二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

果たしてこの資本主義の未来に希望はあるのか?

2021年04月29日 | 哲学・思想・宗教
■斎藤幸平「人新世の『資本論』」(集英社新書 2020年刊)を読む ※このあいだつぶやきで速報したけれど、レビューとしてもう少し内容のある記事を書かせていただこう♪ 本書「人新世(ひとしんせい)の『資本論』」、新書らしからぬ、ぎっしり内容のつまった本である。 たとえばハードカバー、価格は税込み3千円で刊行されたって、いったん火がつけば、相当数が売れただろう。著者と出版社は、その路線を選ばず、 . . . 本文を読む
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「日本仏教史」「ポスト戦後社会」&「ドストエフスキー」の3冊を読む

2021年03月15日 | 哲学・思想・宗教
■末木文美士「日本仏教史 思想史としてのアプローチ」新潮文庫(平成8年刊 原本は平成4年) 末木文美士と書いてすえき・ふみひことお読みするそうである。1949年生まれ、本書刊行当時東京大学大学院人文社会研究科教授。 ビギナー向けなので平易に書かれているが、いたって専門性の高い一冊であろう。ビギナー向けだから工夫をする必要があるし、専門用語は一般に流通することばに置き換えなければならない。そうし . . . 本文を読む
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渡辺照宏の二冊を読む ~「お経の話」と「日本の仏教」

2021年02月28日 | 哲学・思想・宗教
■渡辺照宏「お経の話」岩波新書(1967年刊) ずいぶん昔、高校の終わりころだと思うが、表面づらだけは読んでいる。むろん内容が理解できたわけではない。文字を追っただけ(´?ω?) だけど、多少は記憶のへりに引っかかっているものがある。 たとえば、 《諸行無常 諸の行は無常なり。 是生滅法  これ生滅を法となす。 生滅滅已  生滅にして滅し已(おわら)らば 寂滅為楽  寂滅して楽となる。》 . . . 本文を読む
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仏教の刷新 ~21世紀の仏教観/レビュー二冊

2021年02月21日 | 哲学・思想・宗教
■植木雅俊「法華経とは何か その思想と背景」中公新書(2020年刊) 本書の構成はつぎのようになっている。 1.「法華経」の基礎知識 インドで生まれ、中国から各地に伝えられた経典 2.「法華経」前夜の仏教 原始仏教から小乗、そして大乗の興起へ 3.「法華経」各章の思想 4.「法華経」の人間主義 “偉大な人間”とは誰のことか スタートはわくわくもの、法華経研究の最前線をのぞき見る思いがした。植木 . . . 本文を読む
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馬場紀寿「初期仏教 ブッダの思想をたどる」岩波新書(2018年刊)を読む

2021年02月11日 | 哲学・思想・宗教
秀逸な一冊である・・・と思われた。 馬場紀寿(ばばのりとし)さんは、1973年生まれ、東京大学の先生で、専攻はいわずと知れた仏教学。 さして期待をもたずに読みはじめたが、とんでもない! しつこいくらい論理的(理屈っぽいという意味ではない)で明快である。曖昧なところが、少しもないだけでなく、読者への訴求力はすごいし、牽引力もある。ことばを几帳面に定義しているからだろう。 「わたし自身のために書いて . . . 本文を読む
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仏教の叡智に学ぼう~わたしは仏教徒・・・

2021年02月05日 | 哲学・思想・宗教
■宮元啓一「仏教誕生」講談社学術文庫(2012年刊 原本はちくま新書1995年) わかりやすい本だが、内容が十分展開されず、しばしば尻切れトンボで終わっているのはどうしたことか? 本当の初心者に向けて書かれている。しかも思弁的な議論はおこなわず、平明な表現に終始。 初期仏教は、昔は原始仏教とよくいわれた。初期仏教も原始仏教も、意味するところは同じである。 釈尊・・・つまりブッダの生涯と思想に . . . 本文を読む
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吉本隆明「改訂新版 共同幻想論」(角川文庫版)を買う

2020年07月02日 | 哲学・思想・宗教
戦後、哲学・思想分野で巨大な仕事をした吉本隆明の「改訂新版 共同幻想論」。 NHKの100分de名著の刊行にあわせ、印字の大きな新装版が出た。 名著だとは漠然と感じはするがとにかく難解(=_=)  単行本出版時に最後まで読み通したものの、字面を追っただけ。 今度こそと思うけど、どこまで理解できるやら(゚ペ) . . . 本文を読む
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21世紀研究会編「イスラームの世界地図」(文春新書2002年刊)レビュー

2019年12月31日 | 哲学・思想・宗教
想像以上におもしろかった!! イスラームの宗教、歴史を超初心者にわかりやすく解説。 イスラームに関する本はこれまで数冊読んだ経験がある。その中において、一頭群を抜く。痒いところに手が届くといった、具体的な記述、図版、写真がうまく配されている。 「こういう本が読みたかった」といいたくなる一冊であった。 刊行されてから18年あまりたっているため、ISなどは登場しないし、情報的には賞味期限が切れてしま . . . 本文を読む
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「大衆の反逆」中島岳志(NHK 100分de名著 2019年刊)レビュー

2019年01月31日 | 哲学・思想・宗教
本書も書店で見かけてパッと買ってしまった衝動買いの一冊。 100分de名著シリーズはこれまで7~8冊は読んでいるが、なかなか書評を書きたくなるような、すぐれた内容を備えたものとぶつからなった。読書人ではなく、一般の視聴者を想定し、TV番組の枠内で話されたもののテキスト化だから、まあこんなレベルかな・・・と思わないでもない(^^;) 「大衆の反逆」とは、端的にいえば反ポピュリズムの本である。 ・第 . . . 本文を読む
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「フランス現代思想史 構造主義からデリダ以後へ」岡本裕一朗(中公新書 2015年刊)レビュー

2019年01月25日 | 哲学・思想・宗教
新刊書店の散歩をしているとき棚にあったのを見つけた。 その場で立ち読みし、即買い。 いや~、こんなガイドブックがあったのか・・・これはぜひ、はやめに読んでおこう、と。 というのも、レヴィ=ストロース、ミシェル・フーコー、ドゥルーズ等、フランス現代思想の本が、昨年秋あたりから身辺に集まってきているからだ(。・_・) 歴史と文学のジャンルに較べて、哲学・思想・宗教の分野はむずかしい。 若いころから読ん . . . 本文を読む
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