事のなりゆき

日々のなりゆきを語ります

非常勤講師・・・⑧ 彼のバックボーンは

2018-06-30 07:52:03 | Weblog
先日のゼミのこと。3年生のゼミでは毎回、順番を決めて学生がレジュメを発表することになっている。彼はその日が担当だった。実はその彼は前回の発表の時は、「きょう発表資料を忘れたので、来週にさせてください」と授業前に突然申し出た。小生は内心、なにかあるなと思いながらも、「じゃ来週お願いします」とその日は仕方がないので、小生が用意していた別の内容の授業を行った。そして今回である。欠席するのではないか、また「来週に」と言ってくるのではないか、と思いながら待っていた。授業前トイレに行く途中の廊下で偶然に彼とすれ違ったが、異変もなかったので、きょうはすんなりいくと思ってっていた。そして授業開始、「じゃ、はじめよう。きょうは〇〇君だったね。お願いします」。ところが、なにも彼は言わない。目もあわせない。もともと目を合わすタイプではないが、頑なに下を見てままだ。そして一言。「やってません」。聞こえるかどうかの小さいな声だ。「え!」と小生。「なにを?」と小生。耳を疑い聞き返す。「レジュメのこと?」と小生。彼は目を合わせずにこくりと頷く。ここで怒ってしまうと、他の学生もいやな思いをする。どうしたものかと思いながらも、「しかたがないね」と、この日も小生が用意していた、別の内容の授業を行った。毎回、こうしたなにがあるのかわからないので、必ず別メニューを用意している。それは教員の責任として当たり前のことだが、心配なのは彼のことだ。腹は立つが尋常じゃない。なにもせずに授業に出てくる。そしてこちらから言うまで、なにも言わずにそのまま座っている。一度の問いかけになにも答えずに、そのまま黙っている。もう一回聞き出して、やっとやっていないことを告白した。小生もまじめに勉強してきたわけではないが、こうしたことはなかった。やらないならば、なにか仮病を使うとか、事前になんらかの形で連絡するとか、なにか策を講じてその場を切り抜けると思うのだが、それもまったくなかった。
 考えられることは、いくつかある。一つはそうした当日になって、言ってもこれまでの先生はすべて認めてきた。だから彼はなにもやらずに授業に出てもそれが認められると思っている。二つ目は、人前で話すことができず、発表することが困難な状況になっている、心の病を患っている可能性だ。しかし前回はきちんと次の週にレジュメを発表している。それも内容としても申し分のないもので、小生は褒めたのだ。もともとかれは授業中ほとんど顔を上げない。反応を示さないタイプなのだが、今回彼にそうさせたものはなんなのか。小生はこの二つくらいしか思いつかないが、彼はどんな生活をこれまで送ってきたのか、なぜそうしたことができるのか、ある意味で、すごく勇気のある行動だし、普通はむしろ怖くてできないことなのだが、彼はそれをやり遂げてしまう。
 「大学は学問を通じて、人間形成をする場である」。小生が卒業した獨協大学の言葉である。大学で習ったことは、卒業してもほととんど役に立たないし、それよりももっと覚え、勉強しなければいけないことはいくらでもある。だから小生もそのつもりで授業をしているが、それでも小生の言うことや教えることが、なにか学生自身の中で、世の中の仕組みに興味を持ってもらうことや、あきらめずに一生懸命やっていればなにか見つけることができるというような、人生観を感じてもらえればとありがたいと思って毎回授業に臨んでいる。だからレジュメの発表は二の次なのだが、今回のことはレジュメの問題ではなく、人として、人間としてなにか落ち度を感じていない、そんな彼の人生観が心配である。どんな指導をこれからしていけばいいのか。難しい。とりあえず、ラインで彼には来週までテーマは自由でいいので、2,000字以上のレポートを書いてくるように指示した。果たしてどんなレポートを書いてくるのか、それとも・・・。
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非常勤講師⑦・・・大阪北部地震のデマ情報

