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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

髻山のセリバオウレン 2024。なごり雪と激しい春雨に耐えて咲く春の妖精。なんと持ち主に邂逅(妻女山里山通信)

2024-03-30 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山陣場平のセリバオウレンが咲いたのが3月16日。髻山へ撮影に行きたかったのですが、度重なるなごり雪に菜種梅雨。そうこうする内に月末になってしまいました。今年は髻山は諦めようと思っていました。しかし、3月は寒かったのでまだ咲いているかも知れないとでかけました。咲いていました。しかも、このセリバオウレンの持ち主と邂逅。色々お話を聞くことができました。私は妻女山陣場平の貝母の様に、昔薬草畑で打ち捨てられたものと思っていましたが、そうではなくて、10年ほど前にわざわざ植えたものだそうです。当時は販売するつもりだったそうですが、売っても安いのでそのままにしているとか。特に肥料とかもやらないけれど、毎年増えていくねと。土壌やコナラの林がセリバオウレンに合っているのでしょう。マムシが出るとこだから気をつけてと言われました。

 セリバオウレン(芹葉黄蓮)の雄花。セリバオウレンは、キンポウゲ科オウレン属の多年草。葉はすべて根生し、2回3出複葉。雄花と両性花があります。これは雄花。花びらのように見えるのは5枚の萼片で,その内側の淡い黄色の9〜12枚が花弁なのですが、遠目に肉眼で見るとほぼ純白です。中央の赤紫のものは、退化した雌しべ。

 両性花。外側に雄しべ,内側に雌しべ。ほとんどの両性花は萼片(がくへん)が白なのですが、稀にこの様に赤紫色のものがあります。

 この群生地はほとんどが両性花です。雄花は土壌の栄養が少ないと出現するそうですが、同じ株から雄花と両性花が出ていることもあるので実はよく分かりません。

 ほとんど雄花ばかりの株。退化した雌しべがまったく無いものもあります。

 花は1センチもないので、撮影ターゲットを探すのが大変です。セリバオウレンは薬草で消炎、止血、精神不安などの薬です。健胃(けんい)、健胃、整腸薬として消化不良や下痢止めにも用います。有効成分は、アルカロイド(ベルベリン)、パルマチン、コプチシンなどです。

 もの凄い数のセイヨウミツバチが舞っていてブンブン羽音がしています。後ろ脚には大きな花粉団子が。ミツバチと比べて花がいかに小さいか分かると思います。

 雄しべの数は20〜40本ほど。雄花の方が雄しべの数は多い様です。

 芹葉黄連という名前の由来ですが、古代にはカクマグサ、ヤマクサと呼んでいたそうですが、中国名の黄連と、同じ植物と間違って、黄連の名をあてたといいます。「本草和名」や「和名妙」に記述があります。また、江戸時代の貝原益軒は「大和本草(1708)」で、「日本の黄連性よし。故に中華、朝鮮にも日本より多く渡る。中華の書に日本産黄連を良とす」と記されています。

 群生地は年々広がっており見ごたえがあります。ただここに通じる登山道や林道がありません。長い藪こぎを強いられます。非常に目立たない場所にあるので探すのは困難でした。発見するのに髻山中を探し回り2年かかりました。

 萼片が純白の両性花。清楚で可憐です。

 雄花だけの株。雄花の方が華奢な感じがします。

 両性花だけの株かなと思ったら、数輪雄花が混じっていました。

 撮影は2時間ほど。背が低くしゃがんだり腰を曲げたりで疲れます。そんな時は休憩。ボーッとこの花園を観ていると帰りたくなくなってしまいます。樹上ではシジュウカラが鳴いています。

 退化した雌しべは赤紫だけでなく、こんな色のものも。

 退化した雌しべも見られない雄花。

 雄花と両性花。昼近くになって風が強くなってきたので帰ることにしました。周囲の山々は黄砂で霞んでいました。山上は12度でしたが麓は19度。車内が暑くて参りました。森の杏も開花するでしょう。
なごり雪の後のセリバオウレン、バイモ、セツブンソウ。杉山古墳群の積石塚古墳(妻女山里山通信)

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