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『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の20本目@西宮)

2017年02月05日 | 映画(あ行)
『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』(原題:Eye in the Sky)
監督:ギャヴィン・フッド
出演:ヘレン・ミレン,アーロン・ポール,アラン・リックマン,バーカッド・アブディ,
   ジェレミー・ノーサム,フィービー・フォックス,イアン・グレン他

1月4週目の月曜日。この日がフリーパスの有効期限だったので休みを取りました。
大雪で西宮までたどり着けなかったらどうしようと思っていましたが、
寒いだけで車の運転には問題なし。
10:00の上映開始を目指して車を走らせました。

4本ハシゴの1本目。緊迫感ありありでめっちゃ面白かったです。
面白いといっても、娯楽作品としての楽しさではありません。
戦争や武器のあり方について疑問を投じ、観た人は深く考えざるを得ないでしょう。

英米合同テロリスト捕獲作戦の指揮に当たる、英国軍のパウエル大佐。
米国軍の最新鋭ドローン偵察機が、ケニアのナイロビでテロリストのアジトを突き止める。
ロンドンから指揮を執るパウエル大佐は、現地の捜査員ジャマにアジト付近への潜入を命じる。
ジャマの決死の捜査で、テロリストたちが今まさに自爆テロを計画していることが判明。
パウエル大佐はドローンのミサイル攻撃でテロリスト殺害を決断。

ドローンを操縦するのは米国ネバダ州の基地で待機するスティーブとキャリー。
パウエル大佐の指示を受けてミサイルを発射しようとするが、
ちょうどそのとき、アジトのすぐ近くでパンを売る少女を発見。
ミサイルでアジトを爆破した場合、少女が巻き添えとなって死亡する可能性は高確率。
スティーブは絶対服従のはずの上官に異議を唱え、
少女が巻き添えを食らう確率が下がらなければミサイル発射をしないと宣言する。

そうこうしている間にもテロリストたちは着々と自爆テロの準備を進めている。
少女が立ち去るのを待てば彼女の命は救えるが、
自爆テロを決行させてしまうことになり、何十人何百人という犠牲者が出るだろう。
いったいどうすべきか。

ミサイル発射の是非を議論しているのは、現地から遠く離れたイギリスとアメリカ。
ロンドンの会議室で交わされる軍人や政治家たちの議論が面白い。
誰も自分で責任を取りたくないから、上へ上へと決断を委ねます。
現場の部下にしても自分のせいにされてはたまらない。
上司の意を汲んで偽りの数値を挙げますが、それも上司が「責任は私が」と言ってこそ。

パウエル大佐役のヘレン・ミレンに凄みがあります。
彼女と協力してなんとかテロリストを排除しようとする国防省のベンソン中将に
昨年70歳を前に他界してしまった名優アラン・リックマン。とても残念。

自分が攻撃されることのない安全な場所からのミサイル操作だとはいえ、
クローンを操縦する若き軍人の心労たるや想像を絶するはず。
『ドローン・オブ・ウォー』(2014)と並んで押さえておきたい1本です。

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