサレム>(上段右)だろう。

 が、それらには及ばずとも、多くの信徒が心の拠り所とする聖なる地も数多ある。
 オルセー美術館の途中だがここらで少し気分転換、そのひとつモン・サン・ミッシェルの巡礼に出かける。

 A1 A2 A3

 朝まだき道を、バスツアーを催行するシティ・ラマ社へと急ぐ。
 ツアーの半数ほどが日本人でその殆どはカップルだが、独りで参加している若い女性もいる。
 カタリナ、このうちの一人の可愛い女の子と仲良くなり、親しく言葉を交わすことになるのだが、それはある程度時間が経ってからのこと。

 4時間ほどかけてノルマンディ地方はモン・サン・ミッシェル(中段)へ向かうこのバス、ガイドはフランス人二人。
 英語を担当する小柄な女性と日本語を受け持つ太った男性が交互に案内する。

 B1_3

 パリから2時間ほど経っただろうか、小さな町に着き小さなホテル(下段左)の食堂で朝食。
 バスに戻ってガイド氏にこの町の名前を訊ねたら「エギュレブ」と聞こえたのだが、巻き舌のフランス語が聞き取れず、どうもレギュレ・L.Aigleという町だったらしい。「何だか頼りないこと」と笑われてしまった。

 ちなみに、ノルマンディ地方とはフランス北西部の英仏海峡、イギリスでドーバー海峡、フランスではカレー海峡に沿って開けた地方で、セーヌ川の下流域にあたる肥沃な土地(下段中)を指す。

 C2 C3 C4

 ガイド氏は、「8世紀末に海を渡って侵入した北方のヴァイキングは、11世紀にかけてスカンディナビアやデンマークから海路ヨーロッパ各地に進出したノルマン人の別名で、略奪行為や征服だけでなく、植民、交易、建国など活動は多方面に及び、ノルマン人の一部ヴァイキングがこの地に移り住んでノルマンディ公国を建国したことにその歴史は始まる」と話す

 さらに、「ノルマンディ公は、フランス北部セーヌ川下流にある河港都市<ルーアン>(下段右)に首都を置き、13世紀にフランスに併合されるまでイギリスを征服するなど権力をほしいままにし、独自の文化を築いた」とも続けた。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.469

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絵文字

2012年05月16日 | 日記

 少々哀れっぽいかも、という自覚はある。
 今流行の多機能電話、約めてスマホとやらで最新のアプリを駆使している図ならともかく、携帯メールのこと、馬齢重ねた爺さんが、背中丸めて小さな文字盤をボツボツと操るその姿、吾ながら戴けない。

 勤務している頃の携帯は通話が専らでメールはパソコン(PC)、車中や町中で人目も憚らずピコピコとやることもなかった。
 職を離れてからは、PCに届くメールは業者からのメルマガが大半、知人らとのメールは携帯に取って代わった。

 Photo_4ところで、退職して直ぐの頃だったろうか、知人から届くメールに、笑顔や泣き顔などの絵文字、最初の頃は動かない?絵。が、貼り付いていて驚かされた。

 そのうちカタリナ からのメールにもその絵がくっついて届き始め、「なんて軽薄な、俺は絶対に使わんぞ」なんて息巻いていた。
 使い方が判らなかったこともあるのだけれど。

 そんなこともそのうちに、文字よりも時々の気持ちを上手く伝えている、と思うようにも。

 仕事を離れてからは文字ばかりのそれは堅苦しく、親しい人からのメールで上手く絵文字が使ってある時など、それこそ目は口ほど、それ以上に物を言うことを実感、思わずにやりとすることもある。

 そんな折、携帯三社が、それぞれ異なる携帯メールの絵文字のデザインを統一すると発表した。

 Photo_5auから動物の絵を送るとドコモでは星座のマークになったり、絵文字の顔の表情が変わったりする場合があるという。

 動く絵文字など一部は対象外となるが、デザインの違いでメールのニュアンスが伝わらないという利用者の不満が解消されそうだとも報じていた。

 今の時代、フェイスブックだのソーシャルゲームだの、爺さんには訳の分からんもンが横行? 高額料金を請求される者が続出、そのあがりでプロ野球の球団まで買う業者が。
 そんな練達?の人たちにすれば、動かない絵文字程度のことに何ほどの話題性があろうかということなのだろうけど・・・。

