ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

国際大学長北岡氏の講演

2015-03-31 12:54:04 | 徒然の記

 赤い花なら 曼珠沙華
 オランダ屋敷に雨が降る

 ネットを見ていたら、こんな歌に遭遇した。昭和13年の歌というのだから、女性歌手の名前も、顔も知らない訳だ。知らないけれど、無性に懐かしく、切ない思いがした。説明書きによると、満州から引き揚げる人々が口ずさんでいた歌だと言う。

 復員輸送船「萩の船」の歌のように、誰に教わった訳でなく、周囲の大人たちの歌っていたものが、幼い心に刻まれた・・・と、そうなのかも知れない。

 ソ連との国境にある、ハイラルから日本まで、ソ連兵たちに目を付けられないよう、顔に泥を塗り、男のように頭髪を短く切り、母は、私を背に負って引き揚げて来た。どうせ自分たちは生きて帰れないのだと、子どもを欲しがる現地人(母は満人と言った)に、自分の子を渡している人が沢山いたと、母に聞いた。

 そうした子どもたちが、いわゆる「中国残留孤児」だ。今では報道も無くなったが、ひと頃は、テレビでも新聞でも、親捜しの番組が世間を賑わせていた。

 父がシベリアから復員して来たのは、私が4才のときだった。
戦争の恐ろしさや悲惨さは、何も知らないが、それでもあの貧しかった戦後を、懸命に生きていた両親や、周囲の大人たちの姿が、おぼろな記憶に残っている。この歌の哀愁を帯びたメロディーは、そっくり当時の情景と重なる。

 「長崎物語」という題名の歌だと、本日初めて知った。

 しっとり、心に響く歌を歌うこの人は、とっくに亡くなっているような気がする。
父も既に世を去り、94才の母が、いつまで生きていてくれることか・・、そんなことを考えていたら、70過ぎの自分だって、どこまで生きられるのか、命の儚さが妙に、胸に迫る。

 戦争そのものは知らないが、私の中には「日本の戦後」が息づいている。
あと何年かしたら、この世とおさらばするのだから、あとは野となれ山となれで、良いはずなのに、考えずにおれないのは、廃墟から立ち上がった日本が、大切なものとして生きているからだ。

 子や孫たちが生きて行く国と思えば、なんで打ち捨てておけよう。

 さてそこで、北岡学長殿へお聞きしたい。
前置きが長くなったけれど、本題はここからだ。3月10日の千葉日報に、氏の記事が載っていた。言うまでもなく、氏は安倍総理の「戦後70年の談話」を検討する、有識者懇談会の座長でもある。

 「安倍首相に、" 日本は侵略した" とぜひ言わせたい。」「日本が侵略戦争をして、とてもひどいことをしたのは、明らかだ。」
氏が講演の中で、こう述べている。

 ネットで調べてみたら、氏の専門は政治・外交史だった。東大法学部教授から、国連の日本次席大使となり、小泉・安倍・福田・鳩山という歴代総理の、外交問題の私的諮問会議の委員をしたり、座長をしたり、とても華やかな経歴の持ち主だった。

 昭和51年の大学院卒業時に、「日本陸軍と大陸政策」という論文を書き、これで博士号を取得したということだから、自分なりの信念で語っているのだろう。

 そんな氏へ、愚鈍な一国民として、私は素朴な質問がしたい。
「政権の中枢の場所に居ながら、貴方はなぜ、総理にそんなことを言わせたいのですか。」「村山氏が謝罪し、細川氏が反省しているのに、」「これでも誠意が無いと、中国に言わせるのは、いったい何が足りないのですか。」

 「ここでさらに、安倍総理が反省して、いったい何が変わるのですか。」「中国の難癖には、反論しないのですか。」

 「植民地獲得に邁進した、欧米列強のやったことは、侵略ではなかったのですか。」「200年にも300年にもわたる、侵略について、欧米の列強が、一度でも謝りましたか。」

 「それなのに、なぜ日本だけに、反省させたいのですか。」「国際政治学者だというのに、貴方はどうして、日本のことだけしか言及しないのですか。」

 激怒する中国人みたいな詰問でなく、この切ない歌を聴いた気持ちの延長で、心静かに問うてみたい。

 昭和51年に書いたという、氏の論文を知らないが、その頃には、マッカーサーの議会での証言が、まだなされていなかったのだろう。だとすれば、「資源の無い日本は、侵略のため戦争をしたのでなく、自衛のために戦争した。」という、彼の言葉を無視したままで良いのだろうか。

 あるいは、米英ソ中が一つになり、日本を戦争へ追い込んで行ったと、新しい事実が出て来ていても、貴方の意見には影響が無いのかと、聞きたいことが山ほどある。

 他国に心を売り渡した者の言葉は、聞く耳を持たない私だが、日本礼賛一筋ではない。「日本の過去の事実」が、知りたいだけの人間だ。何より大切な日本でも、正しくないことは認めず、間違っているのなら考えを訂正したい。(他人にはどう見えているか知らないが、自分では、そういう人間だと思っている。)

