『カエル少年失踪殺人事件』(英題:Children...)
監督:イ・ギュマン
出演:パク・ヨンウ,リュ・スンリョン,ソン・ドンイル,ソン・ジル,キム・ヨジン他
GW中、ハンカチ握りしめて泣くつもりで劇場へ足を運んだのに、
これとこれではほとんど泣けず、号泣してしまったのが本作でした。
シネマート心斎橋にて3本ハシゴの1本目。
“韓国三大未解決事件”のひとつと言われる、実在の迷宮入り事件の映画化。
ちなみに、あとのふたつの事件も映画化されていて、
『殺人の追憶』(2003)と『あいつの声』(2007)だそうな。
後者は昨年公開されたところで、DVD化は未定。はよ観たい。
1991年3月26日、統一地方選挙の日。
大邱近郊、トアプ山のある麓ののどかな村で、小学生5人が行方不明になる。
カエルを捕りに行くと言って出かけた少年たちはどこへ消えたのか。
警察や軍、地元民を挙げての必死の捜索にもかかわらず、手がかりは皆無。
少年たちの生死すらわからないまま、5年以上の歳月が流れる。
TV放送局に勤めるカン・ジスンは、視聴率を稼ぐことにしか興味がない。
野生の鹿を追ったドキュメンタリーを撮り、最優秀作品賞を贈られるが、
後日、やらせだったことがバレて左遷される。
左遷先はあの少年失踪事件のあった村。
少年の親たちにとっては何年経とうがまだ事件は終わっていない。
仕事を辞めて捜索を続けている親もいた。
昔なじみのパク刑事もまだあきらめていない様子。
その執念になかば呆れるカンだったが、特ダネはほしい。
事件に関する未編集のビデオテープを見るうち、
大学で心理学の教鞭を執るファン教授のコメントに興味を引かれる。
それは失踪した少年の親に疑惑の目を向けるもので……。
地味で暗くて重い。悲惨な光景を包む美しい夕焼けと音楽に胸が痛みます。
しかも音楽は「長調」の曲であるところも私にとってはミソ。
「短調」の曲がもの悲しいのは当たり前なのですが、
「長調」で切ない曲というのがたまらん。
犯人扱いされた父親は、濡れ衣が晴れたとき、
濡れ衣を着せられたことはどうでもいい、そんなことよりも悲しいのは、
「みんな、息子が死んだと思っている」ことなんだとむせび泣きます。
特ダネを取ることしか考えず、結果的に誤認となる捜査を煽ったカンは、
こんな状況でも「やっちまった」程度の気持ちで、詫びる顔もへらへら。
しかし、やがて自分にも娘が生まれ、初めて親の気持ちに思いが及びます。
2006年に時効を迎えたこの事件。
最後の最後、少年の母親のもとを訪れたカンに、その母親がぽつりと明かす言葉に号泣。
しゃくりあげるほど泣いてしまったのは久々でした。
切なくて、悲しい悲しい物語。
思えば母親のそれも、序盤に登場する“認知的不協和”を解消しようとするゆえの行為。
参りました。秀作だと思います。
監督:イ・ギュマン
出演:パク・ヨンウ,リュ・スンリョン,ソン・ドンイル,ソン・ジル,キム・ヨジン他
GW中、ハンカチ握りしめて泣くつもりで劇場へ足を運んだのに、
これとこれではほとんど泣けず、号泣してしまったのが本作でした。
シネマート心斎橋にて3本ハシゴの1本目。
“韓国三大未解決事件”のひとつと言われる、実在の迷宮入り事件の映画化。
ちなみに、あとのふたつの事件も映画化されていて、
『殺人の追憶』(2003)と『あいつの声』(2007)だそうな。
後者は昨年公開されたところで、DVD化は未定。はよ観たい。
1991年3月26日、統一地方選挙の日。
大邱近郊、トアプ山のある麓ののどかな村で、小学生5人が行方不明になる。
カエルを捕りに行くと言って出かけた少年たちはどこへ消えたのか。
警察や軍、地元民を挙げての必死の捜索にもかかわらず、手がかりは皆無。
少年たちの生死すらわからないまま、5年以上の歳月が流れる。
TV放送局に勤めるカン・ジスンは、視聴率を稼ぐことにしか興味がない。
野生の鹿を追ったドキュメンタリーを撮り、最優秀作品賞を贈られるが、
後日、やらせだったことがバレて左遷される。
左遷先はあの少年失踪事件のあった村。
少年の親たちにとっては何年経とうがまだ事件は終わっていない。
仕事を辞めて捜索を続けている親もいた。
昔なじみのパク刑事もまだあきらめていない様子。
その執念になかば呆れるカンだったが、特ダネはほしい。
事件に関する未編集のビデオテープを見るうち、
大学で心理学の教鞭を執るファン教授のコメントに興味を引かれる。
それは失踪した少年の親に疑惑の目を向けるもので……。
地味で暗くて重い。悲惨な光景を包む美しい夕焼けと音楽に胸が痛みます。
しかも音楽は「長調」の曲であるところも私にとってはミソ。
「短調」の曲がもの悲しいのは当たり前なのですが、
「長調」で切ない曲というのがたまらん。
犯人扱いされた父親は、濡れ衣が晴れたとき、
濡れ衣を着せられたことはどうでもいい、そんなことよりも悲しいのは、
「みんな、息子が死んだと思っている」ことなんだとむせび泣きます。
特ダネを取ることしか考えず、結果的に誤認となる捜査を煽ったカンは、
こんな状況でも「やっちまった」程度の気持ちで、詫びる顔もへらへら。
しかし、やがて自分にも娘が生まれ、初めて親の気持ちに思いが及びます。
2006年に時効を迎えたこの事件。
最後の最後、少年の母親のもとを訪れたカンに、その母親がぽつりと明かす言葉に号泣。
しゃくりあげるほど泣いてしまったのは久々でした。
切なくて、悲しい悲しい物語。
思えば母親のそれも、序盤に登場する“認知的不協和”を解消しようとするゆえの行為。
参りました。秀作だと思います。