 ちなみに、小ブログも数は多くないが絵文字が使える。
 文章やハンドルネームに似合ったアイコンを貼り付けコメントするのも一興、お待ち申し上げます。

 今年も一人前に花をつけた「ミニバラ」、そしてカタリナに届いた「紫陽花」、チボリブルーと名がついていた。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.468

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日曜の夜

2012年05月14日 | 日記

 カタリナ は、「悪い方にばかりに考えなさんな」と窘(たしな)める。
 理性的にはその通りだと判っているが、いざ自分がその立場になればそうもいかないのが現実、と少しばかり苛立つ気持ちもある。

 二回目の手術を受けて約1月、4月の中旬、予定されていた外科外来に行った。
 血液検査もあって待たされること凡そ2時間、ようやく主治医からその後の経過を聞くことができた。

 Photo順調に経過しているらしくまずは一安心。
 正月明けから続いた一連の<お騒がせ>も、リハビリは別にして一応ピリオドを打てる。
 帰り道に、「久し振りにビールでも」と少しはしゃいだ気分。

 そんな浮かれた気持ちに水を差すように、「7月の中旬でいいかな」と主治医の冷静な声が被る。
 術後半年、節目の検査の日を告げられたのだが、この病気、ステージ1といえども油断はできないと我に返る。

 で、7月の中頃、腫瘍マーカや造影剤を使ってのCT撮影を二日間に亘ってやることになった。
 幸い? にして腸カメラは検査項目に入っていない。
 受けられた方はご存知だろうけど、大きなペットボトル一杯、2リットルのレモン味の下剤を2時間で呑み切らなければならないこの検査、不謹慎ながらビールなら簡単に飲めるのに、と恨めしくなるほどしんどい。

 Photo_2話しは逸れたが、若い女医さんから「放置すれば・・・」と直截に告げられても存外に平静だったのに、検査とは言え、「再発・・・」という言葉を聞いただけで少し気持ちが乱れ、冒頭のやり取りになったと言う訳。

 大型連休も終わったが、その最後の日、つまり6日の天声人語、“ <サザエさん症候群なる言葉を初めて耳にしたのは随分前だが、今でも使われているらしい。(中略)日曜の夜の人気アニメ、サザエさんの主題歌を聴くと翌日からの仕事を思って気分がふさぐ、という心理作用を言うそうだ ” とあった。

 “ 休みも終わりの日曜の夜に月曜の朝が忍び寄ってくるあの感覚 ” と続けて書く天声人語氏、少し落ち込んだあの日がまさにそんな気分で、「それにしても、上手く表現するなあ」と感服した。

 連休明けの月曜の昼前、閑散とした公園の片隅に「皐月」と「文目(あやめ)」、だと思う。が、咲いていた。
 文目の花言葉はいみじくも、「吉報、優しい心」だって。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.467

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腹式呼吸

2012年05月11日 | 日記

 もう一昔以上も前、教会の主日ミサ(日曜礼拝)で先唱(司会)の奉仕をしていた。
 入梅の頃から夏にかけて気温が上がり、250人ほどの人いきれとも相俟って御堂は蒸しむしする。

 人一倍汗っ掻きのペトロ、そんな日が大の苦手、足下に隠した小さな扇風機では追いつかない程の汗。
 見兼ねたカタリナ、お茶の稽古で多汗な方にも教えるらしく、「複式呼吸をすれば」とアドバイスをくれた。
 確かに、この呼吸法を何度か繰り返す内に汗が引いてくるから不思議。

 Photo_3心が冷静になる所為だと思うのだが、以来先唱の直前に腹式呼吸で気持ちを落ち着けたものだった。
 先唱を離れて久しくそんなことも忘れていたが、今回の入院で思い出させてくれる出来事があった。

 前に「<よっかとようか>」で、背中から脊髄に刺されている髪の毛ほどの痛み止めのチューブを千切ってしまったことを書いた。
 点滴のチューブに別の痛み止めの薬を加えて対処して貰ったが、薬が切れ30分ほどするとてき面に痛みが襲う。
 看護師さんに再度頼むんだが、一日に使える量が決まっているのか容れてくれず、代用に?「腹式呼吸をして」と涼しく言う。

