そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

農村が自民党を支える公共事業のお零れを待つ構造

2016-05-02 | 格差社会
先日ちょっとした飲み会があった。面識はあったがほとんど言葉を交わしたことのない、定年退職者が私の前に座った。彼は62歳まで土建業の事務職の要職にあった。公共事業の受け皿で生きてきた人物である。もういいと、収入は人並み以上にあったようであるが、うんざりしたと飲むにつけ話が進んでいく。
公共事業が1億円超えると、大体が500万円単位の札束を贈っていたというのである。政治家もお役人も誰も断った人物はいない。封筒の中を見多人物はいるが勘定した人物はいなかった、というのである。もうこんなことやってられないと退職し、今は家には電話もない。奥さんの携帯があるだけだというのである。彼が言うには、政治家も官僚も土建屋も狂っている。自分がそうだったというのである。時折言葉を震わせながら喋る、世間と隔絶した彼に日本の縮図を見た気がする。

僻地、田舎は一次産業が主体になることが健全な地方の姿を作る。この男の述懐と、衆議院北海道五区の補選を見てそう思った。五区は北海道知事を務めた、町村金吾の牙城である。農地解放されなかった(牧草地は農地とGHQは判断しなかった)地主は、広大な農地で巨大な牧場を作り、北海酪農の先鞭となったのである。息子や孫たちも地元で町村ブランドを披歴する、ここは城下町である。
野党共闘の候補は、奇跡的な善戦をしたが敗北した。ところがここには自衛隊の基地があり、結局は千歳と恵庭で動員された人たちの数だけ勝ったという結果である。
この選挙で注目したいのが、純農村の新篠津村である。町村の娘婿が1306票、野党共闘の池田まきさんが660票である。ダブルスコアー以上である。TPPで裏切られ、やがて廃村になろうかという勢いで離農が進行する農政を進めてきた自民党に、村を挙げて支持するのである。
農業予算は農民が減少する中減ってはいない。ところが農業予算は、農民には落ちることがないようになっている。農家を支援するために、道路を作る、河川改修する、灌漑事業をする、目的不明の近代的な構造物を建築する等々である。いずれも土建屋さんが大喜びする事業ばかりである。当地の農家の庭先はほとんど舗装されているし、見事な看板が立っている。いずれも国の補助事業である。
今ではどんな小さな村に行っても、必ず土建屋さんがある。かれらに仕事(公共事業)を持ってくるのは政治家である。政治家に金の出し方を教えるのは官僚である。彼らに力をつける(金と票)のが土建屋である。
彼らの財源は税金である。その税金のもとになる国家はそのため、1044兆円という天文学的な金額の負債を、いまだに営々と増やす政治を続けているのである。
農村は歪になって健全な農業が育っていない。なのに農民はいまだに、騙されても放り出されても、自民党へと投票するのである。その根源には金でお互いを支えあう構図がいまだにしっかりと存在するのである。


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1 コメント

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Unknown (タンケ)
2016-05-03 09:25:39
日本はその政治意識などは別としても庶民には様々な分野で活躍する優秀な人が多い。だが、指導者権力者らは自らの金利権のために立場を利用する不届きで無能低劣卑劣卑怯な者があまりに多い。政治権力は3流未満どころか低レベル過ぎて話にならない。現在の日本の凋落や混沌も、結局は自らの欲得しか思わぬ不誠実で理念も誠実さも指導力もない権力者らや、そんな権力者らを甘やかし続ける一部有権者らゆえの結果ではないのか。この構造と現実はかつての戦争時代(或いはそれ以前)から何ら変わってない。

逆に、例えば欧州プレミアサッカーリーグで日本人選手が華々しく活躍しているのを知ると、この「民と権力や官」の質の違いや落差に愕然とさせられる。権力が「税」という名目で庶民の辛苦や血汗涙の結晶を吸い取り、そのお零れ頂戴で生き延びたり繁栄するという方式が続く限り、日本はいつまでも病み歪んだ国のまま、けっして本当の民主国の完成見ることなく、いつか滅びさえするのではなかろうか。
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