原谷(はらだに)の桜のことを知ったのは3月初めです。
横浜から鈍行に乗って焼津市の友人宅へ行く車中で、
隣に座っていた若い女性と言葉を交わしました。
京都市出身で現在は滋賀県に住んでいる方でした。。
なんせ、時間はたっぷりあるので、京都の見どころをいろいろ教えて頂きました。
お薦めは、「京都御苑の梅、桃、いとざくら、八重桜」と「原谷の桜」でした。
「原谷へはどう行くのかしら?」
「タクシーで原谷と言えば、連れて行ってくれますから、
必ず行ってみてください。
山の傾斜一面に桜が咲いて、京都とは思えないような処です」
4月4日に原谷へTYさん、主人の三人で出掛けました。
その日のコースは、
「源光庵」バス停~徒歩30分位~原谷(昼食)~
宇多天皇大内山陵~きぬかけの道~「堂本美術館前」バス停です。
源光庵でバスを降り、急な坂道を下り、紙屋川沿いに歩いて行くと
まもなく住宅街になり、信号を渡ると、めざす原谷苑でした。
入園料は開花状況などで300円~1500円と変わります。
平日&満開でしたので1200円。
午前の早い時間なので人出もまだ少なく、満開の桜が出迎えてくれました。
「ウワァ~ わぁ~っ 」
斜面には色調が微妙に違うシダレサクラが数えきれないほど植えられていて、
しかもどの桜も立派でした。
青空に向かってのびやかに枝を伸ばし、花雲のように振袖の袂をひろげ、
咲き競っています。
紅シダレはピークでしたが、薄墨、御室、普賢象桜はまだ蕾です。
頭上満々の桜だけでなく、配色好く植えられている雪柳(白)、
蓮華ツツジ(濃いピンク)、木瓜(赤)、日向ミズキやレンギョウ(黄)が
一斉に咲き揃い、脚下満々でした。
リピーターが多いというのも大いに納得です。
縁台に腰掛け、花見弁当を食べるのも楽しみの一つで、
久しぶりに故郷の桜たちや桜の茶事を思い出しながら、会話が弾みます。
坂口安吾の小説「桜の森の満開の下で」が大好きで、
いつか○○さんに映画化して欲しい・・・と夢見ていますが、
実現は難しいかな?
それでもバーチャルに配役を考えて愉しんだり、
ロケ地にふさわしい場所がないかと気にかけています。
ここ原谷ではないかもしれないけれど、桜のボリュームには圧倒されます・・。
昼近くになり、見物人が増してきたので、腰を上げました。
帰途に迷い込んだ宇多天皇・大内山陵の参道は蓮華つつじが満開でした。
遍路道のような、静かな山道はきぬかけの道へ続いていて、
こちらもお薦めです。
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花嵐の風雨で、やっと桜を求め騒ぐ心が落ち着いて、本を読んでいます。
もちろん
「桜の森の満開の下で」・・・。