寒い日が続いている。山沿いの地域では豪雪になっている。きょうもかなりの雪が降った
のだろう。事故も相次いでいる。屋根から転落しそのまま生き埋めになって亡くなるとい
う悲惨な事故も起きている。雪国で暮らすことの大変さはそこで暮らしてみなければわか
らない苦労がある。
小生が報道の責任者をやっていた時に津南が大雪で大騒ぎになったことがあった。連日
東京から記者やカメラマンがやってくる。すごいすごいの大合唱。街にいる人たち誰でも
マイクを向ける。すごいととにかく言わせたがる。大変だと言わせたがる。ところが地元
に人たちからみると、それほどでもない。東京から見れば大変だけど地元の人たちからみ
ればこんな年もなる、そんな程度しか思っていない。津南の旅館を貸し切り状態で取材本
部を作った。毎日かならず生中継を入れてその日の雪の状態をリポートする。2~3日は
それで済むが、毎日やっていると目が慣れてきて、2M程度の雪では満足しなくなる。最
初は電話ボックスが埋まるような積雪にスタジオからもスゲーの声が上がるが、3日目か
らはその風景が当たり前になる。街の人たちも特に悲壮な面持ちではない。淡々と毎日暮
らしている。かえって怖いのが、取材陣の事故だ。特に東京からの取材陣は雪に不慣れ
だ。しかも無理を強いる。もっともっとすごい映像を撮りたがる、見たがる。そこで小生
は取材ルールを決めた。一人では取材に行かない。危険な場所への立ち入りをしない。屋
根からの落雪など雪には十分注意する、などを決めた。笑い話のようだが、雪の取材は危
険だらけで、路地に入ってもどこまでが道でどこからががけなのかわからないような場所
もある。車の駐車もなかなかスペースが無い。いいかげんな場所に駐車すると除雪の邪魔
になったり、昼夜止めておくと翌日が雪ですごいことになり身動きが取れないような時が
ある。一晩で1Mも降るような場所な野田。中継車の除雪だけで1時間や2時間かかれば
仕事にならない。地元の人に地形を聞いておかないととんでもない事故になることもあ
る。雪ですべてが覆われているので、本当にあぶない。
生活道路の除雪が間に合わず、孤立集落ができた。昼はなんとか通れるが夜は雪崩の危
険があって通れない。東京の取材班から地元人の家に泊めてもらって、雪国の暮らしを取
材したいと申し出があった。その家のある食物を食べないなど迷惑をかけないという取材
ルールを決めて許可を出した。コンビニで2食分を買い込んでその集落まで入り、取材さ
せてくれる家に取材班は泊まった。雪国で暮らす大変さなどを取材したようだが、テープ
を見て小生吹き出したのは、取材班がこうした暮らしがどんなに大変かと同情心いっぱい
でインタビューするも、一向に「たしたことはない」とまったく意に沿わない返事を繰り
返すばかりだった場面だ。さぞかし集落が孤立することがたいへんですねと聞いても「冬
は街にはどうせいかないし、一週間くらい通れなくてもどうってことねえ」とあっさりか
わす。家の中にはすごい量の備蓄食糧があった。ちょっと歩いてコンビニがあるような場
所ではない。それを東京の人たちは不便と決めつける。しかし地元に人たちからすれば、
2Mでも3Mでも雪は毎年降る。しかたのない自然なのだ。それを大変と騒ぐのは東京の人
たちの方が奇異にうつる。
しわだらけのじいちゃんがなにげなく話す「どうってことねえ」の言葉こそ、そこで生き
抜いてきた人の重たい言葉に小生は感じた。
のだろう。事故も相次いでいる。屋根から転落しそのまま生き埋めになって亡くなるとい
う悲惨な事故も起きている。雪国で暮らすことの大変さはそこで暮らしてみなければわか
らない苦労がある。
小生が報道の責任者をやっていた時に津南が大雪で大騒ぎになったことがあった。連日
東京から記者やカメラマンがやってくる。すごいすごいの大合唱。街にいる人たち誰でも
マイクを向ける。すごいととにかく言わせたがる。大変だと言わせたがる。ところが地元
に人たちからみると、それほどでもない。東京から見れば大変だけど地元の人たちからみ
ればこんな年もなる、そんな程度しか思っていない。津南の旅館を貸し切り状態で取材本
部を作った。毎日かならず生中継を入れてその日の雪の状態をリポートする。2~3日は
それで済むが、毎日やっていると目が慣れてきて、2M程度の雪では満足しなくなる。最
初は電話ボックスが埋まるような積雪にスタジオからもスゲーの声が上がるが、3日目か
らはその風景が当たり前になる。街の人たちも特に悲壮な面持ちではない。淡々と毎日暮
らしている。かえって怖いのが、取材陣の事故だ。特に東京からの取材陣は雪に不慣れ
だ。しかも無理を強いる。もっともっとすごい映像を撮りたがる、見たがる。そこで小生
は取材ルールを決めた。一人では取材に行かない。危険な場所への立ち入りをしない。屋
根からの落雪など雪には十分注意する、などを決めた。笑い話のようだが、雪の取材は危
険だらけで、路地に入ってもどこまでが道でどこからががけなのかわからないような場所
もある。車の駐車もなかなかスペースが無い。いいかげんな場所に駐車すると除雪の邪魔
になったり、昼夜止めておくと翌日が雪ですごいことになり身動きが取れないような時が
ある。一晩で1Mも降るような場所な野田。中継車の除雪だけで1時間や2時間かかれば
仕事にならない。地元の人に地形を聞いておかないととんでもない事故になることもあ
る。雪ですべてが覆われているので、本当にあぶない。
生活道路の除雪が間に合わず、孤立集落ができた。昼はなんとか通れるが夜は雪崩の危
険があって通れない。東京の取材班から地元人の家に泊めてもらって、雪国の暮らしを取
材したいと申し出があった。その家のある食物を食べないなど迷惑をかけないという取材
ルールを決めて許可を出した。コンビニで2食分を買い込んでその集落まで入り、取材さ
せてくれる家に取材班は泊まった。雪国で暮らす大変さなどを取材したようだが、テープ
を見て小生吹き出したのは、取材班がこうした暮らしがどんなに大変かと同情心いっぱい
でインタビューするも、一向に「たしたことはない」とまったく意に沿わない返事を繰り
返すばかりだった場面だ。さぞかし集落が孤立することがたいへんですねと聞いても「冬
は街にはどうせいかないし、一週間くらい通れなくてもどうってことねえ」とあっさりか
わす。家の中にはすごい量の備蓄食糧があった。ちょっと歩いてコンビニがあるような場
所ではない。それを東京の人たちは不便と決めつける。しかし地元に人たちからすれば、
2Mでも3Mでも雪は毎年降る。しかたのない自然なのだ。それを大変と騒ぐのは東京の人
たちの方が奇異にうつる。
しわだらけのじいちゃんがなにげなく話す「どうってことねえ」の言葉こそ、そこで生き
抜いてきた人の重たい言葉に小生は感じた。