こだわり米専門店スズノブ 西島 豊造(五ツ星お米マイスター)の豊かに造ろう

様々な現実を見つめらがらも、日々を前向きに考えて進んでゆくためのブログです

答えはでないけど

2017年12月12日 17時15分27秒 | Weblog


これからの時代は、個人生産者が、生産から販売までを全てやる時代が当然となるのか、自分が言い続けている、行政と生産者と地域が一体となって地域ブランドとして生き残っていく時代が当然となるのか。
それについては誰も判らない。
ただ漠然とではあるが、今のままので、これからの時代を進んで行くという事は、絶対にあり得ないだろうという事は、見えているような気がする。

TPPが動いてしまえば、産地が推し進めている、量ばかりを考えて栽培されている「業務用米」という存在は、全く価値が無くなってしまうだろうと思う。
既に消費地では、価格が高騰しているうえに年間供給も出来ない国内産の業務用米に、見切りをつけ始めているし、過去にあった外米騒ぎの時とは違い、海外経験が豊富な若者が、外国産米を否定する理由は無い。
さらに、その外国産米がオーガニック栽培米で、それも品種が日本のコシヒカリ・あききたこまち・ひとめぼれで合ったとしたら、完全に拒絶する理由は無くなってしまう。

品質や美味しさを求めて栽培していなかった品種は、業務用米として売れなくなったからと言って、いきなり消費者に対して販売しようとしても、買ってくれる消費者はいない。
価格を下げて販売しようとしたら、それこそ価格破壊が進むだけであるし・・・。

もう一つ、数年後に種子法が廃止となりそうであるが、そうなってしまった後に、県の奨励品種や選択品種に入っていない品種を、生産者が何処からか購入して勝手に栽培していて、それを全国に対してネットで販売していて、もしそれが、DMA違反として摘発されてしまった場合、その品種を栽培していた生産者は、全国に対して回収するための告知をしなければならない。
その費用は1回で数千万円はかかるし、回収できるまで、何度でも告知を繰り返さなければならない。
当然のこととして、その間のお米の販売は、一切できない。

もしも地域JAが、そういうお米を買い取ってしまっていたり、そのお米に何かしら関わってしまっていたとしたら、JAの責任も当然出てくる。
賠償についても、生産者と一緒に支払わなければならなくなるかもしれない。
そうなってしまうと、JAの存在も危なくなってくる。
1人の生産者のために、地域JAが仕掛けている地域ブランド米も傷が付くし、酷い場合はJAが潰れてしまう可能性もあるのだ。

だから自分は、このごろの講演で、「自分で販売するのであれば、一切JAに頼らず、全て自分の責任で管理して販売するように」と、産地に対して言い切っている。

今迄、生産者が自分でネットなどで販売していながらも、売れ残ったお米をJAに「買ってくれ」と甘えていた生産者からすると、「冗談じゃない」と怒り心頭である。
しかし、これがJAではなく、普通の株式会社だったとしたら、そんな理屈は通らないのが当たり前である。
「JAだから」という考え方が、もともとも間違いなのである。

こんなことは、これからの時代としては、氷山の一角。
それも、相当小さな一角でしかない。

個人販売が生き残るのか、地域ブランドが生き残るのか。
既に戦いは始まっている。

答えは、数年後には出ることだろう。
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富富富

2017年12月12日 15時48分09秒 | Weblog


北日本新聞社の12/8(金)0:29の記事は「「富富富」に特別栽培米 19年産から、化学肥料・農薬を半減」という内容であった。

富山米の新品種「富富富(ふふふ)」のブランド力を高めるため、県はデビュー2年目となる2019年産から通常の栽培方法に加え、化学肥料と農薬を半分に減らした特別栽培米を用意する方針を固めた。
数値が低いほどおいしいとされるタンパク質の含有率に関する出荷基準も新たに設定する。
厳しい基準を守り、高品質を実現していることを消費者にアピールしていく。

7日の県議会予算特別委員会で、宮本光明氏(自民)の質問に石井隆一知事が明らかにした。

来年のデビューに向けて、県は要件を満たした生産者だけに作付けを認める登録制度を導入。
現在、希望者を募集している。
登録生産者には標準的なコシヒカリに比べて化学肥料2割、農薬3割の削減をはじめ、1等米だけを出荷するなどの基準が課される。

知事は山形県の「つや姫」や青森県の「青天の霹靂(へきれき)」は2等米も出荷しており、新潟県の「新之助」には化学肥料や農薬の使用量に関する基準がないことを説明。
「富富富はなかなか厳しい基準になっている」と強調した。
付加価値をさらに高めるため、試験段階にある特別栽培とタンパク質含有率に関する基準を19年産から導入するとした。
「高品質で安全・安心な富富富を生産し、評価されるようにしたい」と述べた。

17年産の富富富を試食した2605人から得られたアンケート結果を集計したところ、61・8%が「普段食べているコメよりおいしい」と答えたことを紹介した。
普段食べているコメの9割は県産コシヒカリだった。 笠井和広氏(県民クラブ)への答弁。

ローカル紙のため、どれだけの人が、この情報を手に入れたかは疑問であるが、来年30年をもってして、新品種の戦いは終わる。

そのラストの年に戦いを挑んでくるのが、福井県「いちほまれ」、富山県「富富富」、石川県「ひゃくまん穀」、新潟県「新之助」。
さらに、山形県「雪若丸」、宮城県「だて正夢」、岩手県「金色の風」「銀河のしずく」、青森県「あさゆき」「青天の霹靂」。

