モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ひと月ぶりに妻女山陣場平へ。純白で香りのいいセンニンソウが満開。妻女山展望台。夏の料理色々、ブラジル料理に信州の郷土料理も(妻女山里山通信)

2022-08-29 | アウトドア・ネイチャーフォト
 ひと月ぶり以上になります。ここのところ茶臼山は豪雨に見舞われていましたが、妻女山は降っていないので車で登れるだろうと。それ以前は何度も豪雨が降ったので、林道の様子や倒木などの確認に登りました。思った以上に山は乾いていました。林道も荒れていなくて倒木もなくホッとしました。しかし、クロメマトイがもの凄く閉口しました。

 妻女山山系のあちこちで満開のセンニンソウ(仙人草)が満開です。樹木に巻き付いてブライダルブーケの様に垂れ下がる純白の花は本当に美しい。また、野草の中ではトップクラスのいい香りがします。

 センニンソウは、キンポウゲ科センニンソウ属に分類されるつる性の半低木(木質の多年草)。ただ、茎や葉の切断面から出る汁や濡れた花粉に触れると炎症を起す有毒植物なので、要注意です。別名は、ウマノハオトシ(馬の歯落とし)、ウマノハコボレ(馬歯欠)、ウシクワズ(牛食わず)、ハコボレ(歯欠)、ハグサ(歯草)など。毒草ゆえの名前なのでしょう。

 貝母(編笠百合)の群生地がある陣場平。3回ほど除草しているので清々としています。ミズヒキが咲き始めました。キアゲハ、コミスジ、ツバメシジミ、ジャノメチョウ、ナツアカネなどが見られましたが、吸蜜する花がほとんどないのが可哀想。

 雨がないのでキノコはほとんど見られません。倒木にヒメカバイロタケ。不食です。

 堂平大塚古墳に行ってみました。昔Kさんが植えたサルスベリが満開です。

 シロヨメナ(白嫁菜)キク科シオン属の多年草。別名はヤマシロギク(山白菊)。秋の白い菊は、たくさんあって同定が難しい。葉に毛がないのと、ノコンギクやリュウノウギクはもう少し先なのでシロヨメナかなと。

 ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草。別名はアメリカヤマゴボウ。ヤマゴボウというので食べられそうですが、有毒植物です。サポニンなどが含まれるため、食べると下痢や嘔吐などの中毒を起こします。

 オオカマキリ(大蟷螂)。4月ごろに卵のう(卵鞘)と呼ばれる卵の塊から200〜300の幼虫が出てきます。卵の塊が高いところにあると大雪になるという話がありますが、それは迷信です。雪に埋もれても卵が死ぬことはないそうです。陣場平下のギャップで少し草刈りをしました。

 クズ(葛󠄀)マメ科クズ属のつる性の多年草。万葉集には21首詠まれています。
「萩の花 尾花葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝顔の花」山上憶良
 大きな根塊から葛粉がとれるのですが繁殖力が強く、世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000)に選定されています。

 クマノミズキ(熊野水木)ミズキ科ミズキ属の落葉高木。 実は鳥の大好物で、かなり食べられています。実がつく小枝は、晩秋に向かって真っ赤に染まっていきます。実は緑ですが、紺色になり熟し切ると黒くなります。

 妻女山展望台から西方。中央に撮影に通った茶臼山。朝は北アルプスが見えていましたが雲に覆われました。眼下は長芋畑。すっかり秋の空です。

 左に茶臼山。右奥に虫倉山。茶臼山手前の斜めのところが、茶臼山自然植物園や動物園があるところ。下部には恐竜公園があります。動物園以外は無料です。右手の白い崖は中尾山。中尾山温泉があります。手前は篠ノ井の市街。その名前は、高句麗の豪族が篠井という姓を大和王権から下賜されたことに由来します。手前の千曲川河川敷の白桃の収穫もそろそろ終わりです。

 北には長野市の中心街が見えます。県庁所在地ですが高層ビルはありません。景観条例もありますし、需要もないでしょうから。高いところに住みたければ、周りの山に住めばいいのです。

 東の松代方面。左に奇妙山。右奥に根子岳と四阿山。拙書でも紹介しています。正面奥の東条はあんずの里。

(左)信州丸茄子の蒸しナス。辛子醤油でいただきます。丸茄子の素の旨さが最も分かる料理です。枝豆と塩昆布の混ぜご飯。夏の定番。(右)アンガスビーフのニンニク激増しステーキ。ズッキーニ、アスパラガス、ボタン胡椒のソテー。アンガスビーフは、焼くというよりコンフィ。油(バター)で煮るという感じでニンニクも肉も焦がさないようにミディアムに仕上げます。ちなみにAランクというのは肉質のランクで、味のランクではありません。安い肉でも旨い肉はいくらでもあります。

