僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

アメちゃん

2018年11月23日 | ケータイ小説「パトスと…」

 

 

 

 

アメちゃんは公園のブランコに乗っていた。
アメちゃんはブランコをこぎながら泣いていた。
もっと早く気がつけば声なんて掛けなかったのに。

 

塾の帰り道、もう真っ暗で遊んでいる子なんて誰もいなくなった公園に知ってる顔を見つけて俺はちょっと嬉しくなったのだと思う。
外灯にぼぅっと照らされて揺れるブランコにふと目がいったのだ。
俺は自転車をこぐのを止めて片足をついたまま「アメちゃん」と呼んだ。

 

アメちゃんはちらっとこちらを見ただけで返事はしなかった。

 

そもそもこんな時間に暗い中1人でブランコの乗ってる高校生って変だし、
しかもアメちゃんは女子だし、考えてみればすごく変なのだが俺はその時何も感じなかった。

 

 

アメちゃんは俺と同じ高校2年の同じクラス、しかも席順もすごく近い。
消しゴムのかすを丸めてぶつけられるくらいの距離だ。

 

同じ団地に住んでいるので、登校の時も一緒になったりする。
おはようっと声を掛けて、雑談しながら校門をくぐっても別に何も言われない。
これが隣のクラスのレイコだったりするとすぐにヒューヒューとか、お前ら付き合ってんだろ、もうどこまでやったんだ? って話になる。

 

 

レイコは中学の時から一緒だから別に普通に話が合う友達なんだけど。
ちょっと美形だから高校では割と人気があるのだ。
こないだも下駄箱に手紙が入ってたけど差出人の○○って知ってる?って俺にラブレターを見せに来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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