 私が惹かされているのは、「日本は普通の国を目指すべし」、という氏の意見だ。国際平和への積極的貢献を言い、日本が再浮上するためには、「グローバルプレイヤーとしての国際挑戦である。」という主張だ。

 疑問が残るとしても、そこには、私の思いに重なる部分がある。

 興味深いのは、「中国が重視しているのは、謝罪や反省でなく、歴史をゆがめないかどうかということだ。」「謝罪が中心にあるという、マスコミの伝え方に違和感がある。」という氏の意見だ。

 「70年談話」がどんなものになるのか、期待したくもなる。

 「安倍総理は、グッド・アベと、バッド・アベの時がある。」と、米政府の中で、総理の二面性に戸惑う声が、囁かれているというが、私の中では、「北岡氏の二面性」に戸惑う心がある。

 「憲法改正などしなくても、解釈の変更で、自衛隊は、東アジアでも西アジアでも、地球の裏側にだって行ける。」と、頼もしいというのか、乱暴というのか。先日読んだ小沢氏の著作を思い出させる意見なので、どうしても信頼の気持ちが生まれない。

 こうして氏の言動を検討して見ると、似たような人物として、竹中平蔵氏が思い浮かぶ。自信に満ち、どんな質問にでも即答し、常に自己主張する学者、というより政治家・・。安倍総理は、なぜかこんな人間をブレーンとして重用する。共通項は、「アメリカナイズされた、思考方式の学者」であるということだ。

 ここまでくると、もう私手にはおえない、現実政治の領分となる。
今の自民党で、正面から憲法に取り組む政治家は、安倍氏以外にいない。戦後の東大は、左翼学者の巣窟みたいなもので、そこで取った博士号など、信頼できるのだろうか。曇りガラスの眼鏡をかけ、日本の歴史を修正した総長、や教授たちが沢山いたではないか。

 長い時間をかけて綴ったが、最後には悪口だらけで、このブログこそが、まさに「みみずの戯言」だ。ここでもう一度「長崎物語」を聴き、今日のバソコンは終わりだ。

 明日から当分雨になるという予報だから、庭で草むしりでもするとしよう。鵺のような北岡学長殿とも、さようならだ。

コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 統一地方選挙 | トップ | 独立外交官 »

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
長崎物語 (憂国の士)
2015-04-02 22:02:40
>赤い花なら 曼珠沙華 オランダ屋敷に雨が降る
私も幼い頃に聴いて育ちましたよ。

国際大学北岡学長、「ブル-タス お前もか ?」

学歴優秀、頭の良い人は、思い込みが激しくて頑なですね、

なまじか人より優秀と勘違いしているから始末が悪い、

「ああ! そうかね、間違っているかね ?」 これが出来ない、

「北岡先生、あんたもかい・・・?」

馬鹿を忘れて、打ち捨てて、 ・・・  

♪ 赤い花なら 曼珠沙華 オランダ屋敷に雨が降る
返信する
曼珠沙華の歌 (onecat01)
2015-04-03 08:01:39
 この歌は、故郷を恋うる唄なんですねえ。