(左)ブラジル人の国民食のフェジョン(黒いんげん豆)の煮込み。信州ハムのハーブウィンナーを入れました。ファリーニャ・デ・マンジョーカのこなをかけ、ハラペーニョソースを。真夏の食欲がないときにピッタリです。(右)北信の特に飯綱町で有名なやたら漬。アク抜きした丸茄子、キュウリ、ボタン胡椒、ズッキーニ、ミョウガ、青紫蘇、自家製の大根の味噌漬けをみじん切りにして混ぜます。ご飯に、冷や麦に。食欲の落ちる真夏にピッタリの郷土料理。後日、味変で青紫蘇を増し、山椒の実の塩漬けを足しました。ビリビリしびれて美味です。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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つかの間の晴れ間に茶臼山山系へ。ハンミョウ、シオカラトンボ、オオアオイトトンボ、ハラアカヤドリハキリバチ(妻女山里山通信)

2022-08-27 | アウトドア・ネイチャーフォト
 週末は雷雨で荒れた天気と予報が出たので、晴れ間が期待できる金曜日の午前中に茶臼山へ。前回撮影したブルービー(ナミルリモンハナバチ)の場所へ行ってみましたが、吸蜜できるノアザミがすべて残花になっていました。他の場所も見ましたが現れませんでした。諦めてハンミョウの生息地へ向かいました。

 いました。前回はたった1匹でしたが、7、8匹に増えていました。9月に入るともっと増えるでしょう。ハンミョウ(斑猫)はナミハンミョウともいい、コウチュウ目オサムシ科のハンミョウ科の甲虫です。大きな複眼と鋭い大顎が目を引きます。動作は機敏で、アリや蛾などの小型の昆虫を捕らえて食べます。成虫は夏の終りに羽化し、冬は土中で集団越冬します。そして、翌春に交尾産卵をします。

 その美しさとは裏腹に、見るからに凶暴そうな牙を持っています。人の気配ですぐ逃げるので、撮影は困難を極めます。こんな風に前方から撮るのは至難の業です。撮影方法は、追いかけるのではなく、ハンミョウがいる場所にしゃがんで石になり、向こうが近づいてくるのをひたすら待つのです。撮影の際も、なるべく腕も動かさない様にすることです。

 ハンミョウの幼虫も大きな顎を持ち、穴の中に隠れて獲物を襲い体液を吸います。食べ終えた昆虫は巣の外に捨てます。それをアリや他の昆虫が食べます。幼虫の期間は、1年から2年。

 近づくとすぐに逃げて1mぐらい先に止まります。これを繰り返すので「道教え」とか「道しるべ」とかいわれますが、撮影しようとすると逃げまくるので非常に厄介な被写体です。

 シャープネスを上げてみると、翅はツルツルではなく、細かな凹凸があることが分かります。この後、日が陰ってきて姿を消しました。河原や街の公園でも見られることがあるので探してみて下さい。

 シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)。腹部の第8節が横に膨らんでいるのでメスです。

 オオアオイトトンボ(大青糸蜻蛉)。イトトンボの仲間はたくさん見られました。

 ミズヒキ(水引)タデ科イヌタデ属の草本。まだつぼみです。同じ頃に咲くヘクソカズラは万葉集に詠まれていますが、ミズヒキはない様です。

 キンミズヒキ(金水引)バラ科キンミズヒキ属の多年草。タンニンを多く含み、下痢止めなどの薬草になるそうです。

 ツチカブリがたくさん出ていました。ベニタケ科チチタケ属。そっくりなキノコに、ツチカブリモドキ、シロハツ、シロハツモドキ、ケシロハツ、ケシロハツモドキがあります。シロハツだけ乳液が出ず食菌とありますが、食べない方がいいでしょう。

 コバノガマズミの赤い実。昨年はガマズミ酒を作り損なったので、今年は作ろうと思っています。酸味があり、抗酸化作用があり、老化防止になるそうです。ジンに入れて蜂蜜を加えて飲みます。

 ツリフネソウ(釣船草、吊舟草)ツリフネソウ科ツリフネソウ属に分類される一年草。妖艶な花です。花言葉が「私に触らないで!」というのもなんだか意味深。ホウセンカの仲間なので、触ると種がはじけ飛ぶという特徴があることに由来するのでしょう。学名をImpatiens noli-tangereといいますが、意味は「耐えきれない!私に触れるな」です。

 ヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇目)チョウ目タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科。すぐ逃げます。

 他には目ぼしい被写体がいないので、久しぶりに茶臼山自然植物園の最上部に行ってみました。吸蜜中のキアゲハ。ちゃんと止まれない様で、ホバリングしながら吸蜜。

 吸蜜されている花は、フサフジウツギ(房藤空木)ゴマノハグサ科フジウツギ属。「ブッドレア」の名称で園芸用に流通している中国原産の低木です。

 ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)のメスも吸蜜中。タテハチョウ科ドクチョウ亜科ヒョウモンチョウ族。

 ハナトラノオ(花虎の尾)北アメリカに分布するシソ科カクトラノオ属の多年草。吸蜜するのは、ハラアカヤドリハキリバチ。吸蜜は、体全体をほぼ花の中に潜らせてしていました。オオハキリバチという別の種類の蜂の巣に卵を産み付けるという珍しい習性を持ったハチで、幼虫はオオハキリバチの幼虫の餌を食べて成長していきます。ルリモンハナバチと同じ様な、「労働寄生蜂」です。

 ムクゲ(木槿)アオイ科フヨウ属の落葉樹。庭木でもよく見られますが、夏の茶花として有名です。右になにか小さな虫がいますがなんでしょう。ヨコバイの幼虫でしょうか。不明です。

