夜な夜なシネマ

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『ロフト.』

2010年03月01日 | 映画(ら行)
『ロフト.』(原題:Loft)
監督:エリク・ヴァン・ローイ
出演:ケーン・デ・ボーウ,フィリップ・ペーテルス,ブルーノ・ファンデン・ブロッケ,
   マティアス・スクナールツ,ケーン・デ・グラーヴェ他

ベルギー国民の10人に1人が観たという大ヒット作。
日本では両手に満たない数の劇場でしか公開されず、
レンタル開始を心待ちにしていた作品です。R-15指定。

冒頭は、マンションの屋上から誰かが飛び降りたとおぼしきシーン。
そして、警察で取り調べを受ける男性の供述へと移ります。
いったい何が起こったのか。

高級新築マンションの最上階のロフトルーム。
マンションの設計者であるビンセントは早速この部屋を手に入れると、
親友のマルニクス、ルク、クリスとその義弟フィリップに、
共同でこの部屋を所有しようと持ちかける。

これは5人だけの秘密。
鍵は5つのみ、合鍵の作成は厳禁。
使用日は前もってお互いに知らせることなどのルールを決め、
5人はそれぞれ自由に部屋を使うようになる。

ところが、ある朝、ルクが部屋に入ると、
ベッドの上に血まみれの全裸女性の死体が。
ルクの連絡を受けて部屋で顔を合わせた男たち。
犯人は5人のうちの誰かであるはず。
各自のアリバイを明らかにしながら、犯人探しを始める。

極上のミステリー&サスペンスです。
飽くことのまったくない117分間。
5人のタイプがまったく異なり、
キャラクターが丁寧に描かれていて魅力的。

しかし、タイプが異なるとは言っても、
部屋を使う目的はほとんど一様。女を連れ込みます。
遊びに撤することができる男もいれば、
お茶だけ飲むつもりで誘った相手に入れあげてしまう男も。
そして、いずれの男も、妻に感づかれているのではと不安になります。
それが男たちのちょっとした言動にあらわれ、
また、妻たちの疑わしげな表情が絶妙です。

とにかく騙されっぱなし。
なのに、「それはないやろ」的な展開は皆無。
何よこれとか、誰よそれとかいった無茶な設定が見当たらず、
「今のはなんで?」と巻き戻して観なければわからないほど
複雑な伏線が張られていたなんてこともありません。
伏線を拾う過程もとても親切。
序盤は何が何だかわからずにぐいぐいと引き込まれ、
中盤以降はその展開に唸ることしきり。

ごつごつしたイメージの(ドイツ語かと思ったら)オランダ語と、
終始暗めのシーンであるにもかかわらず、
ええもんを観たとご機嫌になれる作品なのでした。

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