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『ソウォン/願い』

2014年08月25日 | 映画(さ行)
『ソウォン/願い』(英題:Hope)
監督:イ・ジュンイク
出演:ソル・ギョング,オム・ジウォン,イ・レ,キム・ヘスク,
   キム・サンホ,ラ・ミラン,キム・ドヨプ他

前述の『友よ、さらばと言おう』を観終わったのが11時前。
いつもは隙間なくハシゴのスケジュールを組んでいますが、
この日はダンナ出張中のため、晩ごはんの支度をしなくてもいいので時間にも気持ちにも余裕あり。
本作の上映開始は13時すぎなので、たまにはゆっくり昼ごはんを。

というわけで、梅田スカイビル地下の滝見小路の洋食屋でひとりランチ。
まだ周辺の会社の昼休憩時間前でがら空き。
4人掛けのテーブルに案内してくれようとするので、1人席を希望。
この間ネットを見て笑った書き込みに、
ひとりカラオケに行って20人ぐらい入れる部屋に案内されたというのがありましたが、
広ければいいってもんじゃないですよね(笑)。
1人席に座らせてもらったおかげで落ち着いて食事することができました。
ついでに白と赤グラスワインも1杯ずつ。昼酒、サイコー。

適度な酔っぱらい具合でシネ・リーブル梅田にて観はじめた本作でしたが、衝撃で酔いもぶっ飛び。
今年いちばん泣きました。実話に基づく。

ある雨の朝、8歳の少女ソウォンは、友だちから少し出遅れてひとりで学校に向かう。
母親であるミヒの言いつけを守り、近道できる裏通りではなく、大通りを通って。
ところが、学校の正門が見えたとき、突然現れた男に声をかけられる。
雨だから傘に入れてほしいという男、ためらうソウォン。

数時間後、ソウォンが学校近くのプレハブ小屋から瀕死の状態で発見される。
激しい暴行を受けたとおぼしきソウォンは、意識を失う前に自ら警察に通報したらしい。
肛門から腸に至る裂傷を負ったソウォンは、一命は取り留めたものの、
肛門と腸の一部を取り除くことを余儀なくされ、人工肛門の身となる。

父親のドンフンがソウォンの下着を取り替えようとしたところ、ソウォンが抵抗。
ソウォンは、それがたとえ父親であろうと、大人の男性に触れられることに恐怖を感じている。
娘の心を救いたいのに、近づくことさえできなくなってしまったドンフンは……。

痛ましい事件と犯人捜し、復讐の物語などはありがちですが、
本作はそういった作品ではなく、犯人もあっさり捕まります。
ただ、犯人逮捕の決め手となったのはソウォンの証言。
わずか8歳の、こんな目に遭わされた少女が、複数の容疑者の写真を見せられて、
この男が犯人だと断定する、それだけでもなんとつらいことでしょう。
だけど、悪い人は捕まえないといけないからと、ソウォンは言います。

あのとき大通りを行けと言ったから、娘があんな目に遭ったと自分を責めるミヒ。
出遅れたソウォンを待たなかったから、僕のせいだと涙を浮かべるソウォンの幼なじみヨンソク。
ヨンソクの父親は、事件のあれこれに追われて会社を辞めるというドンフンに、
頼むから俺のヘソクリを借りてくれと逆に頭を下げる勢い。
また、口の悪いヨンソクの母親は、倒れたミヒを何度も見舞おうとするも、なかなか顔を出せません。
やっとの思いでミヒの病室を訪れて、ふたりしてワンワン泣きます。
学校に行きたい、でももう行けないと思っているソウォンを待つ同級生たち。

悲惨な描写の中にも、被害者とその家族、彼らを取り巻く人びとの優しさが見えて、
これで泣かない人は人間じゃない!と思ってしまいました。
普段は「これで感動できない人は人間として歪んでいる」などの書き込みを見て凹むというのか、
「あ、そう」と冷ややかに思うほうなんですけれども(笑)。

泥酔ゆえの神経衰弱状態を主張して認められれば、あり得ないほど刑は軽い。
飲酒運転は厳しく取り締まるくせに、なぜなのか。厳罰を望みます。

つらい目に遭った人が笑顔でいるのは、
まわりの人につらい思いをさせたくないから。
ソウォン(=願い)とソマン(=望み)が叶えられますように。

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