 日傘をさしたご婦人たちやご夫婦が来ていました。動物園左の道を入って行くと、植物園の大きな駐車場があります。そこから登って15分ぐらいで来られます。藤棚もあって、日陰のベンチでお昼を食べるのもおすすめです。いつの間にかすっかり雲に覆われてしまいました。週末は天気が悪そうなので、北信の郷土料理「やたら漬」を作ります。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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ナミルリモンハナバチを求めて三度目の茶臼山山系へ。邂逅は無理かなと思いました。ナツアカネとアカヤマドリ(妻女山里山通信)

2022-08-21 | アウトドア・ネイチャーフォト
 秋晴れの金曜日。最低気温は19度で窓を開けては寝られません。最高気温は30度ですが、湿度は34%。お盆をすぎると信州は涼しくなるのは、猛暑でもその通りでした。ブルービーを求めて茶臼山へ。気温は22度でした。しかし、待っても待っても現れません。今日は無理かなと思いました。

 アオイトトンボ(青糸蜻蛉)アオイトトンボ科アオイトトンボ属。胸に白い粉をふいています。

 2つ前、3つ前の記事の時より個体数がかなり増えていました。

 メタリックな輝きが美しい。細い草の茎にしがみついているのが可愛い。

 ナツアカネ(夏茜)のオス。胸から顔まで真っ赤になります。メスの方がたくさん見られました。細い赤唐辛子の様です。

 ツバメシジミ(燕小灰蝶)チョウ目シジミチョウ科。後翅にある尾状突起が特徴。たくさん見られました。実は我が家の庭にも普通にいます。

 オオカマキリ(大蟷螂)。この後、振り向いて睨みつけられました。大抵の昆虫を食べますが、共食いやトカゲなどに食べられます。メスに食べられるのも有名ですね。

 バッタを発見。でも変ですね。左の後ろ脚が無い。カナヘビかトカゲに襲われたのでしょうか。鳥なら全部食べられているでしょうから。バッタはに同定が難しいのです。セグロバッタでしょうか。検証中です。近くで青灰色の似たバッタも確認しました。翅のないフキバッタは、地域により変異が大きく、これも難しい。

 恥ずかしがり屋というか、チョコチョコ舞って撮影させてくれないのは、ヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇目 )。藪山を歩いて複数の現場で1時間半ねばったのですが。ブルービーは現れません。今日は邂逅できないかな。帰ろうかなと思いました。

 突然、足元をブルービーが飛んでいきました、しかも2匹。葛のツルに足をとられながら吸蜜するノアザミへ。今回は連写モードにしておきました。それでも前回より動きが速い。高速連写にすべきだったと思いながら撮影。

 大きな眼が可愛い。それにしても気温が下がって湿度も低くなったためか、動きがもの凄く速い。とんでもない集中力が必要。撮影中はずっと息を止めています。

 2匹いたのですが、どっちがどっちか分かりません。撮影地は分からないようにしていますが、分からないでしょう、というかそこまで行けないと思います。

 ノアザミは茶臼山山系のあちこちにあるし、ブルービーが吸蜜するのもノアザミだけではありません。ここから数百メートル離れた場所でも目撃しています。おそらく別の個体でしょう。とすると、茶臼山山系や西山一体には、かなりの数のルリモンハナバチが生息していることも考えられます。長野県では準絶滅危惧種に指定されています。

 ルリモンハナバチの記事は、「労働寄生」の生態など、2つ前と3つ前の記事にも掲載しているのでご覧ください。その不思議な生態が、調査を難しくしているのです。
 「幸せを呼ぶ青い蜂」と呼ばれるナミルリモンハナバチ。さて、どんな幸せを運んできてくれるでしょうか。

 ボタンヅル(牡丹蔓)キンポウゲ科センニンソウ属。センニンソウと似ていますが、切れ込みのある葉とやや花が小さいので区別が付きます。やや黄色っぽいのも特徴。妻女山山系では、センニンソウがブライダルブーケの様な華やかに咲く様が見られます。小さな甲虫が来ていました。

 アカヤマドリ。優秀な夏の食菌ですが、虫が入りやすい。これも軸は虫だらけ。傘をプロバンス風のオムレツにします。チチタケも採れたので、信州丸茄子と炒めてアゴ出汁の汁で素麺を食べます。絶品です。

 藪こぎしてやっと車に戻りました。涼しくなったとはいえ、藪山を歩き回るのは疲れます。左に冠着山(姨捨山)。右奥に塩田平方面の山々。

 帰りに見る北アルプスの白馬三山。さすがに疲れました。下山して温泉へ向かいます。
 ホームグラウンドの妻女山山系も気になるのですが、ここのところピンポイントで豪雨に見舞われました。林道入口の雨水を横へ流す溝切りも土砂で埋まったので、ヤマグワで取り除きましたが、たった15分程度の作業でボコボコに刺されました。林道の状況や倒木も気になりますが、車ではとても登れないのと、クロメマトイや藪蚊、アブなどの襲撃がもの凄く徒歩で登るのも躊躇します。気温が下がった晴れ間に登ってみようとは思っているのですが。まあ、毎年8月下旬はこんな感じです。センニンソウは満開だと思います。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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山田牧場キャンプ場で2泊3日のオートキャンプ。笠岳登山も。アサギマダラに邂逅(妻女山里山通信)

