日本の真実

日本人自身が知らない「世界に誇るべき日本の真実の姿」を様々な面から紹介するブログです。

世界に誇る日本人の発見 医学生物学編 その九 「ジベレリン」の発見

2007-09-02 10:06:19 | Weblog
◎植物成長ホルモン「ジベレリン」の発見 黒沢英一・薮田貞治郎・住木諭介

稲の苗が異常に伸び、それを本田に植えると枯れてしまうという「馬鹿苗病」という植物の病気があります。台湾は高温多湿のため特に被害が多く、1910年代にこの病気が広範囲で発生しました。当時の台湾総督府農事試験場は馬鹿苗病について精力的に研究を行い、1926年、黒沢英一技師はカビの一種である Gibberella fujikuroi の代謝生産物に、稲を伸長させる作用があることを発見しました。
この発見に興味を示した東京帝国大学農学部教授の薮田貞治郎は研究に取り組み、1938年に住木諭介と共に Gibberella fujikuroi から活性物質を取り出し、結晶化することに世界で初めて成功しました。活性物質は「馬鹿苗病」の学名「ジベレラ」を取り、「ジベレリン」と命名されました。
ジベレリンは1959年に英国で化学構造が解明され、また世界各地で多くの植物からジベレリンが抽出・同定されました。その後も代表的な植物ホルモンとして多くの研究が行われ、現在では果実のの果実肥大・熟成促進、野菜・花弁の発芽・開花・成育促進などに広く使用されています。中でも一番よく知られているのは種無しブドウの産生で、デラウエア種のブドウの花にジベレリンを漬けると種無しになります。
ジベレリンは世界で初めて微生物より抽出された有効物質です。世界初の抗生物質であるペニシリンはアオカビより発見されたのが1929年、単離されたのが1940年ですので、いずれもジベレリンより2、3年遅いです。これを日本人が発見したことを誇りに思います。
(信)