安倍晋三はこの選挙を、「国難」選挙と名付けた。国難は何なのかは問われるて、北朝鮮問題だと記者クラブでの「党首討論会」で述べた。
安倍晋三の街頭演説が困難になっている。「お前が国難だ」「アベ退陣」などとプラカードを抱えた人たちのヤジなどで、どこの会場も騒然としている。仕方なく街頭演説の事前発表をしなくなった。あちこちの予定されていた会場では、ネクタイ姿の職員が中止になったと、紙を掲げて深く頭を上げる姿がネットで流れている。自分がヤジを飛ばすのは好きだが、飛ばされるのは大嫌いなのである。
安倍晋三は党首討論会では、森友・加計学園の問題では何も答えることができない。あの男は逮捕されたとか、腹心の友の加計氏とは仕事の話をしないだとか、疑惑には全く答えようとしない。できない。話をすり替える。やむなく、アンケートでは79%の人が、首相は十分な説明をしていないと答えていると、問い質しても正面から答えることができていないのである。
籠池氏の逮捕は補助金の不正受給であり、しかもそれは返済されている。森友学園問題の実質的な首謀者の、安倍昭恵には何ら行政権もないことを良いことに知らぬ半兵衛を決め込んでいる。
この会見で最も驚かされたのは、アベノミクスの金融緩和でこの不況を乗り切っている。もしアベノミクスがなければ日本は窮地に追い込まれていたと、自賛したことである。金融緩和策は、アベノミクスと称した経済政策の入り口に過ぎない。多分誰がこの次期政権を握っていても、金融緩和をやったであろう。それはアベノミクスとは関係ないことである。
アベノミクスの失態、破たんはその後のことにある。補助事業などを通じてジャブジャブ支持団体に金を垂れ流したが、一向に税収は上がらない。格差が拡大し国民の消費動向は冷え込むばかりである。
第三の矢の規制緩和は、結局は大企業や海外参入組を利するばかりである。私の知る農業を例に挙げれば、種子法の廃止、それに来年あたりやってくるであろう、市場法の廃止で大企業の参入を容易にするばかりとなる。農業の地域性や食料の安定供給などまったく考えない、市場原理だけを優先することになるのである。地域は疲弊し農業は経済力学の下敷きになっている。アベノミクスの破たんを実感する人たちは、地方に集中している。
都会では企業収入を優先する規制緩和による非正規雇用の増大で、この制度を作った竹中平蔵たちの企業が私腹を肥やすのである。兵器の製造研究輸出を奨励し、直前に軍需産業の株を夫に買わせ大儲けする稲田朋美防衛大臣のような人物を閣内に抱えるのである。加計学園を友人に作らせ、通常価格の倍の建設費で安倍晋三の盟友の逢沢一郎議員の、自らも役員を務める親族企業が請け負うのである。安倍取り巻きの政治家が私腹を肥やす、これがアベノミクスのもう一つの実態である。
財政再建も、アベノミクスとは無関係である。国家予算の三割もの負債を毎年毎年、未来の子供たちに残し続けるのである。
まさしく安倍晋三の存在が国難なのである。