2022-08-14 | アウトドア・ネイチャーフォト
 息子達が11日から13日の休みに信州の高山村の山田牧場でのオートキャンプに誘ってくれました。昔は妻の協力もありましたがほぼ全部私がプランニング。運転も私なので大変でした。今回は楽ちんです。料金など詳細は、ヤマボクグリーンサイトのホームページで。

 現地集合で、まずテントサイトを設営します。ちょっとすったもんだで設営完了。標高1500mなので、直射日光はきついですが気温は低く快適です。真夏の信州の高原は最高です。

 下山して小布施のツルヤで食材を調達。蕨(わらび)温泉に入りました。長男が1歳に家族で来た以来。変わっていたのは目の前の斜面がホップ畑だったのに耕作放棄地になっていたこと。これは悲しいです。山田温泉のスパ・ワインセンター(上の写真)でトロナスとかを購入。

(左)途中に信州人のソウルフード、テンホウの餃子を購入。緑色が野沢菜漬け入り、黄色が鹿肉入り。馬鹿旨です。(右)砂肝を切れ目を入れてシシトウと塩ニンニク炒め。馬鹿旨です。

 夕方5時ぐらいから宴会の始まり。アブやギンヤンマ、赤とんぼが飛び交っているのですが、ヤブ蚊がいないのが幸い。赤とんぼがたくさんタープのひもに止まります。夕方は降雨もなくゆるゆると夕餉の時間が過ぎていきました。息子達の趣味は、私が自然や山や生物、登山や自転車、クラシックやジャズ、アイドルと、グルメと幅広かったので、ちゃんと影響を受けて継承発展させてくれています。今は勉強になることもたくさんあります。

(左)ニタリクジラの刺し身。生姜醤油で。美味です。(右)空也上人 空也(くうや)は、平安時代中期の僧。阿弥陀聖(あみだひじり)、市聖(いちのひじり)、市上人(いちのしょうにん)とも称される。「南無阿弥陀仏」を唱えるとそ の一音一音が阿弥陀仏になったという伝説を彫刻化しています。次男が買い求めたもの。それと長男のランクルのラジコンカー。
東京国立博物館 特別展「空也上人と六波羅蜜寺」

(左)メインディッシュはキーマカレー。ひき肉、トマト、玉ねぎ、辛くない唐辛子を炒めて。エスビーのキーマカレーパウダーで炒めてできあがり。(右)ミニナンに乗せていただきます。クミンがすごく効いて本格的な味。これは家でも作りたい。信州のBBQというと、まずジンギスカン、信州牛、信州軍鶏、鹿猪のジビエとなるのですが、今回はその斜め上を行きました。個人的には旬の鮎を食べたかったのですが、いい鮎がありませんでした。信州サーモンもおすすめです。

 ご当地ビールや、次男が買ってきた秋田の香り高い吟醸酒でゆるゆると夜が更けていきます。気温は18度ぐらいで冷風が吹くのでジャケットを羽織りました。

 当夜は満月の一日前でした。9時過ぎに就寝。翌朝はトマトパスタで朝食後、笠岳へ向かいました。

(左)ソバナ(岨菜、蕎麦菜)キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草。 昔、飢饉のときに蕎麦の代用品として主食同様に用いられたそうです。(右)キツリフネ(黄釣船)ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草。妻女山では9月上旬に見られます。

 笠岳(2075.9m)。志賀高原のシンボル。国土地理院の表記では笠ヶ岳ですが、地元では笠岳と呼びます。分かりやすい山容は、妻女山展望台からも見えます。左の笠岳峠の茶屋手前に10台ほどの駐車スペースがあります。登り35分、下り25分が目安です。山田牧場からは、車で20分。峠を超えて行くと、熊の湯、渋峠、横手山方面へ。

(左)そしてヒカゲノカズラ(日陰鬘、日陰蔓、日陰葛)。胞子は石松子(せきしょうし)といい、薬用や果物などの人工授粉剤として用いられます。古生代のシダ植物の生き残りともいわれています。
『古事記』の天の岩戸で天宇受売命(アメノウズメノミコト)がたすきがけにしていたのが日陰葛(日影葛)といわれています。古代から注目を集めていたようで、万葉集には下記の四首があります。
「斎串立て 御瓶据ゑ奉る 祝部が うずの玉かげ 見ればともしも」
「あしひきの 山かづらかげ ましばにも 得がたきかげを 置きや枯らさむ」
「見まく欲り 思ひしなへに かづらかげ かぐはし君を 相見つるかも」
「あしひきの 山下ひかげ かづらける 上にやさらに 梅をしのはむ」

(右)ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)キク科ヒヨドリバナ属。アサギマダラが吸蜜に訪れます。

 山容を見て分かるように急登続きです。短距離ですが、ちゃんとした登山の装備で。花は、ホツツジ、ノリウツギ、コキンレイカなどが見られました。コケモモやシャクナゲ、イワカガミも咲くそうです。