規模の大小はあるものの、そうそうたる産地が、産地の生き残りを賭けて戦いを挑む。
どの産地が勝つのか、生き残るのかは、完全に未知数。

戦いに敗れるという事は、ブランド化戦略のミスである。
今の時代、ミスは命取りでしかない。
よって多分、この戦いに負けてしまったら、ブランド米としての価値は消えてしまうだろう。

富山県のオリジナル新品種である30年デビューの「富富富」は、この発表まで、どんなブランド化戦略で行くのか、まったく見えなかった。

ブランド化戦略と言うのであれば、年内中に戦略としての発表は必要不可欠。
「間に合うのだろうか」と、自分も気にしていたのだが、ついに発表となった。
そして、福井県のオリジナル品種で、同じく30年デビューの「いちほまれ」と同じ、特別栽培米を引っさげての戦略。
そしてデビューとなる。

この発表によって、福井県も安泰ではなくなった。
まだまだ戦略が見えてこない、山形県「雪若丸」や宮城県「だて正夢」も、当然戦略の見直しは必要となったはずである。
特別栽培米を持たずに、慣行栽培米だけの戦略は、消費地をターゲットにするのであれば、完全に不利となった。

さてさて、各産地は、どのようにブランド化戦略を変更してくるのだろうか。

「こういう流れになってくると、案外、岩手県が強いのかもしれない」と、ついつい思ってしまう。
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えちゃけな米

2017年12月12日 14時58分44秒 | Weblog


JA小松市は、2015年にJAブランド米「えちゃけな」を発表した。

開発のきっかけは2015年11月に、小松市で開かれた国内外の米を評価する「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」の地元開催に合わせ、金賞を目指そうと農家・市・JAが一体となり、お米づくりプロジェクトを始めた事である。

名称の「えちゃけな」とは石川県の方言で「かわいらしい、愛らしい」という意味。

33農家が手を挙げ、計11ヘクタールで栽培を始めた。
化学肥料を一切使わず、有機肥料を5種類以上使い、追肥や乾燥などすべて別工程を施した。

その、わが子を愛でるように育てあげた数量限定のお米が、JA小松市ブランド米「えちゃけな」なのである。

スタートは順調だったと思うが、悔しいかな、直ぐに行く詰まってしまった。
原因は、産地と消費地とのコンタクトのミス。

当初、JA小松市から、常に産地情報が手に入り、それを武器に販売展開をしていく予定であった。
しかし蓋を開けてみると、待てど暮らせど、産地からの情報は来なかった。

新しく販売を始めたばかりのブランド米だったため、知名度が全くなかった。
「美味しい」というだけでは、「石川県のお米」というだけでは、「地域ブランド米」というだけでは、消費地では売れない。

売るためには、食べてもらうためには、手を出しやすい環境を作ってあげる必要がある。
それが、消費者が欲しがっている産地情報だったのである。

なのに、その貴重な情報が、産地から得られなかった。
そしてそれが続いたことで、産地との摩擦にまで発展してしまい、取り引きしてくれていた米卸も手を引き、自分も、一度は販売を諦めた。

であるが、再度挑戦していくことが決まり、現在の店舗の玄米箱には、シッカリと「えちゃけな」は入っている。

そして今日の午前中。
JA小松市と、現状についての話と、これからの話をした。

食味値は昨年よりも高くなっている。
口に入れると、直ぐに甘さが広がる特徴も出ている。
欠点としては、水加減の微妙なコントロールが、微妙に難しいということ。
であるが、この水加減が判ると、「えちゃけな」としての美味しさは、一気に発揮できる。

産地では判らない、消費地ならではの情報。
青をつき合わさないと、知ることが出来ない情報。

今度こそ、JA小松市ブランド米「えちゃけな」は、この情報交換を、武器としていくことが出来るか。
試される年となるだろう。
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弥栄米

2017年12月12日 14時22分06秒 | Weblog


昨日、島根県弥栄町の「秘境・奥出雲・弥栄つや姫」と、ブランド化戦略の打ち合わせをしていた。

弥栄の田んぼは、平坦な土地が無いため、全て棚田。
それも小さな棚田が、急こう配の斜面にへばりついているという、恵まれてはいない環境である。

その証明として、既にJAも撤退してしまっている。
であるが、地域の主力商品は「お米」。

地域からお米を無くしてしまっては、地域が販売できる農産物が無くなってしまう。
販売できる農産物が無いとなると、地域の将来は絶望的である。

そこで立ち上がったのが、行政と生産者が一体となってブランド化を進めている「秘境・奥出雲・弥栄」という地域ブランド米。
品種は「コシヒカリ」と「つや姫」の2品種。

ブランドを立ち上げた時は、珍しさから色々と話題になった。
であるが、それも時間が経てば無くなってしまう。

常に話題を出し続けられることが出来れば、色々な処で目に触れる機会が多くなるので、色々な展開も可能となってくる。
しかし、小さな山奥の産地に、それだけの話題があるはずはない。

若者を町に呼びたくても、コンビニすらない。
若者が少なすぎるし、地元企業も無い。
したがって、6次化をしていくことも出来ない。

1歩2歩というレベルではない、完全に置いて行かれてしまっている産地。
何かをしたくても、何もかもが出来ないというギリギリの現実。

その中で、自分たちの環境をもっと優れた武器に変えて。
さらに。
棚田という最高の条件と最悪の条件を、何処にもまねできない、究極の武器にかえる方法。

自分が、各産地の現状から分析してはじき出した、新しい農法。
まだ、実証実験すらやっていない、完全にイメージでしかない農法。

そんな「危険な農法」であるが、来年から小さな面積で試してみたいと考え、地元で考えてもらうようにお願いした。

もしも、この理論が正しく、地域にとって効果が出る農法だとしたら。

棚田は復活できる。
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