そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

テロを暴力的に抑え込むことは道を遠くするだけである

2017-05-23 | テロ

今日もイギリスで自爆テロが起きた。どこの誰がやったかは今のところ解らないが、命を賭してまでやる理由が実行犯にもあることを理解しなければ、こうしたテロはなくならない。被害者の側に立ちテロを憎むことは当然であるが、実行犯は多くの場合年端のいかない若者が多いことや被害者としての過去を持つ場合が多いことも考えなければならない。
そう思わせるのは、昨夜のNHKBS深夜番組、世界のドキュメンタリー「アレッポ 最後の男」という番組である。写真は番組を撮ったものである。製作はデンマークのラーンフィルム社の今年の作品である。
番組は「シリア民間防衛隊」通称ホワイトヘルメットと言われる一般市民たちが、空爆などの被害にあった人たちを救うボランティアとしての活躍を追った番組である。ほとんどの隊員は、戦争以前は店員だったり電気技術者だったりする人たちである。その中の、ハレドという男を密着取材したものである。最初の写真はハレドが娘と空爆する飛行機を不安そうに見上げる写真である。2011年にアサド大統領は反政府団体をテロリストと攻撃してきたがその後は、アレッポに住む者は全てテロリストと断定して、2015年からはロシアの空爆も始まった。
2枚目はホワイトヘルメットの人たちが、空爆のがれきの中から子供を救出するところである。3人の兄弟のうち最初に救出された子供はすでに死亡していた。救出された長兄は血にまみれたままで、茫然自失状態である。

こうした子供たちが、アレッポを鎮圧したアサド政権やロシアを尊敬することなど決してない。彼らが、また彼らの家族に残るのは、アサドやロシアに対する恨みしかないだろう。
アレッポは10数年前に訪れた,とても綺麗な古都である。夜になると多くの人たちは街頭に立ち、長々と話をしている。物売りも本気で販売しているのかと思われるほど、暢気でおしゃべりである。女性は例外なく美しく、大きな瞳と黒髪が印象的であった。以前もこのことは書いたが、あんなに優しい眼差しの人たちがテロリストになるとはとても思えない。よほどの理由がない限り彼らが銃を持つとは思えない。中東では珍しく街並みが整って美しい市街も廃墟となってしまった。
この番組のホワイトヘルメットの人たちは、誰一人として銃を手にはしていない。番組で密着していたハルドは空爆でがれきの下になり死亡した。シリアでは、1350万人が何ら援助を待っており、25万人が封鎖状態にあるという。アメリカのペンス副大統領が、「武力が平和を作り出す」との言葉とは裏腹に、武力が新たな憎しみとテロの温床を作り出しているといえる。
日本もこれに同じるように、力で抑え込めば解決できるとする、共謀罪が可決されようとしている。
コメント (1)
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