 笠岳山頂。見晴らしは抜群です。長野盆地方面がよく見えます。左手には万座方面や嬬恋も。

 山頂から菅平の大松山。高原野菜のマルチが光っています。鏡台山と聖山は拙書でも載せています。雲がなければ、北アルプスの大パノラマが見えたでしょう。

 長野盆地方面の眺め。千曲川と犀川の合流地点が見えます。右に北アルプスの稜線が顔を出しました。

 東方には横手山(2305m)。山頂は雲の中。日本海と太平洋の分水嶺です。日本一高いところにあるパン屋さん「横手山頂ヒュッテ」が有名です。2002年に家族で渋峠からリフトで登った時はすごい行列でレストランには入れず、パンを買って食べた思い出があります。帰りのリフトで初めてニホンカモシカを見ました。

(左)イタドリ(虎杖)タデ科の多年生植物。東京の野川や里山でも普通に見られます。別名スカンポとも呼ばれる山菜の一種で、薬草でもあります。(右)運転を任せられるのは大きい。

 アサギマダラだというので止めてもらい撮影。散歩途中のご夫婦がきれいな蝶ですねと言うので、2000キロも海を超えて渡ってくる蝶なんですと説明しました。群れは見られませんでしたが、あちこちで目撃しました。拙書にも載せた米子大瀑布から根子岳、四阿山、浦倉山のカルデラ一周23キロ10時間のコースでは、浦倉山から下った水場で、数十頭のアサギマダラと邂逅しました。

 シロバナシナガワハギ(白花品川萩) 中央アジア原産の帰化植物。別名は、こごめはぎ(小米萩)。牧場脇の道路沿いにありました。アカツメクサとか牧場は帰化植物が侵入しやすいのです。

 下山して山田牧場へ。冬はヤマボクワイルドスノーパーク、スキー場になります。息子達は数え切れないほど滑りに来ています。里ではツバメがほとんど見られないのでどこに行ったのだろうと思っていましたが、山田牧場にたくさんいました。ツバメも猛暑で避暑に来ていたんですね。

(左)昼食は、手作りチーズ工房のある見晴茶屋へ。長男が1歳の頃、ここのソフトクリームを食べました。(右)息子達が頼んだのは、焼きチーズ牛丼。味噌汁にキュウリの漬物とキャラブキがつきます。けっこうボリュームがあります。

(左)私はホエー(乳清)キャラメルピザを。酸味が美味しい。他には焼きチーズカレー、夏限定の手こねチーズパンやポテトのチーズ焼きなども。夕食用に焼きとうもろこしを買いました。(右)牧場の牛。昔に来た時には、ジャージー牛がいて、そのソフトクリームを食べました。

 牧場の記念碑の脇に咲くコオニユリ(小鬼百合)。根茎が美味しいので、食用にも栽培されています。これの百合根は本当に美味しいので、私も栽培したい。そして、温泉は中野のポンポコの湯へ。ここはサウナがあるので二回入りました。疲れも飛びます。中野の綿半スーパーセンターで買い物をして戻りました。

 キャンプ場に戻りました。テントサイトは、一番低いここと入口近くのキャンピングカー専用サイト、更に上の音楽ホールのあるサイトと3箇所。水場とトイレはそれぞれにあります。夜にタヌキが出るので、食べ残しやサンダルを出しておくと持ち去られます。5、6月には熊が出ることもあるそうです。平らに見えますが、けっこう凸凹なので最低地上高が低い車は要注意です。また、入り口へは相当な急坂なので、4WDがベストです。

(左)トロナスの焼きなす。麺つゆをかけていただきました。(右)正式名称は忘れましたが、パープルポテトとレッドポテト。味はキタアカリにはかないませんが、美味しいです。塩とマヨネーズで。塩辛があったらベストでした。

(左)ベビーホタテをどうしようと。結局私が五香粉(ウーシャンフェン)、中華出汁ペースト、ニンニク、生姜、胡椒でごま油で炒めました。これがビンゴ!入れてないのにXO醤炒めの様な味に。豆板醤があったらベストでしたね。(右)今回は揖保乃糸の冷や麦。麺つゆは綿半で吟味の末、マルヱのあごだしつゆに。3人ともアゴ出汁が大好きなので、これは大正解でした。左のホタテと一緒にいただくと、ちょっと不思議なエスニック冷や麦に。

 鯵の干物とか、お腹もいっぱいで夜は更けていきます。昨夜と違って台風の影響でしょうか、空は曇って月も星も見えません。この夜は近くでタヌキの鳴き声が数回聞こえました

 最終日の朝、昨日の車がかなり去って新しいクルマが増えています。5時起床で、エスビーのサバ缶のパスタソースでスパゲッティ。これ馬鹿旨でおすすめです。その後、テントを撤収して息子達とは別れて帰路につきました。

 マルバダケブキ(丸葉岳蕗)キク科メタカラコウ属の多年草。 蝶は吸蜜に訪れますが、鹿が食べないので山によっては大きな群生地を作ります。もちろん人間も食べられませんが薬草になります。他には、コバノギボウシやシシウドも咲いていました。キベリタテハが舞っていました。