 ジャガタラお春が、日本恋しやと文を書いた・・・、そんな話が土台にあってこの歌が生まれたのだと、

 歌詞を追いながら理解致しました。だから、引揚者たちが歌ったんですね。
満州の地を逃げ惑いながら、「日本に帰りたい」と、切ない思いで歌ったのでしようね。

 だから私は来月、久しぶりに母の顔を見るため、九州へ帰ります。毎週電話はするのですが、そんなことでは済まないと、

 曼珠沙華の歌が教えてくれました。

 北岡氏のような優秀な人には、こんな切なるふる里、日本への庶民の思いは、きっと理解できないのでしょうね。

 多忙の中のコメントに、感謝します。
返信する
かあさんの歌 (憂国の士)
2015-04-03 09:24:43
♪かあさんは 夜なべをして

手ぶくろ 編(あ)んでくれた

こがらし吹いちゃ つめたかろうて

せっせと編んだだよ

故郷(ふるさと)のたよりはとどく

いろりのにおいがした

・・・・・・・・・・

九州のお母さん 喜ばれるでしょうね、

私は、天国の母に そっと唄います。

返信する
懐かしい歌 (onecat01)
2015-04-03 14:18:21
 「ともしび」という歌もありましたね。

 < ともしび近く衣縫う母は・・・、
  そんな歌も思い出します。

 「お前が帰って来たら、言うて聴かせることが沢山ある。」
 「待っとるからね。」

 電話の度に母はそう言い、10年くらい過ぎました。

 いざ会うと、話は何も無く、台所のテーブルで、お茶を飲んで一日が終わるのです。

 今でも自分のことは自分でする、気丈な母で、惚けている訳でもありません。

 いつもそんなことを思い続けているから、何気なく言うのだろうと、今では受け入れています。

 私にしましても、離れて暮らす息子を懐かしみますが、いざ顔を合わせると、話ことも無く過ごしてしまいます。

 貴方の母上は天国ですが、私の母はこの世ですから、その分だけ有り難いと思います。

 「いつ死んでもええけど、憎まれっ子世にはばかる、て言うから、まだ死なれんのかねえ。」

 そんなことを言う、面白い母でもあります。
返信する
母のこと (onecat01)
2015-04-03 14:32:29
 長いコメントを綴ったのに、送信しましたら、最初の一行だけになっていました。

 こんなことは、初めてです。
不思議でなりません。

< ともしび近く、衣縫う母は・・・・・。

 そんな歌でした。昔の母親は、誰しも夜中に繕い物をしていましたね。ズボンやシャツや靴下や、夜遅くまで家族ために繕い、

 それでも朝は一番に起きてと、働き者でした。

 戦後強くなった者は、靴下と女房と言われますが、まったく、時代は変わりました。

 「いつ死んでもええけど、憎まれっ子世にはばかる、て言うから、まだ死なせてもらえんらしい。」

 そんなことを言う、面白い母でもあります。貴方の母上と違って、元気で世にはばかっておりますから、

 5月には、お茶でも飲みながら、思い出話に花を咲かせて参ります。

 (今度は、コメントが切れませんように)
返信する
お母様 (^_^)v (ニャンコ姫 LOVE-GREEN )
2015-04-08 10:20:17
ご機嫌よう ★(^_^)v
みみずのおじ様


ご機嫌よう (^_^)v
憂国の士 様




おはよう存じます


えみ だよ~~~~ぅん (⌒~⌒)




男性の方には、お母様の存在は

ある時には 友達

ある時には 母親を上回って 父になり

ある時には 最愛の恋人になり

大切な かけがえのない お母様




わたくしの親愛なる 大切な お二人のブログ友達へ

この歌を 音痴ながらに 歌いたいな





♪ 四季の歌 ♪


◆ 作詞・作曲 …… 荒木 とよひさ

◆ 編曲 …… 青木 望



春を愛する人は 心 清き人

すみれの花のような

ぼくの友達



夏を愛する人は 心 強き人

岩をくだく波のような

ぼくの父親



秋を愛する人は 心 深き人

愛を語る ハイネのような

ぼくの恋人



冬を愛する人は 心 広い人

根雪をとかす大地のような

ぼくの母親







だんだん、えみ中毒になってるよ
みみずのおじ様 と 九州のお母様 へ


憂国の士の とっても やちゃちい おじ様 と 天国在住のお母様 へ


歌いたい 四季の歌です 。



いつも ありがとう存じま(^・^)Chu♪ (^・^)Chu♪


お二人に




返信する
四季の歌 (onecat01)
2015-04-08 20:35:13
ニャンコ姫さん。

 四季の歌のプレゼントをありがとう。
文字で送られて来ても、ちゃんと私には曲が聞こえました。

 音痴ではありませんが、歌が下手なので、自分では歌いません。しかし上手な人の歌を聞くのは、好きです。

 会社勤務の頃、カラオケにつき合いましたが、うまい人の歌には、いつも聞き惚れました。

 四季の歌も大好きな歌の一つです。
心の美しい、まっすぐな人が好きな歌だと言われています。

 ニャンコ姫さんも、憂国さんも、きっといい人だと思いますよ。
この歌が好きなのだから・・・・。

 (憂国さんには、聞かなくてもそうだと分かります。あの人がこの歌を好きでないなどとは、私にはどうしたって考えられません。)
返信する
拝啓 芹洋子様 (憂国の士)
2015-04-08 22:53:27
えみちゃん、しばらく見なかったけど何処に行っていたの ?

おじさんは、あなたのお兄様の里へ時々遊びに行っておりました、

時には懇々と、また時にはベランメ-調で悪を切る兄ちゃんにしびれっぱなし (笑い)

久しぶりに、みみずのおじ様のところで逢いましたね、

♪ 四季の歌 といえば 私には 芹洋子さん

美しき日本の歌 歌詞の清らかさとメロディ-のぬくもり

何で嫌いになれようか、日本人のふるさとが見えてきます、

それにしても、みみずさんとは息が合いますね、えみちゃんの香料が

更にふたりを引きつけてやみません。

土佐のお兄ちゃん、瞼の向こうの貴公子、陰ながら声援を送っています、

日本は混沌として、憂国の周囲も戦いの火蓋があがりました、

男は、負ける喧嘩もせにゃならぬ、だが負けたら駄目!?

ちょっぴり素顔を見せまする、   「押忍」
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

徒然の記」カテゴリの最新記事