「…次は…何処から回ろうか」
独り言を漏らしつつ、廊下を歩く。
交渉は順調に進んでいる。カフェを営む夫婦も農業科の教師夫妻もすんなり了承してくれた。彼の方も順調だと連絡があった。後は生徒に声を掛ける必要があると、手元の資料を確認する。
「…ああ、そうだ。あの問題児達にも声を掛けておかなければ…」
時計を見遣り、屋上へと向かう。そこには予想通り、いつも連んでいる例の問題児達の声が響いていた。
「あっ!!ママっ!!」
「あっ!竜ちゃんのママだ!」
「ぼくたち、まだわるいことしてないからね!!」
「…ああ、そうだ。あの問題児達にも声を掛けておかなければ…」
時計を見遣り、屋上へと向かう。そこには予想通り、いつも連んでいる例の問題児達の声が響いていた。
「あっ!!ママっ!!」
「あっ!竜ちゃんのママだ!」
「ぼくたち、まだわるいことしてないからね!!」
パッと笑顔を咲かせる竜とは対照的に、問題児達は悪い顔をして叫ぶ。
「まだ…という事は…何かする気だったのか!」
「あのね!ママ!チーちゃんがね!」
「ちょっと竜ちゃん!まだひみつだっていったでしょ!」
「そうだよ、竜ちゃん!とくに、ママにはナイショだって!」
「あっ!そっか!ママ!なんでもないよ~!」
「お前達!また竜に余計な事を吹き込んだのか!!」
近寄りながら声を荒げると、問題児達は悲鳴に似た奇声を上げる。
「まだ…という事は…何かする気だったのか!」
「あのね!ママ!チーちゃんがね!」
「ちょっと竜ちゃん!まだひみつだっていったでしょ!」
「そうだよ、竜ちゃん!とくに、ママにはナイショだって!」
「あっ!そっか!ママ!なんでもないよ~!」
「お前達!また竜に余計な事を吹き込んだのか!!」
近寄りながら声を荒げると、問題児達は悲鳴に似た奇声を上げる。
「ママっ!おこらないの~!」
「怒っていない!」
「ヒミツはひみつだから!またこんど、おしえてあげるからね~?」
「今、白状しろ」
「んん~?」
「白状しないと、会議は開かないぞ!」
「んんん?」
勢い良く飛び付いてきた竜は、僕の発言の意味が分からないと言いたげに首を傾げる。その横から声を上げるのは興味津々な様子の問題児達だ。
「竜ちゃんママ!かいぎってなに!?」
「もしかして、竜ちゃんが言ってたやつ!?」
「…お前らは…立ち入り禁止にしようか」
「えー!!」
「えーっ!!」
「えー!!!」
竜も声を揃えて叫ぶから、賑やかさは増す一方だ。
「…お前を立ち入り禁止にしては意味がないだろう」
竜だけは特別だと囁いた途端、問題児達は竜の手を掴み、抜け駆けは駄目からとギャアギャア叫んだ。
必死な問題児達とは異なり、竜はニコニコして楽しそうだ。
笑顔に気を取られている間ではなかった。状況は変化してしまう。
「ママっ!チーちゃんとチャミナくんも、いっしょがいい!」
「いい!」
「いいー!」
「……」
強請らる前に対処すべきだった。竜の煌めく笑顔には敵わない。交換条件も引き出せないうちに、参加を認めると…頷いてしまった。