 八滝(やたき)。山田温泉の10分ほど上流にあります。八段になって流れ落ち、総合落差は180mで、長野県一位。滝に日が当たるのは正午前後。この下には超有名な雷滝があります。2002年には家族で訪れました。それより以前に訪れた時は、手すりがなくスリリングな滝でした。滝の真裏を通れるのが人気です。帰って地元の温泉へ、昼はあんず店で大きな紅ズワイガニがなんと990円。マリンドリーム能では2000円はするものです。一番重いのをゲット、それと枝豆でランチを楽しみました。心配した台風は、北信はほとんど降雨も強風もなく平穏に済みました。旧盆は、信州丸茄子のおやきを作ります。

 信州は広いので各地でお盆の風習が異なります。旧埴科郡では、13日には夏野菜の天ぷらに塩イカの天ぷらが定番。加えてキュウリの粕もみなどを。ご先祖様に内緒で刺し身を食べたりします。明けて14日は信州丸茄子のお焼きを作るのが習わし。くっつかないようにミョウガの葉で包むのが定番ですが、写真の様に紫蘇の葉で包むのを考案したのは祖母でした。我が家ではそれが定番となり、母から妻まで継承され、子供達もこの味で育ちました。これは市販されていないと思います。また、ごま油、砂糖、塩を練り込んだ渦巻きかりん糖を作るのですが、これは中国の麻花兒(まーふぁーる)が元になっていると考えられます。ナスのおやきは、できたても美味しいのですが、余ったものを冷蔵庫に入れて翌日に冷え冷えのものも馬鹿旨なのです。付け合せは刻んだミョウガ。じつはミョウガは、ワラビ、ゼンマイ、フキと共に発ガン物質を含んでいます。薬味程度なら問題ありませんが、過食常食は問題です。漬物にするときはアク抜きをしましょう。
信州の夏の郷土料理。丸茄子(小森ナス)のおやき。伝統野菜を守れ!(妻女山里山通信) :ナスのおやきのレシピ

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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「幸せを呼ぶ青い蜂」ブルービー(Blue Bee)を求めて再び茶臼山へ。白粉の匂いのクサギの花(妻女山里山通信)

2022-08-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 9日ぶりにに茶臼山へ。最高気温が36度の予報でしたが、実際は37.5度。まさに酷暑。10時過ぎの現場は31度でしたが、前回とは暑さが段違い。湿度は低めですが発汗が凄い。またまた厳しい状況での撮影となりました。前回のアザミは残花に。これは無理かなとあちこち探して、やっと満開のノアザミを発見。しかしいません。仕方なく、他を探して再び戻ると!

 いました。でも花が小さく蜜も少ないのでしょうか、動きが速く追いきれないほど。連写モードに切り替えて撮影しました。カメラマン泣かせの蜂です。

 ナミルリモンハナバチについて、もう少し記しておこうと思います。ナミルリモンハナバチ(波瑠璃紋花蜂)は、学名をThyreus decorusといい、ハチ目ミツバチ科の昆虫です。成虫の体長は雄10~13mm、雌11~14mm。分布は、日本(本州・四国・九州・大隅諸島)・台湾・東南アジア・中国・朝鮮半島・極東ロシアということなんですが、本州でも確認されているところはごく僅かです。ルリモンハナバチ(瑠璃紋花蜂)ともいいます。

 前回も書きましたが、「労働寄生」をする蜂として知られています。他の巣に卵を産み付けて子育てを任せてしまうという実に要領のいい蜂なのです。寄生された蜂は、自分達の子供ではないと気づかずに餌をやり育てます。労働寄生の対象となる花蜂は、コシブトハナバチ類(スジボソコシブトハナバチ)やケブカハナバチ類と言われていますが詳細は不明です。

 生息地の消滅や減少、宿主の生息や蜜源の減少により個体数が著しく減少しており、絶滅危惧II類に指定されています。昆虫が大好きという人も、ほとんど邂逅した人はいないと思います。環境省のレッドデータブックでは、長野県は情報不足となっています。これは大発見かもしれません。秋まで見られるそうなので、追いかけたいと思います。

 キアゲハ(黄揚羽、黄鳳蝶)が草に引っかかってバタバタしていました。イギリスからユーラシア大陸を経て、アラスカまで広く分布する蝶です。アゲハは森林性、キアゲハは草地を好むので、妻女山や茶臼山の里山で見られるのはほとんどキアゲハです。幼虫はセリ科の植物を好むので、農家にとっては害虫ですけれどね。

 クモガタヒョウモン(雲形豹紋)。翅の裏がこんな風にモヤモヤしているのはクモガタヒョウモンだけなので間違いないと思います。ノアザミの残花で吸蜜中。

 ナキイナゴ(鳴稲子)バッタ目 バッタ科 ヒナバッタ亜科。今止まっている草が餌です。シャカシャカと鳴きますが、YouTubeにいくつかアップされています。

 オオアオイトトンボ(Lestes temporalis)。水面に覆いかぶさった枝の樹皮に産卵し、羽化した幼虫は水面に落下します。なので溜池の多い茶臼山で見られますが、妻女山では見られません。妻女山ではハグロトンボが見られ、撮影したことがあります。

 それよりやや小型のアオイトトンボ(Lestes sponsa )。やや小型で眼が青いので見分けが付きます。ただ細いので見失うと見つけられないこともしばしば。第9,10腹節が白く、胸にも白い粉がふくのが特徴。

