昨日に続いて、最近読んだ本を何冊かご紹介。
以前にもお話しましたが、常時積みあげておく本は約50冊、
分厚い本ばかりだと嫌になるので、薄い本もほしい。
なのに頁数を確認せずに注文するものだから、
500頁以上の本が届くたびに「また分厚いのが来てしもた」とゲンナリ。
高野和明の『幽霊人命救助隊』もそんなうちの1冊で、605頁也。
浪人生の裕一は、気づけば奇妙な断崖絶壁の上。
ここはいったいどこなんだと思っていると、3人の男女がやってくる。
老いたヤクザの八木と、気弱そうな中年男の市川、アンニュイな若い美女の美晴。
彼らが言うにはここは死後の世界。
そういえば、裕一は大学受験に失敗して首を吊ったような気がするが、
そのまま死んでしまったのかどうかなんてわからない。
どうやら3人も自殺者で、死んでからすでに何年何十年、ずっとこの断崖の上にいるらしい。
しかし、自分を含めた4人が幽霊だなんて到底信じられず、
嘘だ!と裕一があがいていると、突然、神を名乗る男が彼らの前へ。
これから49日間に自殺志願者100人の命を救え、
それを成し遂げられたら4人とも天国へ行かせてやると、神は言う。
断崖暮らしに飽き飽きしていた3人はこの話に飛びつく。
まだ半信半疑の裕一も、従うことにするのだが……。
彼らが送り込まれたのは21世紀の東京。
自殺志願者をどうやって見つけるんだと思っていたら、
持たされた荷物のなかに、さまざまな小道具。
暗視ゴーグルを装着すれば、黄信号、赤信号と、死にたい度合いが判断できます。
もうちょっと頁数を減らせたんじゃないのと思わないこともないですが、
それぞれの死にたい理由を知れば、例を挙げるという意味でも
これだけ書きたくなるのは無理もないでしょう。
孤独に耐えかねている中年男や、田舎から出てきて友だち探しに悩む大学生。
完璧に鬱状態の会社員やOLは、そうとは自覚している人も自覚していない人も。
自覚している場合は何度も病院へ足を運ぶのが億劫で、
自覚していない場合は病院へ行くということなど考えもしなかったり。
障害を持つ赤ちゃんをどう育てて良いのかわからない母親。
学校でいじめに遭っている少年は、家に帰れば両親が離婚の危機。
裕一ら4人は自分たちが自殺した理由を思い返しながら、
なんとか1人でも多くの自殺志願者を救おうと駆けずり回ります。
いろんな場面で涙せずにはいられません。
笑えるシーンもいっぱい。特にヤクザの八木は傑作で、一言一言が古い。
「ハクいナオンはトランジスターグラマーのボインちゃん」。
市川と美晴も昭和の間にこの世を去っていますから、会話がなかなかレトロ。
裕一には意味がわからないこともしょっちゅうですが、
だんだん慣れてくると「チョベリバ」なんて言葉で応戦します。
はりきってストリップ劇場へ行こうとも、銭湯で女湯を覗こうとも、
体が何の反応もしなくて愕然とする彼らも可笑しい。
幽霊になると、煩悩がなくなって、巨乳のねえちゃんも電信柱と同じ。
この世の楽しみを享受できなくなる寂しさを痛感します。
100人の命を救い、天国へ召されることとなった4人は……。
元気、もらえます。
『13階段』(2003)と同著者。
映画版はちょっと説教臭さを感じて苦手でしたが、
原作は読んでみようかなという気になりました。
以前にもお話しましたが、常時積みあげておく本は約50冊、
分厚い本ばかりだと嫌になるので、薄い本もほしい。
なのに頁数を確認せずに注文するものだから、
500頁以上の本が届くたびに「また分厚いのが来てしもた」とゲンナリ。
高野和明の『幽霊人命救助隊』もそんなうちの1冊で、605頁也。
浪人生の裕一は、気づけば奇妙な断崖絶壁の上。
ここはいったいどこなんだと思っていると、3人の男女がやってくる。
老いたヤクザの八木と、気弱そうな中年男の市川、アンニュイな若い美女の美晴。
彼らが言うにはここは死後の世界。
そういえば、裕一は大学受験に失敗して首を吊ったような気がするが、
そのまま死んでしまったのかどうかなんてわからない。
どうやら3人も自殺者で、死んでからすでに何年何十年、ずっとこの断崖の上にいるらしい。
しかし、自分を含めた4人が幽霊だなんて到底信じられず、
嘘だ!と裕一があがいていると、突然、神を名乗る男が彼らの前へ。
これから49日間に自殺志願者100人の命を救え、
それを成し遂げられたら4人とも天国へ行かせてやると、神は言う。
断崖暮らしに飽き飽きしていた3人はこの話に飛びつく。
まだ半信半疑の裕一も、従うことにするのだが……。
彼らが送り込まれたのは21世紀の東京。
自殺志願者をどうやって見つけるんだと思っていたら、
持たされた荷物のなかに、さまざまな小道具。
暗視ゴーグルを装着すれば、黄信号、赤信号と、死にたい度合いが判断できます。
もうちょっと頁数を減らせたんじゃないのと思わないこともないですが、
それぞれの死にたい理由を知れば、例を挙げるという意味でも
これだけ書きたくなるのは無理もないでしょう。
孤独に耐えかねている中年男や、田舎から出てきて友だち探しに悩む大学生。
完璧に鬱状態の会社員やOLは、そうとは自覚している人も自覚していない人も。
自覚している場合は何度も病院へ足を運ぶのが億劫で、
自覚していない場合は病院へ行くということなど考えもしなかったり。
障害を持つ赤ちゃんをどう育てて良いのかわからない母親。
学校でいじめに遭っている少年は、家に帰れば両親が離婚の危機。
裕一ら4人は自分たちが自殺した理由を思い返しながら、
なんとか1人でも多くの自殺志願者を救おうと駆けずり回ります。
いろんな場面で涙せずにはいられません。
笑えるシーンもいっぱい。特にヤクザの八木は傑作で、一言一言が古い。
「ハクいナオンはトランジスターグラマーのボインちゃん」。
市川と美晴も昭和の間にこの世を去っていますから、会話がなかなかレトロ。
裕一には意味がわからないこともしょっちゅうですが、
だんだん慣れてくると「チョベリバ」なんて言葉で応戦します。
はりきってストリップ劇場へ行こうとも、銭湯で女湯を覗こうとも、
体が何の反応もしなくて愕然とする彼らも可笑しい。
幽霊になると、煩悩がなくなって、巨乳のねえちゃんも電信柱と同じ。
この世の楽しみを享受できなくなる寂しさを痛感します。
100人の命を救い、天国へ召されることとなった4人は……。
元気、もらえます。
『13階段』(2003)と同著者。
映画版はちょっと説教臭さを感じて苦手でしたが、
原作は読んでみようかなという気になりました。