  「そんなモンで痛みが引くんかいな?と少しムッとして訊くと、「横隔膜を大きく上下させると腹筋が緩んで意識が楽になる」と言う。
 そう言えば術前に貰った栞の訓練メニューに、深呼吸と腹式呼吸が載っていたことを思い出した。

 21自ら硬膜外麻酔のチューブを千切ってしまう失態。
 深夜の病床で独り健気?にも痛みに耐え、胸と臍下に夫々手を当て、鼻から深く息を吸い、口をすぼめてゆっくり吐く動作を繰り返していると、根が単純なのか痛みが薄らぐような気がして、その内にうとうととまどろみも。

 起立してするのがいいらしいが、今は、就寝前にベッドに横になりしている。

 意識を頭のてっぺん辺りに置き、ストーマに2月ばかり任せて少々緩くなったお尻(失礼)の括約筋、吸う息に合わせてきゅっと絞め、すう~、ふう~、を繰り返す毎日、「継続は力よ!とからかわれ、じゃなかった励まされながら。

 図書館への道すがら、黄色の花をわんさと咲かせた喬木を見かけた。
 カテリナが庭を掃除中の方から「木香薔薇」と名を聞いたが、この棘のない薔薇、なるほど微かにいい香りがする。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.466

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ルノワール / カイユボット ‐ オルセー美術館(11)

2012年05月09日 |  ∟フランスの美術館

 印象派の中でも特に名が知られた巨匠ピエール・オーギュスト・ルノワール(1841-1919/フランス)。
 時に女性的と直喩される流動的な筆勢、明瞭で多様な色彩、豊潤で官能的な裸婦の表現、揺らめく木漏れ日による人物や風景など、数多くの作品を描いたルノワール、二回目の登場である。

 肉感に溢れた女性を官能的に描く画家というイメージがあって、「<陽光の中の裸婦>を見るまでは余り好きになれなかった。
 そのルノワール、まずは、前稿モネの 「ひなげし」との関連性が指摘される 「草原の坂道‐夏の田舎道」から。

  A1 A2

  ルノワールの 「草原の坂道」(左)
 圧倒的に人物画が多い彼の制作活動の中で数少ない風景画のひとつとしても知られている

 ひなげしの赤が空の青と鮮明な対比をみせるモネの 「ひなげし」(右)とは対照的に、日傘とともに用いられた赤が、黄色味を帯びた画面の中で効果を発揮している。

 そして、彼の印象主義時代に描かれた作品の中で、最も世に知られる傑作のひとつ 「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」。

 この作品(左)に描かれるのはパリのモンマルトルの丘の、かつて粉挽き小屋であった庶民的な酒場・ギャレットでダンスなどに興じる人々(集団)を対象に、喧騒なカフェや木漏れ日の庭で愉快に踊り会話する情景を活写している。

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  傑作 「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」(左)
 そして彼の 「舟遊びをする人々の昼食」(右/ワシントンDC・フィリップスコレクション蔵)

 セーヌ河畔、<ラ・グルヌイエール>のレストランのテラスを舞台に、舟遊びに興 じる人々(集団)を描いた 「舟遊びをする人々の昼食」は、彼が印象主義時代との決別を告げた作品としても知られている。

 また、「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」とほぼ同時期に 「ぶらんこ」を描いている。
 これらの絵は、
絵の収集家としても知られる印象派の画家ギュスターヴ・カイユボット(1848-1894 / フランス)が所有していたとされている。

   C2 

  ルノワールの 「ぶらんこ」(左)
 当時彼が借りていたコルトー街の家の大きな庭園で過ごす人々の一場面を切り取っている
 
カイユボットの 「床の鉋かけ」(右)
 資産家で収集家だった彼が、画家として高い評価を受けた作品とされている

 ブルジョワ階級出身で生涯裕福であったカイユボットは、収集家としてもよく知られており、モネ、ルノワール、ピサロ、シスレー、セザンヌなどの絵を購入、経済的に支えたという。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.465

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