水面に映る光景

日常感じたことなど。

消費貸借契約破棄判決

2022-06-09 07:48:55 | ニュースいろいろ
福渡裕貴裁判長の判決。(2022、5、26)
私の那覇地裁での裁判の一審の判決書を書いた裁判官です。

それで、出した判決の内容が気になります。

国場組元会長の妻が、仲井間元知事に貸金返還請求(5700万円)をした事案。
通常は借用証書が存在すると訴えた方が勝訴することが多いが、この裁判では敗訴している。

今回の訴訟では、借用証書は存在するが、借用証書の当事者二人は死亡している。
お金貸した方は国場組の会長、借りた方は仲井間元知事の奥さん。
そこで、遺族が訴え訴えられた。

被告側遺族は連帯保証人として訴えられているが、
連帯保証人となったのか否かの判断をするまでも無く、債権の存在を否定している。

借用証書が存在すると、一般的にはお金を貸したことは認められる。
それが、今回は否定された。借用証書は有るが、当事者が死亡している以上、
実際にお金が渡されたかどうかわからないということが理由である。
お金の移動が確認出来なかったようである。

消費貸借契約(民法587条)が、
成立するためには、返還約束と金銭の授受が必要である。
金銭の授受について、原告(訴える方)は裁判官が確信に至るまで証明出来なかったことになる。

借用書が存在しても、金銭の交付がなされた確証がない、
ということは消費貸借契約の成立要件を満たさない。
つまり、債権の存在自体が不明であることになる。

借用証書があるのに、否定された。立証の方法が問題だったのかな、と思う。


私の裁判においては、お金貸したから返せ、と反訴されたが、借用証書自体が無い。
口頭での返還約束もない。貸した状況の詳細もない。認められないのは当然と思うが、
裁判は裁判官の自由心証が、ある意味全てだから、結果は予想できない。

この点においては、予想通り認められなかったのにはホッとしたよ。

梅雨の晴れ間に目につくようになった。多分蛾。





夜香木の花の匂いが、部屋まで匂い、眠りを誘う。


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石垣市の住民訴訟

2022-05-29 17:50:54 | ニュースいろいろ
2022年5月17日(火)に那覇地方裁判所での判決。

石垣市の住民たちが、石垣市長が教育再生首長会議に公金を使って参加したのは、
違法な公金の支出だと訴えた住民訴訟で福渡裕貴裁判長は訴えを退けた。


福渡裁判長は今年の4月から那覇地裁の裁判官となった裁判官である。
そして、私の訴訟に於いて、一審の判決書を書いた裁判官でもある。
足掛け4年に及ぶ裁判で前任の平山裁判官から引き継いだので、3回しか会ってない。
実を言うと、マスク無しで会ったことがないので顔は思い出せないが、
言われたこと、話したことはしっかり思い出せる。

形式的に、弁論を更新して、判決を書くのは大変だと思う。
内容がチグハグな感がする。長い年月は何だっただろうと思うほどだ。
それで、控訴せざるを得なかった。

住民訴訟でも、弁論の更新によって、福渡裁判長が引き継ぎ担当になったと思う。

住民訴訟を起こすには、前提として、監査請求(地方自治法242)をしなければならない。
監査請求をした者だけが原告になれる。(地方自治法242の2)

監査請求では、公金の支出の、違法性、妥当性を主張できるが、
住民訴訟では、違法性のみが裁判の対象となる。

報道を読む限りにおいて、市長が自ら選んで、参加した会合を違法というのは無理があると思う。

市長の権限は大きいし、個人的な事でもないし、参加した団体が反社の認定受けているわけでもないし、
違法と言うのは無理があると思う。

妥当でないと主張するなら、それは政治的に争うしかないと思う。
次の選挙で。

自分で裁判すると、いろいろ見えて面白い。

裁判官も人。裁判所も単なる場所。こんな気持ちになるにはそれなりの時間は必要だったけどね。

裁判官も裁判所も私たちのために存在することを気にとめることが大事だと思う。

与那国町の馬

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