2018-06-20 09:08:47 | Weblog
今週の明星大学の授業は、大阪北部地震を取り上げた。3年生のゼミでは4月から災害社会学、いまはその本が読み終わって災害情報論を輪読している。その生きた教材がこの大阪北部地震だ。実際の現場ではどんなことを起きているのか、どんなことが起きていないのかなどを新聞やWEBからフィールドワークしていこうというものだ。ツイッターやFacebookなどのSNSは伝達スピードが早く、量的にも多いので検証が大変だ。今回の大阪北部地震で特質すべきなのは、熊本地震に引き続いてデマ情報が出ていることから、大阪市長やがツイターでデマ情報に対する注意を呼び掛けている点だ。また2年前の教訓として熊本市長もそのデマ情報を消すために大阪府民らを対象にツイッターでデマ情報に対する注意喚起を呼び掛けている。熊本市ではライオンが動物園から逃げたというデマ情報が流されたが、三ヶ月後に偽計業務妨害で神奈川県の22歳の男が逮捕されている。「みんなを騒がしてやろうと思っと」と供述している。今回は具体的には、笑ってしまうのだが、シマウマが脱走したという情報が昨日流れた。なんでシマウマなのは不明だが。また京阪電車が脱線したとかのデマ情報が流れた。シマウマはいかにも愉快犯の可能性が高いが、京阪電車の脱線はどこかでだれかの憶測が尾ひれついてデマ情報になった可能性がある。まだ小さい復旧に関わるような詐欺などもあるらしい。いずれにしても現在のメディア環境を表わすようなものすごいスピードで、まことしやかなデマが横行しているようだ。なぜ、起こるのかなどの分析については今後していきたい。
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東京日帰り、上越、新潟大学の旅・・・

2018-06-14 16:53:18 | Weblog
先週は木金で熊本県益城町、そして今週は火曜日が明星大学、水曜日が上越市の関根学園で講演、そしてきょうは新潟大学での非常勤講師授業。3連荘だった。
 今週の明星大学授業は益城町の報告をした。そろそろ学生がバテテきたので、今週は小生が発表する場を設けた。水曜日の関根学園はメディアリテラシーの特別授業だった。橋渡し役となったのは、30年前の新潟明訓エースピッチャーの金田君だ。去年あたりから彼がメディアリテラシーを実施しているので、Facebookで再会し授業のお手伝いということで今年実現した。メディアリテラシーというよりも人のつながりを感じた。
 新潟大学の非常勤講師授業は、あしかけ11年目になる。ことしは30人が登録してくれたが、機材の関係から21人に絞らざるを得ず、レポートから9人落とした。申し合訳ないけど、仕方がない。小生の人生は、学校のテストはことごとく落とされてきたので、まさかのこの歳で落とす側に回るとは思わなかったが、落とされた彼らのことを考えてしまう。授業内容は初日だったので、自己紹介や授業の進め方などガイダンスのような感じだった。受講生の中に初めて理学部の学生がいる。しかも一年生だ。また、2年生だが落研もいた。なんとなくおもしろそうな連中があつまった感じだ。21人中14人が女性、7人が男性だ。ちょうどいいバランスかもしれない。
 
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益城町訪問②・・・

2018-06-11 07:01:48 | Weblog
 NHKが設立した社団法人放送文化基金から、熊本地震にともなう臨時災害放送局に関する研究費を助成してもらっている。益城町には初めての訪問だった。熊本空港への直行便がないために、福岡空港からレンタカーで熊本入りした。熊本地震は2016年4月14日と16日に発生したのもので、2年余が経過している。益城町の中を走っているとどこに被害があったのかと思うほど、倒壊した家屋など爪痕はすでにないが、しかし不自然な更地があちこちに目立つ。不自然とは、こんな場所が更地?というところや土台だけ残っていたり、玄関の門構えだけが残っていたりと不自然な跡地がある。地元の人に聞くと地震で倒壊し、ガレキを片づけた後らしい。町内で一番の被災地区だった木山地区は不自然な更地から想像するに、豪邸が多かった印象を持つ。いま所有者はどこでどんな生活をしているのかとしばし足を止めてみる。あらためて自然災害の怖さを感じる。
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益城町訪問・・・

2018-06-07 08:08:30 | Weblog
きのう(6月6日)から熊本県益城町に来ている。主な目的は地震で開局した益城町の臨時災害放送局調査のためだ。詳細な報告Hあ後日にするが、地震から2年余りたっているが、まだまだ町内各所に爪痕が残る。ラジオ局はいまだに放送を続けている。
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