事のなりゆき

日々のなりゆきを語ります

54年目の春⑦・・・焦り

2012-01-17 18:11:42 | Weblog
大学4年になってゼミ長になった。ゼミの専門は民法だ。独協大学はゼミが必修で3年か

らゼミに入る。法学部には、憲法、刑法、刑事訴訟法、民法、商法など様々なゼミがあ

る。ゼミスタイルも様々だ。がっちり勉強をさせられるゼミやスポーツクラブみたいなゼ

ミ、出席さえしていれば単位をくれるゼミなど。また入るときも成績重視で選考するゼミ

や申し込み順で入れるゼミなど選考基準も千差万別だ。小生のゼミはいわゆる勉強ゼミ

で、ゼミ生が面接を行う。実は先輩ゼミ生は小生の同級だ。一年遅れたためにゼミでは先

輩になってしまった。だからといってやりにくかった覚えはない。

 小生のゼミは勉強ゼミという異名をとっていたが、教授から一方的に教えを請うのでは

なく、ゼミ生みんなでよく勉強した。様々なケースをもとに条文を検討しながらみんなで

解いていく。それが主な授業だった。小生の拙い法律知識からすると条文は覚えるもので

はなく、使いこなしていくものと思った。使いこなす数を増やしていくことで、その条文

の存在意義というものがわかってくる。そんなことを当事は考えていた。今でも覚えてい

るのは教授の言葉に「法律家は社会学者」だ。つまり法律だけが一人歩きするのではな

く、社会情勢というものも判断の中にあるべきということだ。公害裁判で公共の福祉優先

という言葉を聞くことがあるが、そういうことからなのだろう。記者になるとまず警察取

材にいかされる。もちろん刑法や刑事訴訟法を知らないと取材にならない。小生刑法や刑

事訴訟法は専門ではなかったが、覚えるのに苦にはならなかった。法律の存在意義や意味

を理解できればそれほど難しくはない。それはこのゼミに覚えた。

 ゼミは毎年夏に合宿を行う。単なる旅行をするのではなく勉強をするための合宿だ。小

生ゼミ長なので、模擬裁判を企画した。軽井沢の民宿で朝10時から夕方6時くらいまで

昼食をはさんでびっしりやった。やりすぎというクレームがあったほどだ。中には模擬裁

判中に寝てしまう奴もいた。なにが題材だったかは思い出せないが、原告被告に分かれて

六法全書にひっくり返しながら徹底的に議論を繰り返した。小生が大学生活の中で一番楽

しかった時期だった。大学に入ったとき一時中退を考えた時もあった。特に目標があって

入ったわけでもなく、法学部も経済よりはいいという程度でしかなく、野球も途中でやめ

てしまって、燃え尽き症候群というほど大袈裟ではないが、自分を支えるものを失ってい

た時期があった。しかしゼミに入って法律と出会って息を吹き返した。法律を使いこなす

のが、おもしろくて仕方がなかった。事例を分析し、当てはまる条文を探してそこに意味

を加えていく。その作業に夢中になった。

 ゼミ活動は楽しかったが、記者職に就くための勉強も効率よくしていなかなければいけ

ない時期になっていた。新聞とにらめっこする日は相変わらず続けていた。ノートに言葉

を書いていく勉強も続けていた。それなりに成果が見え始めていた。しかし問題が一番肝

心の作文力に不安があった。毎日書いているが、それがどの程度のレベルなのかが自分に

はわからない。就職試験を突破できるレベルなのか、なにをどう書けば力をつけられるの

か。そんな迷いがあった。同業を目指す友人はいなかった。相談相手もいない。日が経つ

ばかり、徐々に焦りが出始めた・・・(続)
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