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『サラエヴォの銃声』

2017年04月11日 | 映画(さ行)
『サラエヴォの銃声』(原題:Smrt u Sarajevu)
監督:ダニス・タノヴィッチ
出演:ジャック・ウェベール,スネジャナ・ヴィドヴィッチ,イズディン・バイロヴィッチ,
   ヴェドラナ・セクサン,ムハメド・ハジョヴィッチ他

テアトル梅田で2本ハシゴの2本目。前述の『話す犬を、放す』の後に。

ダニス・タノヴィッチ監督の作品が、先月の『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』と2カ月連続で公開に。
先月のそれはインド/フランス/イギリス作品で、主演はボリウッド男優でした。
今月のこれはフランス/ボスニア・ヘルツェゴヴィナ作品。
役者としてはこちらのほうが違和感がありません。
いわゆる「グランド・ホテル形式」の群像劇で、
そう呼ばれる作品の中でも『ゴスフォード・パーク』(2001)に近い気がします。

1914年6月28日に起きたサラエヴォ事件。
オーストリア=ハンガリー帝国の皇帝・国王の継承者フランツ・フェルディナントとその妻が、
当時オーストリア領だったサラエヴォ(現ボスニア・ヘルツェゴビナ領)を視察中に、
ボスニア系セルビア人青年ガヴリロ・プリンツィプによって暗殺された事件。
第一次世界大戦はこの事件がきっかけで開戦しました。
その事件から100年を迎えるということで、大がかりな記念式典がおこなわれることに。
舞台はサラエヴォにある格調高い老舗のホテル、“ホテル・ヨーロッパ”。

記念式典の準備に追われるホテル・ヨーロッパはてんてこ舞い。

有能なフロント係の女性ラミヤは、式典に参加する要人の到着を支配人オメルに知らせる。
要人はスイートルームに案内され、部屋にこもってスピーチの練習。
実はこのスイートルームには隠しカメラが設置され、
要人の様子の一部始終を警備員が監視している。
しかし肝心の警備員は、妻からの電話にいらだちながらドラッグを吸引。

前日の晩、ラミヤと一夜を共にした料理人のジャックは、
昨日とは打って変わったラミヤの態度にがっかり。
つれないラミヤを追っかけ回すのをあきらめて厨房へ。

屋上ではジャーナリストのヴェドラナが取材を収録中。
サラエヴォ事件とその後の歴史についてインタビューをおこなっている。
取材に呼ばれたものの待たされる者も何人か。

一方、ホテルの従業員らはストライキを画策中。
表向きは豪華なホテル・ヨーロッパだが、実態は火の車。
銀行には金を返せず、電気代も長らく滞納。
この数カ月、従業員への給料も未払いのまま。
ただちに給料を支払わなければストを実施すると通告した従業員は、
オメルの指示で用心棒たちから袋叩きにされる。

ラミヤの母親ハティージャはリネン室に勤務している。
ストに参加するつもりらしく、ラミヤは注意を促すのだが……。

私にはちょっとしんどい。
二日酔いではなかったのですが、睡眠不足ではあったので、ところどころうつらうつら。
知識としてサラエヴォ事件を理解している人、世界史好きの人向きでしょう。

群像劇はいろいろ伏線がちりばめてあって、
最後にすべてがつながるところが面白いものだと思うのですが、
本作では「おおっ、そうなるか」と思えるところは何もありません。
ただ、だからこそボスニアなのかなとも思います。
誰が何をしようと起きることは起きる、止められない。
ホテルの名前が「ヨーロッパ」、この騒動はヨーロッパの現状なのかも。

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