 ジョロウグモ(女郎蜘蛛)。女郎蜘蛛はメスが大きくオスは驚くほど小さいのです。
オスがメスより小さい理由:クモの研究

 キボシアシナガバチ(黄星脚長蜂)スズメバチ科。巣の幼虫がいる部屋の蓋が鮮やかな黄色なので見分けが付きます。青虫を団子にして幼虫に与えます。ハチに刺された時のために、ポイズンリムーバー(毒抜き)は買って携帯しましょう。

 キンミズヒキ(金水引)の花が咲き始めました。下痢止めや胃腸の民間薬です。小さな果実は円錐形は棘があり、引っ付き虫のひとつです。

(左)ヒメヤブラン(姫薮蘭)。(右)なんのきなしに撮影したのですが、ウツボグサの葉でしょうか。花はほぼ咲き終わっています。

 ワレモコウ(吾亦紅、吾木香、吾妹紅)バラ科ワレモコウ属。別名には酸赭、山棗参、黄瓜香、豬人參、血箭草、馬軟棗、山紅棗根などたくさんあります。上から咲き始めています。キンミズヒキと共に、初秋を感じさせる植物です。
「老いを忘るる菊に、おとろへゆく藤袴、ものげなきわれもこうなどは・・・」源氏物語 42『匂宮(匂兵部卿)『吾亦紅・ワレモコウ』

 ワラビ(蕨)。根茎を使ったわらび餅は、高給和菓子ですね。ワラビは発がん物質を含むので動物は食べません。ワラビ、ゼンマイ、フキ、ミョウガは発がん物質を含むので、ちゃんとアク抜きを。また過食は禁物です。

 クサギ(臭木)クマツヅラ科 クサギ属。果実は染料、若芽は食用、根は薬用となります。花は昔の白粉の様な匂いがします。臭木といいますが、葉を千切るとピーナッツバターの様な匂いがします。秋になると紺色の実を付け、羽つきの羽の様な形になります。

 まだ蕾も多いので満開はこれからです。満開になると、芸者さんの休憩室のような匂いになると思います。行ったことありませんが。昔、戸倉上山田での新年会で芸妓さんを呼んだことがありました。

 帰りに茶臼山自然植物園に寄ってみました。眼下は篠ノ井市街。奥は千曲川の向こうに松代の城下町。根子岳や四阿山が霞んでいます。あまりの暑さに頭がクラクラしてきました。とりあえず温泉へ向かいます。
 前の記事で書いた様に、妻女山山系でアカボシゴマダラが発見されたことは、非常に深刻な問題です。私は捕虫網を持たないので捕獲処分ができませんが、考えなければならない重大な要件ととらえています。更に、千曲市の猛毒ネオニコチノイド系空中散布が中止されたにも関わらず、ここ数年昆虫全般が減少し続けていることが、原因が分からず非常に深刻な問題なのです。昆虫が絶滅したら農業は不可能です。昆虫の絶滅の次に訪れるのは、人類の絶滅です。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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妻女山と茶臼山。アカボシゴマダラ、オオアオイトトンボ、アオイトトンボ、オツネントンボ、モノサシトンボ、ナミルリモンハナバチ、ルリチュウレンジ(妻女山里山通信)

2022-08-01 | アウトドア・ネイチャーフォト
 週末は、前週と同じく土曜日に妻女山へ。日曜日に茶臼山へ。両日とも最高気温が35度と、非常に厳しい撮影環境になりました。山上は、4〜5度低いのですが、森の中は湿度が100%近く。クロメマトイ、ヤブ蚊やアブも取り付きます。集中して撮影するには非常に厳しい環境ですが、絶滅危惧種に指定されているところもある、幸せの青い蜂・ブルービーに出会うという奇跡。素晴らしい発見もありました。

 妻女山へは前回と同じく歩きで登ると、長坂峠のクヌギの樹液バーでとんでもないものを発見してしまいました。特定外来生物のアカボシゴマダラ。国立環境研究所のサイトによると、「“放蝶ゲリラ”による人為的な放蝶によると考えられている。」とあります。タテハチョウ科は、植物防疫法で検疫有害動物に指定されています。ゴマダラチョウやオオムラサキと競合するので、それらの減少を招く危険性があります。90年代に誰かが中国から持ち込んだと考えられますが、生態系を破壊する犯罪行為です。左はコガタスズメバチ。

 ハルジオンで吸蜜するのは、もしかしてニホンミツバチでしょうか。複眼が面白く写っています。茶臼山の山村では、ニホンミツバチを飼っている方を知っていますが、妻女山山系では、千曲市のネオニコチノイド系農薬の空中散布で絶滅したと思っていました。復活したのなら非常に嬉しいのですが。

 ウワミズザクラ(上溝桜)のサクランボ。黄色から熟すと朱色、赤紫。黒と変化します。ほろ苦甘く、果実酒ができますが、樹も高く実が小さいのでたくさん集めるのが大変です。

 翌日の茶臼山での撮影です。第10腹節だけが白いので、オオアオイトトンボでしょうか。イトトンボの仲間はけっこう見分けが難しいのです。アオイトトンボより少し大型です。水面におおいかぶさった木の樹皮に産卵する習性があるため、茶臼山では溜池の周辺で見られます。

