夜な夜なシネマ

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『スノータウン』

2013年06月09日 | 映画(さ行)
『スノータウン』(原題:Snowtown)
監督:ジャスティン・カーゼル
出演:ルーカス・ピッタウェイ,ダニエル・ヘンシュオール,ルイーズ・ハリス他

2011年のオーストラリア作品。
日本では未公開で、レンタル開始から2カ月半ほど経ったところ。
ずっとTSUTAYA DISCASの予約リストに載せてはいましたが、
かなり重そうな内容だったため、なかなか借りる勇気がなく。

『アニマル・キングダム』(2010)と非常に近い作品です。
本作も実際にあった猟奇殺人事件に基づいています。怖すぎる。

オーストラリア南部、アデレード郊外の小さな町スノータウン。
16歳の少年ジェイミーは、母親のエリザベスや幼い弟たちとともに暮らす。
ある日、元夫と会うために出かける予定だったエリザベスは、
斜向かいに住む気のよさそうな男に子守りを頼む。
ところが、その男は小児性愛者で、ジェイミーたちはその餌食となってしまう。

何事もなかったようにふるまうジェイミーたちだったが、
近隣の住人であるジョンたちがエリザベスのもとを訪れ、斜向かいの男について警告する。
そこではじめて子どもたちの身に起きたことを悟ったエリザベス。
半狂乱のエリザベスの気持ちを代弁するようにジョンは行動を起こし、
斜向かいの男を町から追い出すことに成功。
以後、ジョンはエリザベスたちの面倒をみるようになる。

屈強で自信に満ちあふれるジョン。
ジェイミーは彼に好感を持つものの、しばしばジョンが見せる暴力的な一面が気になる。
やがて、ジョンとその取り巻き、ロバートとマイクが、
町の変質者を一掃すべく、殺人に手を染めていることを知り……。

『アニマル・キングダム』と同じく、終始不穏な空気が流れ、
何が起こるのかが読めません。
派手な演出もなく、退屈だと感じても不思議ではないのですが、
120分間ただただ画面に引きつけられてしまいます。

斜向かいの男を追い出そうとするのは当然のことでしょう。
「都会ならこんなことはあり得ないのに、ここでは1日で保釈される」という台詞もあり、
被害届を出したところで、犯人はほとんど罰せられることなく帰ってくるのだそうです。

しかし、この後のジョンたちの行動は常軌を逸したもの。
変質者かどうかの判定はジョンに委ねられ、
単にゲイであっても十分に死に値するというのです。
かくして、1992年8月から1999年5月にかけて12人が殺害された“スノータウン・マーダーズ”。
荷担を余儀なくされたジェイミーの心を映した演技が重いです。

オーストラリアって、穏やかな明るい国の印象があるのですが、
映画を観るとそうじゃないのかもという気がしてきます。
つねづね思っている「気候が映画をつくる」
カナダだけではなく、オーストラリアもそうなのでしょうか。

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