長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

399. アオガエルの鳴く真冬 

2020-02-08 16:22:12 | 野鳥・自然
今シーズンは初冬から「暖冬」と報じられてきた。近年、こうした冬が多い。生物の世界でもこうした気候の変動と伴っての変化が時折観察されている。モンシロチョウが真冬に羽化して飛んでいたり、本来ならば南の地域に移動する野鳥が日本列島に留まっていたり、冬に花を咲かせるはずのない樹木や草本の花が咲いたり…。今回は工房の近所でのこうした生物の話題である。

先月の29日の朝、工房に入り、版画の制作に入った頃である。窓から見える斜面林の方向から何やら生き物の声が聞こえてきた。「クリリ・クリリ…クリリ・クリリ…」始めはルリビタキなど越冬のヒタキ科の野鳥の鳴き声かと思っていた。窓から顔を出して耳を澄ましてよく聴いてみた。ヒタキの声にしては何か違う…。よく聴いていると2-3か所で鳴いている。その時にピンときた「これは…シュレーゲルの声だ!間違いない」。シュレーゲルとは里山に生息するシュレーゲルアオガエルというカエルのことである。スマホで検索し声を確認するとそのまんまであった。

シュレーゲルアオガエル(Rhacophorus schlegelii)は両性網カエル亜目アオガエル科に分類される日本固有種のカエルで体長は3-5㎝、本州、四国、九州とその周辺の島々に分布するが対馬にはいない。同じ環境に棲むアマガエル科の二ホンアマガエルに外見が似ているがより大型であること、鼻筋からか目、耳にかけての暗褐色の線がないこと、声がアマガエルでは「ゲッゲッゲッゲッゲッゲッ…」と鳴くことなどから区別できる。どちらかというと同じアオガエル科のモリアオガエルの無班型に似ている。里山の水田や森林に生息し、繁殖期は4月~5月だが地域によっては2月~8月までと変化がある。里山の水田や森林に生息し昆虫類などを食べて生活している。これも地域によってだが土中に産卵された卵塊をタヌキが好んで食べることが知られている。千葉県、栃木県、兵庫県のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されている。

今までも近所の里山でこのカエルの雄の声は時々聴いてきたが、全て初夏から晩夏にかけての季節であった。この日はまだ立春前である。多くのカエル類は土の中で冬眠している季節である。この地域でシュレーゲルが鳴くにはまだかなり早い。同じカエルでもニホンアカガエルなどは真冬に一度目を覚まして繁殖行動をすることが知られているのは知っているのだが生息環境が異なる。近頃、身の周りのさまざまな生物たちの動きが変である。ちょっと気になる出来事だった。これからも注意して観察記録をマメに付けて行くことにしよう。

※画像はトップが夏に近くの里山で撮影したシュレーゲルアオガエル。下が同じく夏の里山で撮影した外見がよく似た二ホンアマガエル。




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1 コメント

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いつもありがとうございます (uccello)
2020-02-23 20:20:12
ブロガーのみなさん、いつもマイブログにお立ち寄りいただきありがとうございます。

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