そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

食料の自給率の向上はどうするの?

2015-04-06 | 農業と食
日本の食料自給率(カロリーベース)では、先進国最低の39%である。61%はどこかの国(主にアメリカであるが)頼っていることになる。ここまで低くなれば、、もうそれでも良いのでないかとい論議や主張が公然と登場もする。
しかしその一方で、内閣府の2014年の世論調査では「将来の食料供給に不安を感じている」と回答した人たちが、83%にもいる。多くの国民は、食料の自給能力や海外への依存に対して、漠然とした不安を抱いているのでは二課と思われる。

そうした不安の根底にあるのが、農民年齢の高齢化である。農民の高齢化は、取りも直さず農政の怠慢である。その典型が、民主党政権が打ち出した、所得補償政策の段階的な撤廃である。
民主党政権は、自給率を45~50%にすると具体的な数字を打ち出していた。自民党政権に戻ると、所得を倍増するとか、6次化を図るとか、輸出を進めるという、いわば農産物の生産とは無関係の政策を打ち出した。それでも農家所得が上がるのなら良いが、現実にはコメ農家は所得半減以下である。このことは先日も書いた
その一方で、TPP参入に前のめりになり情報すら出してこない。それでいて、地域創生などと全く矛盾する政策を打ち出してくる。
アベノミクスにちょいと乗せられている農業政策であるが、農業の大型化と流通への参入(6次産業化という)だけといって良い。大型化は、結局は周辺産業が潤うばかりであって、農業収入は増えるが経費に圧迫され、農家所得が増えるわけではない。ましてや農産物の生産量の増加など望めるべくもないのが現実である。
6次産業化と称して、生産農家(1次産業)が流通(2次産業)と販売(3次産業)を足して、6次産業というのであるが、結局は兼業農家と何ら変わらない現実になる。これまで自民党政権は、兼業農家の票は欲しいが、小農家としては切り捨てるいい加減な政策を行ってきた。
農業の多面的機能も論議しただけで、食糧安保はもう一つの安全保障などと持ち上げ手はみたものの、効率優先経や済効果を前面に出すアベノミクスと矛盾する内容である。こうした政策の揺れが、TPP参入への不安も重なって、若者が出ていく現実になっていると言えるのである。

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