二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

いびつな真珠・その輝きを描く ~吉村昭「冬の鷹」に酔う

2021年12月31日 | 吉村昭
■吉村昭「冬の鷹」(昭和51年刊。原本は昭和49年毎日新聞社から刊行) おそらくフィクション70%、史実30%かしらね。こういう小説になってしまうと、そのあたりを見極めるのはひどくむずかしい。 いうまでもなく無条件な虚構ではない。 「おそらくこうであったろう」という推定が、ぴしぴしと決まって、吉村さんの腕のたしかさにのせられ、読者は時間的にも、空間的にも、はるかな彼方へ散歩につれ出される。酸っ . . . 本文を読む
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吉村昭「史実を歩く」文春新書版

2021年12月31日 | 吉村昭
昨日手に入れたばかりの吉村昭エッセイ集。 ここで注目は「創刊! 文春新書」のオビ(^^♪  平成10年10月、最初の配本10冊の一つだったのだね。 巻頭に収められた「『破獄』の史実調査」を読み直し、作品読了直後なので、あらためて驚嘆! 取材の舞台裏が赤裸々に述べられている。 これはフィクションではない、ということだね、まさに。 . . . 本文を読む
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日本的テロリズム探求の大いなる成果 ~吉村昭「桜田門外ノ変」を読む

2021年12月26日 | 吉村昭
   (新潮文庫で読んだのだが、単行本も手許にある。) ■吉村昭「桜田門外ノ変」(平成7年刊。単行本は1990年=平成2年新潮社) 吉村昭以前と以後。 そういう括りがあるのかどうか知らないが、「生麦事件」につづき、この「桜田門外ノ変」を読んでいて、そう思わざるをえなかった。 記録文学としての歴史小説・・・これは語の矛盾のようにもかんがえられよう。しかし、吉村さんは、そういう力技を決めたのだ . . . 本文を読む
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7冊のエッセイ集

2021年12月25日 | 吉村昭
吉村さんのエッセイ集7冊。ほかにも文庫本で3冊か4冊出ているようだ。 実店舗を散歩がてらよく歩くけど、それによって集まってきた。 吉村ワールド! 吉村ワールド!  エッセイで肉声のようなものというか・・・小説家のこぼれ話が聞ける。 昨日、今日、そして明日も吉村ワールド!(^^♪ . . . 本文を読む
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底辺から時代を見上げるまなざし ~吉村昭「プリズンの満月」をめぐって

2021年12月20日 | 吉村昭
■吉村昭「プリズンの満月」新潮文庫(平成10年刊 原本は平成7年新潮社) 司馬遼太郎は鳥観図を用いて、そのパースペクティブがもたらす視野の中で歴史や時代を眺めようとするが、吉村昭はそうではない。 むしろ地を這うような低いまなざしを好んで用いる。 それは司馬さんが、大抵の場合、その時代の権力者や英雄、いわゆる“歴史的有名人”をしばしば主役に据えていることを勘案すればわかる。それに比べ、吉村さんは、 . . . 本文を読む
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吉村昭「羆嵐(くまあらし)」を読む

2021年12月17日 | 吉村昭
■吉村昭「羆嵐(くまあらし)」(昭和57年新潮文庫 原本は昭和52年新潮社) このところ、吉村昭に入り浸りである。 なぜそうなったかというと、吉村さんがノンフィクション、ドキュメンタリー作品を多く手がけているから。 小説は基本フィクションなのだが、どういうわけか近ごろ2年ばかり、わたし的にフィクション離れが甚だしいということ。だから吉村昭がおもしろくて仕方ないのだ・・・と思える。なぜそうなのか . . . 本文を読む
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孤独な俳人の晩年に寄り添う ~吉村昭「海も暮れきる」を読む

2021年12月15日 | 吉村昭
   (庭にころがっていた金柑の実を置いて撮影) 沈潜する慈愛のまなざしというべきものが、この作品を背後から照らしている。吉村昭は尾崎放哉と同じく肺結核に苦しんだのだ。若き日のそうした体験が、「海も暮れきる」というこの作品を特別なものとしている。 近所に住む漁師の妻、シゲの存在が大きく、放哉は彼女に救われた。彼女がいなければ、この小説も成り立たなかったろう。彼女が死んでゆく放哉の看取りをした . . . 本文を読む
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2台のフォークリフト

2021年12月14日 | シャッフル/photos
クルマの運転席から信号待ちでパチリ♪  フォークリフトの青と黄。 右側の車体に、アタリがあるのは、パソコンに取り込んでから気がついた。 ところで武蔵貨物自動車㈱って、どこにあるんだろう(´・ω・)?  陽射しが温かかった。 . . . 本文を読む
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ドラマチックな雲

2021年12月13日 | シャッフル/photos
日が短くなったなあと思いながら運転中、空を見上げたらこんな雲が出ていた。 とっぷりと暮れてしまう寸前、何というか、ドラマチックすぎじゃねえの(ノω`*)  地震があったし、アメリカじゃ巨大な竜巻だってさ。 こんな日があるってことだね。 . . . 本文を読む
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大作家としての吉村昭 ~「破獄」を堪能

2021年12月12日 | 吉村昭
    (カバーの傷みが気になるレベルだったので、右の本を買いなおした) ■吉村昭「破獄」新潮文庫(昭和61年刊) 原本は昭和58年1983年岩波書店から刊行 新潮文庫  37作品 文春文庫  30作品 講談社文庫 10作品 2021年現在で、吉村さんの著作はこれだけが現行版である。 合計77本は、松本清張、司馬遼太郎と肩をならべる大作家であることを語っている。 一時期たくさんの作品が網 . . . 本文を読む
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