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『ハッシュパピー バスタブ島の少女』

2013年05月12日 | 映画(は行)
『ハッシュパピー バスタブ島の少女』(原題:Beasts of the Southern Wild)
監督:ベン・ザイトリン
出演:クヮヴェンジャネ・ウォレス,ドワイト・ヘンリー他

グランフロント大阪のオープンで様変わり、人だらけのあの界隈。
地下道を抜ければいつもと変わらないスカイビル、シネ・リーブル梅田にて。

バスタブ島で生まれ育った6歳の少女ハッシュパピー。
母親はずっと前に島から出て行き、父親のウィンクとふたり、動物に囲まれて暮らす。

ハッシュパピーは、人間以外の生物とも会話できる能力が自身に備わっていると信じ、
毎日さまざまな生き物と見つめ合い、心臓に耳を近づけて鼓動を聴く。
また、自然界は繊細な秩序で守られていると彼女は考え、
その秩序が崩壊すれば、伝説の巨獣オーロックスが復活すると信じている。
獰猛極まりないオーロックスの息を決して吹き返させてはならない。

ある日、百年に一度の大嵐がバスタブ島を襲う。
多くの島民たちは嵐を前に非難するが、
ウィンクと一部の島民はバスタブ島に残ることを選ぶ。

しかし、島は丸ごと嵐に呑み込まれ、家屋は水面下へ。
いつまで経っても引かない水をどうするか。
ウィンクらは堤防を破壊して排水することを思いつき、
爆弾を用意して作戦を決行した結果、排水はできたものの、
ドロドロの土に覆われたバスタブ島の生物は死に絶えてしまう。

一方、この爆破によってバスタブ島の存在を知った政府は、
この危険区域から島民を強制退去させることに。
難民キャンプのごとく島民を収容し、負傷者に施療すべく病院へと送り込むが、
そこでウィンクの命が残りいくばくもないことを知らされて……。

バスタブ島は南ルイジアナのコミュニティをモデルにした架空の島だそうです。
無名のインディーズ作品でありながら、アカデミー賞にも4部門でノミネート。
予告編を観て強烈に惹かれて観に行きましたが、
ファンタジーとしてちょっと中途半端だったかな~という印象です。
すぐに思い出したのは、廃墟の室内プールがまるでひとつ国のようだった『ツバル』(1999)。
ちゃんとは覚えていませんが、こちらのほうがずいぶん楽しめた気がします。

ただ、演技が未経験だというふたりは素晴らしい。
ヒステリックな叫び声は時にかなり辛く感じましたが、
ハッシュパピーが成長していくさまは頼もしく、
特にオーロックスと対決するさいの彼女の力強いまなざしと、
父親をみとるさいの彼女の耐える瞳にはキュン。

秩序は崩壊しないものだと信じつづけていたのに、その秩序が崩壊するとき。
そしてそれが元どおにはならないのだとわかるとき。
人はどうすればいいのか、どうするのか。
前向きな姿は、生きる力を与えてくれそうです。

実はこの日は3本ハシゴでした。
本作→『ブルーノのしあわせガイド』『HK/変態仮面』という。
1本目のこれは普通、2本目でニッコリ、3本目でブハッと大笑い。
なかなかいいハシゴの順序でした。

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