二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

ことばの空港(ポエムNO.2-72)

2016年03月27日 | 俳句・短歌・詩集
たくさんのことばが待機している。
北ウィングには ついさっき到着したばかりの本。
まるでその一つひとつが 遠くからやってきた飛行機のようだ。
南ウィングには 点検整備をおえて
飛び立とうとしている本が目白押し。

ぼくは機長なのか 管制官なのか
ことばに対し 神経をとがらせ 緊張している。
指示通りに動かない飛行機がある。
見知らぬことばが
不意に飛び込んできて 管制官を混乱させたりする。

夜も昼も 大勢の人が乗り込むためにやってくる。
遠いとおい世界へ向かって旅立つ人だっている。
旅立ったまま 帰ってこない人がいる。
どこからやってきたのか どこへ向かうのか
新型機が毎月必ず就航する。

さよなら こんにちは
こんにちは さよなら。
悲しみのあまり
ことばにしがみついて 放そうとしない女性がいる。
だれか気がついてその肩に そっと手をおく。

そこはブックストアに似ている。
入荷ししばし滞在したあと
ことばを満載した飛行機は飛び立っていく。
空港の雑踏は あまりにあわただしく
この世から姿を消したことばに だれも気がつかない。

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