 第9,10腹節が白く胸側も白いので、アオイトトンボでしょう。アオイトトンボ科アオイトトンボ属。

 これは難しい。アオイトトンボ科オツネントンボ属に属するイトトンボの一種、オツネントンボ。産卵期以外は水辺ではなく森にいるそうです。そのためなかなか目にすることがないトンボだとか。成虫のまま越冬する数少ないトンボ。そのため「越年(おつねん)トンボ」と呼ばれます。

 モノサシトンボ。モノサシトンボ科モノサシトンボ属。文房具の物差しの様にメモリが入っているトンボ。細くて黒い部分が多いので目立たなく、見つけにくいイトトンボです。

 ノアザミ(野薊)に青いハナバチが。ナミルリモンハナバチ(波瑠璃紋花蜂)ミツバチ科ルリモンハナバチ属。以前下にある茶臼山自然植物園で見かけたのですが、すぐに飛び去ってしまい撮影できませんでした。「幸せを呼ぶ青い蜂」といわれ、ブルービー(Blue Bee)」の愛称を持ち、非常に希少な種で絶滅危惧種に指定されているところもあります。

 特徴の一つに「労働寄生」があります。 他の花蜂の巣に侵入して卵を産み付け、幼虫は宿主が保存する餌を横取りして成長するもので、労働寄生の対象となる花蜂は、コシブトハナバチ類やケブカハナバチ類と言われていますが詳細は不明です。

 とにかく吸蜜の時間が短く頻繁に位置を変えるので撮影が大変でした。

 たった数十秒の非常に短い邂逅でしたが、やっと出会えて撮影できて、非常にラッキーでした。画像検索してもほとんど出てこないので本当に貴重な出会いでした。

 近くにナミルリモンハナバチより小さなラピスラズリの様に輝く昆虫がいました。ルリチュウレンジ(瑠璃鐫花娘子)というハバチ(葉蜂)です。これも初めて撮影しました。瑠璃色をした雌の成虫が花の茎を彫って卵を産み付けることからの命名とか。幼虫の食草はツツジ類。撮影中に腕にヤブ蚊が止まるのです。でも撮影のために我慢します。ヤブ蚊に献血です。

 サキグロムシヒキのメス。捕らえたのは小さな蛾。体液を吸います。時には自分より大きな昆虫も捕まえます。

 ノアザミの花を巡って小さなハナアブ二匹が場所取りの戦いをしていました。結局左の個体が右のを排除しました。左は不明ですが、右はヒラタアブの仲間だと思います。

 胸の横の模様と腹部の色から、未成熟のアキアカネだと思います。秋には里山だけでなく里でも群舞が見られます。

 撮影は、20分ごとに車に戻ってエアコンを入れルイボスティーを飲んで小休止の繰り返し。2時間ほどで信里小の上の駐車場に戻りました。そこから南の風景。千曲市や坂城町、上田市の塩田平方面です。

 今回もチチタケ(チタケ)を採りました。この後にもう1本。前回同様にナスと炒めて汁に。前回は鰹と昆布出汁でしたが、今回はアゴ出汁とダシ粉で。こちらの方がチチタケに合ってますね。冷やして素麺でいただきました。やや薄味にしたので、汁まで飲み干す旨さでした。汁がもう一回分あったので翌日は冷たい蕎麦に冷たい汁をぶっかけて。馬鹿旨。チチタケは本当に美味しい出汁が出ます。

 世界三大猛毒キノコのひとつドクツルタケ。小さめですが、2,3人分の致死量の毒があります。最近話題の触っても駄目なカエンタケと違い触るのは問題ありません。触ったら手を洗って。

 下って茶臼山自然植物園へ。展望台下の斜面の花もほとんど終わりました。よって昆虫もあまりいません。かわりにコウロギやキリギリスが鳴き出しましたが、草むらの中で見えません。セミは鳴いていますが、ヒグラシとツクツクボウシぐらいで数も少なめ。アブラゼミやミンミンゼミの鳴き声は聞こえません。今年はカッコウやホトトギスも鳴かなかったし、ツバメの飛来もほとんど見られません。

 探すとコミスジが葉の上で休憩中。そうっと撮影しました。暑すぎて昆虫もいないので温泉へ向かいます。オオムラサキやスミナガシはどこかでお休み中。

 茶臼山動物園の出口付近から妻女山方面の眺め。妻女山や象山から鏡台山までの峰を戸神山脈といいます。その大嵐山の右を森の平といい、川中島の戦いの時に、向こう側の西条から武田別働隊が越えたという言い伝えがあります。一旦、倉科に下りて兵馬(ひょんば)で隊を整え、天城山の向こうの二本松峠から陣場平、斎場山、妻女山(当時は赤坂山)へ攻め込んだということです。上杉軍は既に山を降りて雨宮の渡しへ。すでにもぬけの殻でしたが霧が晴れて、お互い本当は望まない大合戦になりました。菅平高原の大松山山頂付近からはこちら側がよく見えます。同定している山は、すべて拙書で紹介しています。眼下は篠ノ井の市街地。15分に1回は水分を補給しないと脱水症状になります。塩分やミネラルの補給も必要です。味噌きゅうりがおすすめ。 

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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