僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

PSS(プールサイドストーリー)シーズンⅡ

2017年02月04日 | ケータイ小説「パトスと…」

 

 

 

 

ウエストプラザ、それがユキオの通うプールの名前。

ここは障害者及び高齢の人たちのための市の福祉施設で、
温水プールの他に体育館、マシンジムや小さな視聴覚室、風呂、
食堂も備わった総合施設だ。
障害者や高齢者のグループだけでなく毎日沢山の人たちが利用している。


どの設備も60歳以上の市内在住者は無料、
午前中は障害者、高齢者専用だが、3時からはユキオのように
60歳未満の一般人も料金を支払えば一緒に利用できるのだ。


「ぶつかりますよー!背泳ぎの方ーぶつかりまーす!」
突然ハンドスピーカーを持った監視員の大声がプールに響く。

25メートルの完泳コースは1コースで往復泳ぐので右側通行がルールなのだが、
隣の歩くコースで流れるプールを作り出しているので
どうしてもコース内の水も一定の方向へ押される。
泳いでいても流されてしまい、時々衝突事故も起きる。


「ぶつかったらちゃんと謝れよ」
「いや、ぶつかったのはそっちだろ」
と喧嘩になることはないが、

「あの人ってね、ぶつかっても謝らないのよ」
「あんなに固まってコース塞いじゃってるから泳ぐ人のじゃまだねぇ」
なんて文句を言う人はいるのである。


バチン!
クロールで泳ぐユキオの右手が当たった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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