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50億年後、太陽が一生を終えると何が起こるの?

2018年06月16日 | 太陽の観測
約50億年後に太陽が寿命の終わりを迎えると何が起こるのでしょうか?

これまではっきりと明らかになっていなかったこの疑問。
どうやら暗い惑星状星雲が形成されるらしいことが最新の研究から分かってきたようです。


太陽質量の数倍以下の恒星が一生を終えると惑星状星雲になる

質量が太陽の数倍程度以下の恒星が寿命を迎えるとガスやチリの外層を放出します。

そして放出された外層部分は、後に残った高温の中心核に照らされて輝いて見えることになり、これを惑星状星雲と呼びます。

惑星状星雲のなかには数千万光年彼方にあっても見えるほど明るいものもあるのですが、この距離は惑星状星雲になる前の恒星であれば暗すぎて見えないほど遠くになります。
惑星状星雲“Abell 39”
ヘルクレス座の方向約7000光年の距離に位置する惑星状星雲“Abell 39”。
直径は約5光年、殻の部分の厚さは約3分の1光年になる。


太陽は見ることができる惑星状星雲へ

太陽もあと約50億年ほどすると一生を終えるとみられているのですが、最終段階がどうなるのかははっきりとは分かっていないんですねー

ただ、これまで考えられてきたのは、「太陽は軽すぎるので見ることができるほど明るい惑星状星雲にはならない」っということでした。

今回、ポーランド・ニコラウス・コペルニクス大学と英・ジョドレルバンク天文台の研究チームが行ったのは、恒星のライフサイクルを予測するモデルを新たに開発し、異なる質量や年齢の恒星から放出された外層の明るさを推測する研究です。

このモデルによると、外層を放出した後の星は従来のモデルに比べて3倍も速く温度が上昇することに…

その結果分かったことが、太陽のような低質量星でも、これまで考えられてきたよりもはるかに容易に明るい惑星状星雲が形成できるということでした。

研究チームの計算によると、太陽の質量は暗いながらも見ることが出来る惑星状星雲を作り出す下限近くで、太陽よりも数パーセント軽い星では惑星状星雲は見えなくなるそうです。

さらに、今回のモデルは約25年前に発見された観測事実の説明につながることになります。

観測から、様々な銀河に存在する惑星状星雲のうち最も明るいものの本来の明るさはどれも同じであることが知られています。

このことが示しているのは、太陽のような低質量星からも明るい惑星状星雲が作られることです。

でも、従来のモデルによる理論では、太陽の2倍程度より軽い星から作られる惑星状星雲は暗すぎて見えないと考えられています。

そう、今回の新しいモデルにより、この矛盾が解決できたんですねー

今回の研究により、観測が難しい遠方銀河内にある数十億歳の星の存在を調べる方法が見つかりました。

さらにもう一つ見つけることができたのが、太陽が一生を終えると何が起こるのか? という疑問の答えなんですね。


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